内臓脂肪蓄積を簡便に推定できる評価モデル式の開発とそのリスク評価に関する縦断研究

文献情報

文献番号
201222035A
報告書区分
総括
研究課題名
内臓脂肪蓄積を簡便に推定できる評価モデル式の開発とそのリスク評価に関する縦断研究
課題番号
H23-循環器等(生習)-一般-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
松下 由実(独立行政法人国立国際医療研究センター 臨床研究支援部)
研究分担者(所属機関)
  • 中川 徹(株式会社日立製作所 日立健康管理センタ)
  • 山本修一郎(株式会社日立製作所 日立健康管理センタ)
  • 溝上哲也(独立行政法人国立国際医療研究センター 疫学予防研究部)
  • 野田光彦(独立行政法人国立国際医療研究センター 糖尿病研究連携部)
  • 高橋義彦(岩手医科大学 糖尿病・代謝内科学分野)
  • 西 信雄(国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター)
  • 大庭志野(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本のメタボリックシンドローム診断基準の内臓脂肪蓄積の簡易指標として、ウエスト周囲長が使われているが、研究代表者らは、CT測定による内臓脂肪面積に比べ、ウエスト周囲長はメタボリックシンドロームのリスク重複を女性では5割、男性では7割しか検出することができず、ウエスト周囲長を簡易指標として用いることには限界があることを明かにした。しかし、CTによる内臓脂肪面積測定はX線の被曝の問題、さらには高コストの面などの問題点があり、健診現場での汎用性に欠ける面もある。そこで、内臓脂肪の簡易指標として効果的、効率的、経済的でかつ簡便な評価モデル式が必要不可欠であり、その式を作成し、循環器疾患リスクを予測できるかどうかについて追跡調査により明らかにすることを目的として本研究を行う。
研究方法
 職域人間ドックでCT を行う2 万人余りの受診者を対象とする。現在、研究代表者らが開発中である内臓脂肪蓄積をより鋭敏に反映する評価モデル式を身体計測値とバイオマーカー、生活習慣要因からさらに検討し、推定能力の高いものに改訂する。さらに、その式が循環器疾患リスクを予測できるかどうかについて10 年間の追跡を行い、妥当性を検討する。エンドポイントは、高血圧、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドローム、心電図異常、心臓足首血管指数(CAVI)、さらに症例数が解析可能な数に達した場合には脳心血管イベントとする。
結果と考察
 身体計測値を用いて内臓脂肪の蓄積をより鋭敏に反映する効果的、経済的で簡便に測れる評価モデル式を開発した。この式は、ウエスト周囲長やBMIよりも心電図異常を有意に見出すことを横断研究により示した。さらに、肥満のゴールドスタンダードとされる内臓脂肪面積と比べてみると、新しく開発した式は、女性では同等に、男性では内臓脂肪面積以上に心電図異常を見出すことができることが明らかとなった。今後は、さらにこの式の有用性を縦断研究でも検証していく必要がある。
結論
 現状の肥満の簡易指標であるウエスト周囲長の変化は内臓脂肪の変化を正確にとらえることは難しく、研究代表者が開発した式は、現場で使いやすく、横断研究では心電図異常を見出す能力が高いことが明らかとなった。今後は、縦断的検討に加え、バイオマーカー、生活習慣要因からさらに検討していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-06-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201222035Z