キャンサーサバイバーシップ 治療と職業生活の両立に向けたがん拠点病院における介入モデルの検討と医療経済などを用いたアウトカム評価-働き盛りのがん対策の一助として-

文献情報

文献番号
201221077A
報告書区分
総括
研究課題名
キャンサーサバイバーシップ 治療と職業生活の両立に向けたがん拠点病院における介入モデルの検討と医療経済などを用いたアウトカム評価-働き盛りのがん対策の一助として-
課題番号
H24-がん臨床-一般-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山内 英子(聖路加国際病院 乳腺外科)
研究分担者(所属機関)
  • 保坂 隆(聖路加国際病院 精神腫瘍科)
  • 中村 清吾(昭和大学医学部 乳腺外科)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
  • 松岡 順治(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 齊藤 光江(順天堂大学医学部附属順天堂医院 乳腺科)
  • 住谷 昌彦(東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセンター)
  • 小松 浩子(慶應義塾大学 看護医療学部)
  • 高山 智子(国立がん研究センター がん対策情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,878,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今回の研究班の目的は、医療現場におけるモデルを構築し、益々増え続けであろうがん経験者の就労問題に関して、実際の医療現場での問題に対する対策を目指すものである。
研究方法
本研究では、就労を困難にしている原因の解明と対策を身体的観点と社会的観点の双方向から様々な検討を行った。
結果と考察
1.医療者への就労支援に関する情報提供
医療者への就労に関する最低限の勉強会およびロールプレイを通じて、知識の向上と、またそれにともなう患者へのアプローチの機会を増やすことを試みた。
今後もできるだけ多くの医療機関で開催し、医療者の意識の中に患者の就労問題に配慮する観点を入れた診療を広げていく必要がある。
2.医療機関における就労相談介入モデル
就労に関する医療機関による患者への介入としては初めての試みである、就労相談介入モデルとして就労に関するグループ療法—就労リングを試みた。
今後は、医療者を対象にファシリテーター養成講座を行い、全国の多くの医療現場で実証していくことを計画している。
3.医療機関における就労関連専門職(社会労務士、産業カウンセラーなど)との連携
 社会労務士を病院内に配置することなどが検討されているのに先行して、今回の研究班で初めてその試みが行なわれた。就労リングというグループ療法への医療者と組んだファシリテーターとしての参加の意義は大きい。
4.働くことを困難にする患者の身体的要因とその対策
 身体的要因として、がんの治療後の認知機能障害、精神的障害、倦怠感および抗がん剤の副作用などによるしびれ、爪関連の有害事象など、働くことへの身体的障害が考えられているが、本邦ではその調査や介入は行なわれていないため、その実態調査及び医学的介入を検討した意義は大きい。
5.社会経済効果の検討
 今回の研究で、がんの罹患による労働損失は明らかであり、またそれが社会に及ぼす影響も多大であることが判った。さらに、がん患者の就業を促進する対策により就業率が改善することができれば、労働損失が改善することも推計された。
結論
がん患者や経験者その家族が中心となった支援の構築をさらに進めていく必要がある。その中で、医療現場においての実践的支援は必要不可欠の部分があり、今回の研究は、その始まりとして重要な意義をなすものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201221077Z