若年がん患者を取り巻くがん診療・緩和治療支援の政策提言に資する研究

文献情報

文献番号
201221072A
報告書区分
総括
研究課題名
若年がん患者を取り巻くがん診療・緩和治療支援の政策提言に資する研究
課題番号
H24-がん臨床-若手-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
米盛 勧(独立行政法人国立がん研究センター 中央病院 乳腺・腫瘍内科)
研究分担者(所属機関)
  • 平川 晃弘(名古屋大学医学部附属病院)
  • 大松 尚子(大阪市立大学医学部附属病院)
  • 小松 美智子(武蔵野大学 人間関係学部)
  • 清水 千佳子(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院)
  • 温泉川 真由(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全悪性腫瘍患者集団では少ない割合である若年層(40歳未満)の悪性腫瘍患者の取り巻く多様な環境、社会背景(年代・家族構成・社会の役割)を調査し、我が国のがん診療支援、終末期ケア・緩和ケアの実態を調査し、若年層悪性腫瘍患者の支援の必要性や要望を明らかする。
研究方法
本研究は、前向き臨床研究とカルテを用いた後ろ向き臨床研究から構成される。カルテからの調査(各悪性腫瘍における若年層症例50例、その他世代150例程度の調査)ではがん診療の実態(転帰・終末期の診療や療養環境の状況)、家族を取り巻く環境の情報収集を行う。前向き臨床研究では、説明同意を取得した若年層悪性腫瘍患者・家族からの面談・書面による聞き取り調査症例数50名程度を予定し、直接、患者情報・社会環境、支援に対する要望について調査を行う。前向き臨床研究及び後ろ向き臨床研究は、生物統計専門家により解析を行う。得られた結果について、研究班で検討を行いや我が国の若年悪性腫瘍患者の診療における問題点、必要な支援の抽出、情報提供のあり方などをまとめていく。
結果と考察
後ろ向き臨床研究を乳癌・婦人科癌・肉腫・胚細胞腫・原発不明癌で実施している。また、前向き臨床研究は、2011年11月より開始し現時点で70名の患者登録に至り予定症例数を上回る進捗で研究が進んでいる。現時点で得られている後ろ向き臨床研究の結果からは、終末期のがん患者の介護を行うケアギバーがいない場合、有意に生存期間が短くなる傾向が示唆されていた。終末期のがん患者における支援において、ケアギバーとして家族の関わりが難しい場合も、介護保険制度を活用した人的なケア支援の充実が生命予後の改善に繋がる可能性があるかもしれない。前向き臨床研究のデータは統計解析されていないが、予備的な検討において若年がん患者の受診・相談行動は、患者本人単独による行動が多く、家族を対象にした前向き臨床研究の登録進捗の困難さが示唆された。また、患者より要望のある情報提供内容や相談支援業務で提供している情報提供内容等を踏まえた資材について検討を行っている。このような前向き・後ろ向き臨床研究の調査の結果から、若年世代の社会・経済・家族背景とがん診療や緩和治療における支援ニーズを明らかにし、若年がん患者に対する医療や生活に関して有用な情報提供ならびに情報交換のあり方や内容について検討を進めたい。
結論
若年の悪性腫瘍患者におけるがん診療・緩和診療における更なる対する支援・対策が必要な点を具体的に検討し、医療機関でがん診療・支援に関わる者・厚生労働省や自治体など行政で政策立案に関わるものに向け発信し、様々な社会背景・経済背景を抱えるあらゆる世代が安心して癌診療・緩和治療を受けていける社会となるように貢献していきたい。

公開日・更新日

公開日
2013-08-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201221072Z