放射線治療期間短縮による治療法の有効性と安全性に関する研究

文献情報

文献番号
201221068A
報告書区分
総括
研究課題名
放射線治療期間短縮による治療法の有効性と安全性に関する研究
課題番号
H24-がん臨床-一般-007
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
加賀美 芳和(昭和大学医学部放射線医学講座放射線治療学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 古平 毅(愛知県がんセンター中央病院)
  • 鹿間 直人(埼玉医科大学国際医療センター)
  • 野崎 美和子(獨協医科大学越谷病院)
  • 小口 正彦(公益財団法人がん研究会有明病院)
  • 萬 篤憲(独立行政法人国立病院機構東京医療センター)
  • 秋元 哲夫(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 齊藤 吉弘(埼玉県立がんセンター)
  • 松本 康男(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 吉岡 靖生(大阪大学大学院医学研究科)
  • 中村 和正(九州大学大学院医学研究院)
  • 手島 昭樹(大阪府立成人病センター)
  • 宇野 隆(千葉大学大学院医学研究院)
  • 伊藤 芳紀(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
  • 金森 修一(近畿大学医学部)
  • 晴山 雅人(札幌医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「T1-2N0M0声門癌に対する放射線治療の加速照射法と標準分割照射法のランダム化比較試験」(JCOG0701)、「乳房温存療法の術後照射における短期全乳房照射法の安全性に関する多施設共同試験」(JCOG0906)および「限局性前立腺癌に対する寡分割照射法の臨床第II相試験」(前立腺癌)の3臨床試験により放射線治療期間短縮の安全性と有効性を検証することが目的である。治療期間短縮は(1)患者の経済的負担が軽減、(2)必要通院日数・入院日数が減少し精神的ならびに時間的負担が軽減、(3)施設、医療スタッフの負担が軽減でき医療資源を有効に活用できるという利点がある。JCOG0701附随研究「声門癌放射線治療後の急性粘膜炎および音声機能の変化に関与する遺伝子多型の解析研究」(JCOG0701A1)の症例登録が開始された。JCOG0906でも遺伝子多型の解析研究を計画中である。

研究方法
1. JCOG0701 (1)目的:T1-2N0M0声門癌患者(扁平上皮癌)を対象に、一回線量を2.4 Gyに増加し治療期間を短縮した加速照射法を一回2 Gyの標準分割照射法とランダム化比較して3年無増悪生存割合において非劣性であることを検証する。Primary endpoint:3年無増悪生存割合Secondary endpoints:全生存期間、喉頭無増悪生存期間、無病生存期間、音声機能温存生存期間など(2)治療方法 A群:標準分割照射群  T1: 66 Gy/33回/45日間 T2: 70 Gy/35回/47日間 B群:加速照射群T1: 60 Gy/25回/33日間T2: 64.8 Gy/27回/37日間  
2. JCOG0906(1)目的:浸潤性乳癌の乳房温存手術後で切除断端に癌細胞の露出がない患者を対象として、術後残存乳房への短期照射法「全乳房照射42.56 Gy/16分割/22日間(断端近接例では腫瘍床へのブースト照射10.64 Gy/4分割/4日間あり)」が、我が国において安全に施行可能かどうかを確認する。Primary endpoint:3年遅発性有害反応発生割合(Grade 2以上)Secondary endpoints:全生存期間、無病生存期間、患側乳房内無再発生存期間、など(2)治療方法: 残存乳房照射(42.56 Gy/16回/22日間)ブースト照射(10.64 Gy/4回/4日間)
3.前立腺癌(1)目的: 前立腺癌患者に対して画像誘導を用いた軟部組織照合(IGRT)を併用した強度変調放射線治療(IMRT)による寡分割照射法70 Gy/28回/6週間が有効かつ安全であるかを探索的に検討する。Primary endpoint:5年遅発性有害事象発生割合、Secondary endpoints:急性期有害事象発生割合、5年生化学的無再発生存割合など (2)治療方法:IMRTにて行う。画像誘導(IGRT)の方法は、超音波、CT等の方法を用いる。病巣部局所照射野を用い予防的な所属リンパ領域への照射は行わない。照射線量は70 Gy/28回/6週間とする。
4. JCOG0701A1(1)目的:JCOG0701の附随研究として、声門癌放射線治療による急性期および晩期有害事象の発現と程度関与する一塩基多型SNPsを明らかにすることを目的とする。本研究は、約1,000のSNPsを解析して、放射線治療による急性期および晩期有害事象の発現に関与している可能性が高いSNPsを同定する探索的研究である。

結果と考察
1.JCOG0701:平成25年1月370例となり登録が終了した。4回のプロトコール改訂を行った(平成21年2月、6月、11月、平成23年11月)。原発巣の治療効果に関する中央判定は年2回行っている。放射線治療QAを施行している。
2.JCOG0906:平成24年9月312例となり登録を終了した。現在までに2回のプロトコール改訂を行った。整容性中央判定、放射線治療QAを行っている。
3.「前立腺癌」はプロトコールが完成し各施設倫理審査委員会で承認され次第、順次登録を開始している。
4.「声門がん」附随研究としてJCOG0701A1はJCOGおよび各施設IRB承認後平成23年1月より試料採取が開始されている。平成23年12月現在、191例登録され、順調に進行している。


結論
JCOG0701、JCOG0906は症例登録が終了した。今後経過観察を行っていく。「前立腺癌」は症例登録が順調進行している。JCOG0701A1は平成23年1月より試料採取が開始され順調に症例登録がされてている。JCOG0906附随研究は研究を準備中である。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201221068Z