相談支援センターの機能の評価と地域における活用に関する研究

文献情報

文献番号
201221065A
報告書区分
総括
研究課題名
相談支援センターの機能の評価と地域における活用に関する研究
課題番号
H24-がん臨床-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
高山 智子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 直幸(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所))
  • 石川 睦弓(静岡県立静岡がんセンター(研究所))
  • 鈴木 孝世(滋賀県立成人病センター(研究所))
  • 池上 俊彦(信州大学)
  • 清水 奈緒美(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所))
  • 朝倉 隆司(東京学芸大学)
  • 近藤 まゆみ(北里大学)
  • 井上 洋士(放送大学)
  • 加藤 雅志(独立行政法人国立がん研究センター)
  • 小川 朝生(独立行政法人国立がん研究センター)
  • 田尾 絵里子(独立行政法人国立がん研究センター)
  • 八巻 知香子(独立行政法人国立がん研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国のがん診療連携拠点病院に相談支援センターが設置されて6年が経過した。しかし「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針(平成20年3月改訂)」により相談支援センターの整備が進められているにも関わらず、相談件数は伸び悩み、十分に活用されていないことが指摘されている。本研究では、相談支援センターのさらなる可能性と発展に関する検討を行うために、これまでの相談支援センターに関する検討の成果を踏まえ、相談支援センターのとくに相談対応部分における質的な評価のあり方について検討すること、また各々の相談支援センターについて地域における機能および役割について明らかにし、相談支援センターの院内外における活用実態の把握と地域特性別の新たな活用方法のあり方を示すことを目的とする。
研究方法
文献検討、質問紙調査、半構造化インタビュー調査、地域住民調査、既存調査結果を用いた二次分析と事例調査等の方法により、5領域、16の検討を行った。1. 相談対応の質的な評価のあり方に関する検討:(1) がん相談支援センターにおける相談の質の向上プログラムの開発、(2) 相談の質を評価する評価表を用いた事例検討と評価の活用方法に関する検討、(3) 相談支援センターにおける相談員の教育・研修に関する検討、(4) 相談支援センターの評価に関する検討、(5) がん専門相談員のやりがいと困難・負担感に関する研究、2. 相談支援センターの地域における機能および役割の検討:(6) 相談支援センターの院内外を含めた機能と役割、位置付けに関する検討、(7) 情報提供および相談支援機能の役割分担と連携のあり方~情報種別、収集と整理、提供と普及、相談対応(教育と専門性)を考慮した場合の全国での整備数の検討~、(8) ICTを活用した滋賀県がん相談支援センター相談員支援システムの開発・実施に関する研究、3. 相談支援センターの院内外の活用実態と新たな活用方法の検討:(9) 相談支援センターの院内外の活用実態と新たな活用方法の検討~外来医療に焦点を当てて~、(10)同~文献検討~、(11)「臨床試験の情報」のがん相談の場面での活用における可能性と今後の課題~相談員向けの「臨床試験」ワークショップを通して~、(12) がん診療連携拠点病院の相談支援センターとがん当事者の連携・協働の実態に関する調査研究-がんサロンの取り組みにおける相談支援センターの役割について-、(13) 患者団体等との連携のあり方に関する検討、(14)HIV陽性者のピアサポートの現状とがんピアサポートの比較に関する検討、5. 相談支援センターの認知度等の国内推移に関わる検討:(15) 一般市民の相談支援センターの認知度とイメージ(利用に関する抵抗感)の経年推移に関する検討、(16) 国民の健康行動に関する調査と調査結果の新たな活用方法に関する検討~がん対策および国民生活に関する世論調査の年次推移から~である。
結果と考察
相談支援センターの相談対応の質的な評価については、作成したプログラムをある相談支援センターだけではなく、より多く、複数の地域での展開というように、点から面への展開の検討に漸くさしかかった。このような地域での展開は、相談支援センターの地域における機能や役割や、院内外における活動にも影響してくる可能性がある。そのためにも、相談支援センターの活動実態を明確に示せるよう、評価の視点が求められることになる。今年度開始した複数領域の検討について、今後、複眼的に検討、考察していくことも次年度の課題である。
結論
がん対策基本計画も二期目を迎え、これまで行われてきた相談支援センターの機能強化がますます求められているとともに、評価の視点が重要になってきている。相談支援センターが活用されるためには、単に広報すればよいというのではなく、確実にそこを利用することで得られるメリットを示していくことも必要である。そのためにも、どのような効果が得られるのか、利用者の視点で評価されると共に、相談支援センターを支えるがん専門相談員にも実感できることが必要である。今年度検討をはじめた5領域について、次年度に向けて、現場に可能な限りフィードバックできるものにし、地域で活用できるものにしていきたい。

公開日・更新日

公開日
2013-08-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201221065Z