肝疾患の治療薬に関する薬効評価について全国システム構築に関する研究

文献情報

文献番号
199800080A
報告書区分
総括
研究課題名
肝疾患の治療薬に関する薬効評価について全国システム構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 右人(国立長崎中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤文英(国立病院九州医療センター)
  • 林茂樹(国立国際医療センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成8(1996)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国立病院・療養所における肝疾患治療薬に関する治験対応、全国システム構築のため国立病院・療養所でネットワークの構築を目的とする。この目的のためA型急性肝炎及びC型慢性肝炎に対するインターフェロン治療を取り上げ、HOSPnetを用い毎月対象症例を報告し全国にその結果を開示すると共に、前年度分の急性肝炎及びC型慢性肝炎のプロトコール調査を行い、関連施設で治験が発生した場合、対象症例数が得られるかまた治験を高いクオリティーで持続できるかを検討する。更に国立病院・療養所での肝疾患死亡例を登録し、年次別にウイルス感染症が大多数を占める肝疾患の推移をリアルタイムで調査すること、自己免疫性肝疾患、特にPBCについての施設症例数調査を行い、より広い治験対象疾患の把握に努めることを目的とする。
研究方法
HOSPnetを用い前月分のA型肝炎発症症例数、C型肝炎のインターフェロン治療導入数を翌月17日までに報告する。前年度分のC型慢性肝炎インターフェロン導入例についてプロトコールに従い患者登録を行う。ファイルメーカーを用いたHOSPnet上の患者登録で病院名を始め、患者背景因子、肝機能、インターフェロン投与経過、効果判定を含む経過報告を提出する。
更に急性肝炎登録症例は、登録病院名、患者背景因子、肝機能、特殊ウイルス検査、予後についての年次解析を行う。肝疾患に対するより広い治験対応疾患を検索するため自己免疫性肝疾患と各施設での死亡登録者の年次推移につき、常にHOSPnetでの報告を行い結果を開示する方法論を採った。
結果と考察
A型急性肝炎においては1997年3月より1999年2月までで合計148例のHOSPnet上への登録がされた。報告施設は最大月96施設、最少月39施設であった。
C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療は1997年3月導入症例より1999年2月導入症例までで943例が登録された。最大回答施設は78施設が最高の月であり、最低32施設から登録されている。
更に肝疾患死亡調査は39施設より1,413例の死亡例が報告され、死因の最大は肝不全が41.9%、次いで癌関連死亡37.1%、消化管出血10.2%等であった。
HOSPnetネットワーク上に各種肝疾患の現況が報告され、各施設での症例把握数及びその対応につき治験開始に際しては適切な対応がとれるか否かがHOSPnet開示によりいずれの参加班員においても的確に把握でき、今後の治験遂行のための組織構築としては初期の目的を達した。
結論
肝疾患の治療薬に関する薬効評価について全国システム構築に関する研究をHOSPnetを用いるリアルタイムでの疾患別登録状況、更に年次別プロトコールによる2次調査を実施してきた。国立病院・療養所での対応は急性肝炎、慢性肝炎、自己免疫性肝疾患及び肝疾患死亡例で差はあるものの、各々の施設での疾患への意欲が異なり治験対応での施設の特色が見られた。対応は最大98施設よりの回答があり多くの施設が肝疾患治療薬に関する対応が可能と考えられた。特に慢性肝炎インターフェロン治療に関しては15のアクティブ施設では多数の症例数の治験が可能であり、続く10施設では中等度の症例解析が可能となる。国立病院・療養所で例えば慢性肝炎に対するインターフェロン治療などの治験では25施設で年間300例以上の症例対応が可能であり、本ネットワークが作動することにより適切な施設と治験責任者の選定、円滑な治験の進行が見込まれるようになった。

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