頭頸部腫瘍に対する強度変調放射線治療の確立と標準化のための臨床研究

文献情報

文献番号
201221050A
報告書区分
総括
研究課題名
頭頸部腫瘍に対する強度変調放射線治療の確立と標準化のための臨床研究
課題番号
H23-がん臨床-一般-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
西村 恭昌(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 柴田 徹(香川大学 医学部)
  • 田村 昌也(近畿大学 医学部)
  • 岡本 勇(近畿大学 医学部)
  • 石倉 聡(順天堂大学 医学部)
  • 峯村 俊行(独立行政法人国立がん研究センター 医学物理学)
  • 板坂 聡(京都大学大学院 医学研究科)
  • 幡野 和男(千葉県がんセンター 放射線治療部)
  • 古平 毅(愛知県がんセンター中央病院 放射線治療部)
  • 村上 祐司(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院)
  • 小口 正彦(がん研究会有明病院 放射線治療部)
  • 中田 健生(札幌医科大学 放射線医学講座)
  • 伊藤 芳紀(独立行政法人国立がん研究センター中央病院  放射線治療科)
  • 土屋 和彦(北海道大学病院 放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,446,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
強度変調放射線治療(IMRT)は、最新の高精度照射法の一つであり、晩期障害を低減して局所制御を高めることが期待されている。しかしながら、わが国では標準的なIMRT照射法は確立しておらず、その有効性と安全性を明らかにした多施設臨床試験もわが国ではまだなされていない。本研究では、症例ごとの個別化が重要で標準化が困難な頭頸部腫瘍を対象にIMRTの有効性と安全性を評価することを目的とする。IMRTは通常照射法では頭頸部がん患者のQOLを落としていた唾液腺障害も低減でき、有効性を保ったままで、これまで以上にQOLのよいがん治療法となることが期待される。現状では限られた施設でしか頭頸部腫瘍に対するIMRTは行われていないが、本研究で実施する3つの第II相試験で得られた結果およびノウハウは、今後わが国での頭頸部IMRTの参考・指針になると考えられる。
研究方法
上咽頭癌、中咽頭癌、および頸部食道癌に対するIMRTの3つの臨床試験を行う。上咽頭癌、中咽頭癌にはtwo-step法で、頸部食道癌に対してはsimultaneous integrated boost (SIB)法を用いる。先行の「上咽頭癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)の多施設共同第II相臨床試験(JCOG 1015)」における品質管理・品質保証として、参加施設に放射線治療計画の線量分布計算精度の第三者評価を義務づけ、登録開始前に複数の模擬症例を用いてIMRT治療計画の事前練習(ドライラン)を実施することにより施設間差を最小化した。また、Image-guided Therapy QA CenterのITC remote review toolを用いて、研究事務局で全例の治療計画と線量分布を確認している。
結果と考察
平成23年5月から「上咽頭癌に対するIMRTの多施設共同第II相臨床試験(JCOG 1015)」の症例登録を開始し、平成25年3月までに35例が登録された。現時点においては全例プロトコールに合致したIMRTが実施されていることが確認できている。平成25年1月に日本放射線腫瘍研究グループ(JROSG)で、「頸部食道癌に対するIMRTを用いた化学放射線療法の多施設共同第II相臨床試験(JROSG 12-1)」が承認され、同年2月から症例登録がはじまった。また、「T1-2N0-1M0中咽頭癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)の多施設共同第II相試験実施計画書」プロトコールコンセプトは、平成24年9月JCOG運営委員会にて承認され(PC1208)、現在フルプロトコールを作成中である。
結論
IMRTは通常照射法では頭頸部腫瘍患者のQOLを落としていた唾液腺障害も低減でき、有効性を保ったままで、これまで以上にQOLのよいがん治療法となることが期待される。本研究で実施する臨床試験で得られた結果およびノウハウは、今後わが国での頭頸部IMRTの参考・指針になると考えられる。以上より、本研究はわが国での頭頸部IMRT照射法の標準化・均てん化に有益であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201221050Z