成人難治性白血病におけるバイオマーカーに基づく層別化治療法の確立

文献情報

文献番号
201221046A
報告書区分
総括
研究課題名
成人難治性白血病におけるバイオマーカーに基づく層別化治療法の確立
課題番号
H23-がん臨床-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
直江 知樹(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 薄井 紀子(東京慈恵会医科大学)
  • 大西 一功(浜松医科大学 医学部附属病院)
  • 竹内 仁(日本大学 医学部)
  • 臼杵 憲祐(NTT東日本関東病院)
  • 小林 幸夫(国立がん研究センター)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 熱田 由子(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 伊藤 良和(東京医科大学)
  • 松村 到(近畿大学 医学部)
  • 今井 陽俊(社会医療法人北楡会札幌北楡病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、成人白血病に対して新たな分子診断による治療層別化を行い、化学療法、分子標的療法、同種造血幹細胞移植を含んだ新しい標準的治療法の確立を行うことと、白血病における包括的な前向き登録を実施し、我が国の白血病に関する診断と治療・アウトカムに関する実態を明らかにすることを目的とした。
研究方法
実施に当たっては、高い症例集積能力を有するJALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)の全面的な協力を得て下記の検討を行った。観察研究AML209-GS(UMIN-CTR:000003432)、第Ⅱ相試験AML209-FLT3-SCT(UMIN-CTR:000003433)、第Ⅳ相試験CBF-AML209KIT(UMIN-CTR:000003434)の登録を継続・推進するとともに、新たに第Ⅱ相試験APL212(UMIN-CTR:000008470)、APL212G(UMIN-CTR:000008471)、第Ⅲ相試験CML212(UMIN-CTR:000007909)、MDS212(UMIN-CTR:000009633)を開始した。目標症例数に到達した第Ⅱ相試験ALL202-U(UMIN-CTR:C00000064)、第Ⅲ相試験ALL202-O(UMIN-CTR:C00000064)、第Ⅱ相試験Ph-ALL208-IMA(UMIN-CTR:000001226)、第Ⅲ相試験CML207(UMIN-CTR:000000823)は新規登録を終了し、臨床経過の観察と情報収集を継続するとともに、ALL202-Uについては解析を開始した。JALSG参加施設における全ての初診AMLとMDS、CMMLを登録し5年間追跡するコホート研究(CS-07)は目標症例数に到達したため、新規登録を終了し、経過観察を継続するとともに、新たなコホート研究CS-11(UMIN-CTR: 000008371)とALLを対象としたコホート研究ALL-CS-12(UMIN-CTR:000007653)を開始した。第Ⅲ相試験APL204(UMIN-CTR:C000000154)は臨床情報の固定化と解析を行った
結果と考察
ALL202-U試験の解析により、若年成人AMLにおいては、小児ALLに対する治療レジメンを用いた本試験の治療成績は、従来JALSGで実施されてきた治療成績を上回るものであり、有害事象の増加を認めなかった。次年度より開始予定の新規臨床試験においても更なる検証が予定されている。
APL204試験の解析により、新規レチノイドであるAm80による維持療法は、高リスク群において従来のATRAによる維持療法よりも優れていることが示され、更に長期経過観察による検証を予定している。
AML209GS、AML209-FLT3-SCT、CBF-AML209-KIT試験の登録は順調に推移しており、CBF-AML209-KIT試験については次年度に中間解析を予定している。新規に開始した、APL212、APL212G、CML212、MDS212試験においても施設IRBの承認は順調に得られており、更なる登録促進を行っている。
結論
計画された臨床試験の登録は順調に経過し、ALL202-U試験、APL204試験については新規治療戦略の有用性が示された。
APL、CML、MDSに対する新たな試験も開始され、当初計画の通りに研究の進捗が認められている。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201221046Z