標準治療抵抗性神経膠芽腫に対するペプチドワクチンの第Ⅲ相臨床研究

文献情報

文献番号
201221044A
報告書区分
総括
研究課題名
標準治療抵抗性神経膠芽腫に対するペプチドワクチンの第Ⅲ相臨床研究
課題番号
H23-がん臨床-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
伊東 恭悟(久留米大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 寺崎 瑞彦(久留米大学 医学部)
  • 山田 亮(久留米大学 先端癌治療研究センター)
  • 笹田 哲朗(久留米大学 医学部)
  • 杉田 保雄(久留米大学 医学部)
  • 藤巻 高光(埼玉医科大学 医学部)
  • 成田 善孝(独立行政法人国立がん研究センター)
  • 西川 亮(埼玉医科大学 国際医療センター)
  • 井上 亨(福岡大学 医学部)
  • 上羽 哲也(福岡大学 医学部)
  • 栗栖 薫(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 杉山 一彦(広島大学病院 がん科学療法科)
  • 青木 友和(国立病院機構 京都医療センター)
  • 出口 誠(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 竹島 秀雄(宮崎大学 医学部)
  • 冨永 悌二(東北大学 医学部)
  • 角間 辰之(久留米大学 バイオ統計センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究目的は進行、再発、難治がんに対する新規の治療法確立である。具体的にはHLA-A24陽性のテモゾロミド治療抵抗性神経膠芽腫患者を対象としたテーラーメイドペプチドワクチン投与の有効性と安全性を検証する臨床試験を第III相プラセボ対照二重盲検比較試験として実施して医薬品承認を目指す。その後適応拡大を目指す。我々が開発したテーラーメイドがんペプチドワクチン研究は、各種がん、とりわけ膠芽腫への探索的臨床研究と企業による治験において良好な成績が得られ、その特色・独創性は世界から注目されている。当該研究によりがんペプチドワクチンが実用化された暁には多くのがん患者の福音となると思われる。日本では抗がん剤は欧米からの輸入医薬に頼っており、所謂ドラッグラグの課題を残し、厚生労働行政の観点からも、本邦発の副作用の少ない新規抗がん剤の開発は意義が大きい。
研究方法
本研究の体制は、膠芽腫に対するテーラーメイドペプチドワクチン第I相臨床試験(治験)及び継続投与試験(治験)での研究施設・研究試料・研究フィールドの踏襲継続を基本とする。主変更点は企業主体の治験から久留米大学医師等による医師主導治験になることである。
目標症例数は110症例、その内訳はワクチン・BSC群73例、プラセボ・BSC群37例である。主要評価項目はワクチン群とプラセボ群の全生存期間である。
本研究は患者を対象とした医師主導治験であり「薬事法」、「ヘルシンキ宣言」ならびに「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)」を遵守し倫理面も配慮した上で実施される。治験の実施に際しては、医薬品医療機器総合機構へ治験届出後に実施する。
結果と考察
平成24年度上半期には、追加施設として、北海道大学病院及び香川大学医学部附属病院のIRB承認を得て、治験開始に至っている。さらに、症例集積促進のため、新たな施設として杏林大学医学部付属病院、藤田保健衛生大学病院及び岡山大学病院で治験参加のご賛同を頂き、現在、2012年12月~2013年1月のIRB審査承認済みである。
現在までの本登録例は27例であり、2013年1月31日時点の同意取得例は45例、そのうち、スクリーニング脱落例(18例)を除く本登録例は27例(第1コース20例、第2コース移行4例、第3コース移行1例、第4コース移行2例)であり、死亡イベントは6例で確認されている。
また、重篤な有害事象(SAE)は7例8件で発現しているが、いずれも原疾患の悪化によるものと判断され、治験薬と因果関係は否定されている。なお、これらのSAEについては、その都度、全施設の治験責任医師へ報告し、各先生方から意見書を取得している。
症例集積促進策として、ITK-1治験ホームページ・フリーダイヤルの開設、院内ポスター、関連施設へのレター配布、西日本新聞への記事掲載など15件を実施している。また、2008年にがんペプチドワクチンの小冊子を発行しているが、本治験に関する事項を盛り込み、改訂版を作成した。
2013年1月31日時点までに発現した重篤な有害事象(SAE)は7例8件であったいずれも原疾患の悪化によるものと判断され、治験薬と因果関係は否定されている。なお、これらのSAEについては、その都度、全施設の治験責任医師へ報告し、各先生方から意見書を取得している。また。有害事象が発生した施設では医療機関の長及びIRBの審議を受けている。
盲検性を保った状態(実薬とプラセボを併合)しての解析 :死亡6例、生存例は2013年1月25日で一旦打ち切りとした。MSTは算出されなかった。⇒治験は当初計画に沿って進められていると判断
以上、本事業は順調に進捗しているが、再発膠芽腫に対しギリアデルが2013年1月から使用開始されたこと、更に、アバスチンが2013年6~7月頃に承認取得の可能性があり、今後の症例登録に多少影響があることが予想される。しかし、施設追加や既存施設の更なる治験推進を図ることで、目標である平成25年度内の予定症例は当初と変わりなく、110例の70%(77例)の登録を目指す。
登録期間は平成23年11月より平成27年10月、1症例当たりの投与期間は12カ月、追跡期間は最終投与後5カ月、全体の臨床試験期間は平成23年11月-平成29年3月の65カ月を予定する。
結論
申請時研究計画に沿って概ね順調に経過していると自己評価している。治験開始数カ月の遅延は、今後症例登録を加速させて研究期間終了時までには解消すべく努力する。申請時研究計画に沿って概ね順調に経過していると自己評価している。治験開始数カ月の遅延は、今後症例登録を加速させて研究期間終了時までには解消すべく努力する。

公開日・更新日

公開日
2013-07-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201221044Z