文献情報
文献番号
199800078A
報告書区分
総括
研究課題名
老人在宅医療を推進するシステム構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 智(ライフケアシステム代表幹事)
研究分担者(所属機関)
- 阿部志郎(横須賀基督教社会館館長)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
最近、在宅ケアについての議論が一般社会でも盛んになり、公的介護保険に
ついては身近な問題であるために一層盛んである。しかし、老人が最も心配するのは「
病気にならないこと(予防)」であり、「急変した時の医療(治療)」である。そして
、病気になったとき長年住み慣れた家での「在宅医療・在宅看護・在宅介護」を望むが
、それを支えるシステムと経済について不安がある。市町村に全部を任せられるとは誰
も考えていない。特に経済についての不安は大きく、それらを包括的に解決して行く「
普遍的な方向性」を具体的に研究し、提言し、行政にのせてゆくことが目的である。特
に在宅老人を中心とした医療と福祉はコミュニテイーに支えられるべきことを具体的に
示し、提言するのが目的である。
ついては身近な問題であるために一層盛んである。しかし、老人が最も心配するのは「
病気にならないこと(予防)」であり、「急変した時の医療(治療)」である。そして
、病気になったとき長年住み慣れた家での「在宅医療・在宅看護・在宅介護」を望むが
、それを支えるシステムと経済について不安がある。市町村に全部を任せられるとは誰
も考えていない。特に経済についての不安は大きく、それらを包括的に解決して行く「
普遍的な方向性」を具体的に研究し、提言し、行政にのせてゆくことが目的である。特
に在宅老人を中心とした医療と福祉はコミュニテイーに支えられるべきことを具体的に
示し、提言するのが目的である。
研究方法
老人在宅医療・福祉はそれぞれが生活するコミュニテイー(地域社会)を基
盤として営まれるのが最も自然で、効率的であり、永続性がある。大都市(東京)で1
8年の経験のあるライフケアシステムと横須賀市田浦地区の実践を文献などから分析し
た。またライフケアシステムの実験(Out Reachなど)から老人在宅医療の実
態を調査、分析した。
盤として営まれるのが最も自然で、効率的であり、永続性がある。大都市(東京)で1
8年の経験のあるライフケアシステムと横須賀市田浦地区の実践を文献などから分析し
た。またライフケアシステムの実験(Out Reachなど)から老人在宅医療の実
態を調査、分析した。
結果と考察
(1)大都会(東京を中心に)で老人在宅医療を一つの中心事業としている
会員組織(ライフケアシステム:会員1005名、65歳以上430名 約42.8%)の財源内容を
分析すると、公的収入(健康保険収入など)57%、会費収入36%、寄付収入4%で
、国際的水準である。日本全体では公的収入が96%で大きく異なり、コミュニテイー
に支えられている。健全なシステム構築に大切な方向付けである。(2)在宅医療に携
わる医師が最も切望することは「学問的な根拠」であるがその一つとして「在宅死の病
理解剖所見は病院死の所見より自然な死である」ことを証明できた。このことは今後に
大きな光を与えた。(3)患者、家族医ともに高齢化して遠方の診療所に通院困難にな
ることが多い。現行の健康保険法では医師が患者集団の所に赴いて多数の患者を診るこ
とが原則的にできない。本研究では実験的にそれを行ない多大の成果を得たので、これ
らが可能になる方向を提言した。更に実験を重ねてゆく。(4)老人在宅医療を推進す
るには医師が老人の情報を十分に持つ必要があるが、例えば医師が在宅老人のために病
院医師を訪ね、多くの時間を使い情報を集めても、健康保険からはその報酬はない。既
にライフケアシステムで行なっている症例から計算して提言をした。
会員組織(ライフケアシステム:会員1005名、65歳以上430名 約42.8%)の財源内容を
分析すると、公的収入(健康保険収入など)57%、会費収入36%、寄付収入4%で
、国際的水準である。日本全体では公的収入が96%で大きく異なり、コミュニテイー
に支えられている。健全なシステム構築に大切な方向付けである。(2)在宅医療に携
わる医師が最も切望することは「学問的な根拠」であるがその一つとして「在宅死の病
理解剖所見は病院死の所見より自然な死である」ことを証明できた。このことは今後に
大きな光を与えた。(3)患者、家族医ともに高齢化して遠方の診療所に通院困難にな
ることが多い。現行の健康保険法では医師が患者集団の所に赴いて多数の患者を診るこ
とが原則的にできない。本研究では実験的にそれを行ない多大の成果を得たので、これ
らが可能になる方向を提言した。更に実験を重ねてゆく。(4)老人在宅医療を推進す
るには医師が老人の情報を十分に持つ必要があるが、例えば医師が在宅老人のために病
院医師を訪ね、多くの時間を使い情報を集めても、健康保険からはその報酬はない。既
にライフケアシステムで行なっている症例から計算して提言をした。
結論
(1)老人在宅医療を推進するシステムを構築するには、まず該当老人の側に立
つコミュニテイーを形成しなければならない。日本の現状では一見困難なように思われ
るが、大都会で既に実践している所もあり厚生省報告(平成9年6月27日公表)にもある
ように今後の重要な「鍵」である。(2)在宅医療を実践している医療者、とくに医師
を勇気づけるのは「学問的な裏付け」である。在宅死の病理解剖はそのひとつであるが
今後こうした研鑚が「日本在宅医学会」のなかでなされて行くことを願う。(3)老人
在宅医療が行ない易いような経済的配慮、例えば社会保険診療報酬のきめの細かい改訂
が望まれる。(4)在宅老人を中心に、医療と福祉の協力体制が更に進められねばなら
ない。そこに新しい老人コミュニテイーが形成されるであろう。
つコミュニテイーを形成しなければならない。日本の現状では一見困難なように思われ
るが、大都会で既に実践している所もあり厚生省報告(平成9年6月27日公表)にもある
ように今後の重要な「鍵」である。(2)在宅医療を実践している医療者、とくに医師
を勇気づけるのは「学問的な裏付け」である。在宅死の病理解剖はそのひとつであるが
今後こうした研鑚が「日本在宅医学会」のなかでなされて行くことを願う。(3)老人
在宅医療が行ない易いような経済的配慮、例えば社会保険診療報酬のきめの細かい改訂
が望まれる。(4)在宅老人を中心に、医療と福祉の協力体制が更に進められねばなら
ない。そこに新しい老人コミュニテイーが形成されるであろう。
公開日・更新日
公開日
-
更新日
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