高悪性度筋層非浸潤癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除後の治療方針の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201221025A
報告書区分
総括
研究課題名
高悪性度筋層非浸潤癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除後の治療方針の確立に関する研究
課題番号
H22-がん臨床-一般-026
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
塚本 泰司(札幌医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 寛(札幌医科大学 医学部)
  • 篠原 信雄(北海道大学 医学部)
  • 羽渕 友則(秋田大学 医学部)
  • 冨田 善彦(山形大学 医学部)
  • 北村 康男(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 西澤 理(信州大学 医学j部)
  • 川島 清隆(栃木県立がんセンター)
  • 藤元 博行(国立がん研究センター中央病院)
  • 吉田 一成(北里大学 医学部)
  • 武田 正之(山梨大学 医学部)
  • 庭川 要(静岡県立がんセンター)
  • 杉村 芳樹(三重大学 医学部)
  • 後藤 百万(名古屋大学 医学部)
  • 西村 和郎(大阪府立成人病センター)
  • 小川 修(京都大学 医学部)
  • 藤本 清秀(奈良医科大学)
  • 筧 善行(香川大学 医学部)
  • 橋根 勝義(四国がんセンター)
  • 荒井 陽一(東北大学 医学部)
  • 内藤 誠二(九州大学 医学部)
  • 江藤 正俊(熊本大学 医学部)
  • 松岡 啓(久留米大学 医学部)
  • 中川 昌之(鹿児島大学 医学部)
  • 大家 基嗣(慶應義塾大学 医学部)
  • 藤澤 正人(神戸大学 医学部)
  • 井川 幹夫(島根大学 医学部)
  • 大園 誠一郎(浜松医科大学)
  • 頴川 晋(東京慈恵会医科大学)
  • 堀江 重郎(帝京大学 医学部)
  • 山口 秋人(原三信病院)
  • 市川 智彦(千葉大学 医学部)
  • 谷川 俊貴(新潟大学医歯学総合病院)
  • 栃木 達夫(宮城県立がんセンター)
  • 大山 力(弘前大学 医学部)
  • 浅野 友彦(防衛医科大学校)
  • 武中 篤(鳥取大学 医学部)
  • 松山 豪泰(山口大学 医学部)
  • 西山 博之(筑波大学 医学部)
  • 都築 豊徳(名古屋第二赤十字病院)
  • その他(当研究班の分担者は41名。その他の分担者については研究報告書を参照。)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 HG-T1 筋層非浸潤癌に対する2nd TUR後の治療に関して、BCG膀注療法と無治療経過観察とのランダム化比較試験を計画し、患者登録を実施した。あわせてHG-T1癌の臨床経過を検討した。
研究方法
 本臨床研究は日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)泌尿器科腫瘍グループが実施する。対象患者を一次登録後、2nd TURを実施する。切除標本に癌が認められなかった患者を二次登録しBCG膀注を実施する群と、無治療経過観察群にランダム割付し、後者の臨床的妥当性を検証する。Primary endpointはT1以上の膀胱内再発および遠隔転移がない生存期間とした。HG-T1癌の臨床上の問題点を検討した。
結果と考察
参加すべての施設での承認が得られ、適格患者の登録が行われている。これまでに一次登録77例、二次登録31例が登録されている。この間、予期しない重篤な有害事象は認めなかった。2nd TURでの 残存腫瘍の割合は30-50%前後とされている。約半数に出現する可能性のあるT0に対しても、有害事象のあるBCG膀注療法の必要性には疑問がある。本臨床試験であるJCOG1019は、このclinical questionに解答を与え、2nd TUR後の標準治療を確立するものと期待できる。HG-T1癌の臨床上の問題点として、経過観察中あるいはBCG膀注後に
筋層浸潤に至るリスクの高い症例の特徴を明らかにした。癌細胞のE-cadherin
からN-cadherinの発現が胱内再発のリスク因子として特定できた。BCG膀注療法における従来の維持療法より短期間でも有用ではないかという示唆が得られた。これらの知見は臨床に速やかに還元できるものであった。さらに本研究であるJCOG1019試験の試験デザインとその臨床的意義を明らかにした。
結論
 HG-T1 筋層非浸潤癌の2nd TUR後の治療に関するランダム化比較臨床試験のプロトコールを作成し、症例登録を開始した。臨床研究では、浸潤癌へ移行しやすいタイプの特定、膀胱再発のリスク因子の同定、BCG膀注療法での維持療法の治療回数の確立、などを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201221025B
報告書区分
総合
研究課題名
高悪性度筋層非浸潤癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除後の治療方針の確立に関する研究
課題番号
H22-がん臨床-一般-026
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
塚本 泰司(札幌医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 寛(札幌医科大学 医学部)
  • 篠原 信雄(北海道大学 医学部)
  • 羽渕 友則(秋田大学 医学部)
  • 冨田 善彦(山形大学 医学部)
  • 北村 康男(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 西澤 理(信州大学 医学部)
  • 川島 清隆(栃木県立がんセンター)
  • 藤元 博行(国立がん研究センター中央病院)
  • 吉田 一成(北里大学 医学部)
  • 武田 正之(山梨大学 医学部)
  • 庭川 要(静岡県立がんセンター)
  • 杉村 芳樹(三重大学 医学部)
  • 後藤 百万(名古屋大学 医学部)
  • 西村 和郎(大阪府立成人病センター)
  • 小川 修(京都大学 医学部)
  • 藤本 清秀(奈良医科大学)
  • 筧 善行(香川大学 医学部)
  • 橋根 勝義(四国がんセンター)
  • 荒井 陽一(東北大学 医学部)
  • 内藤 誠二(九州大学 医学部)
  • 江藤 正俊(熊本大学 医学部)
  • 松岡 啓(久留米大学 医学部)
  • 中川 昌之(鹿児島大学 医学部)
  • 大家 基嗣(慶應義塾大学 医学部)
  • 藤澤 正人(神戸大学 医学部)
  • 井川 幹夫(島根大学 医学部)
  • 大園 誠一郎(浜松医科大学)
  • 頴川 晋(東京慈恵医科大学)
  • 堀江 重郎(帝京大学 医学部)
  • 山口 秋人(原三信病院)
  • 市川 智彦(千葉大学 医学部)
  • 谷川 俊貴(新潟大学医歯学総合病院)
  • 栃木 達夫(宮城県立がんセンター)
  • 大山 力(弘前大学 医学部)
  • 浅野 友彦(防衛医科大学校)
  • 武中 篤(鳥取大学 医学部)
  • 松山 豪泰(山口大学 医学部)
  • 西山 博之(筑波大学 医学部)
  • 都築 豊徳(名古屋第二赤十字病院)
  • その他(当研究班の分担者は41名。その他の分担者については研究報告書を参照。)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 HG-T1 筋層非浸潤癌に対する2nd TUR後の治療を確立するために、BCG膀注療法と無治療経過観察とのランダム化比較試験を計画し、患者登録を実施した。あわせてHG-T1癌の臨床経過を検討した。
研究方法
 本臨床研究は日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)泌尿器科腫瘍グループが実施する。対象患者を一次登録後、2nd TURを実施する。切除標本に癌が認められなかった患者を二次登録しBCG膀注を実施する群と、無治療経過観察群にランダム割付し、後者の臨床的妥当性を検証する。Primary endpointはT1以上の膀胱内再発および遠隔転移がない生存期間とした。あわせてHG-T1癌の臨床上の問題点を検討した。
結果と考察
参加すべての施設での承認が得られ、適格患者の登録が開始された。これまでに一次登録77例、二 次登録31例が登録されている。一次登録症例数と二次登録症例数は試験開始前の予測通りほぼ2:1であった。この間、予期しない重篤な有害事象は認めなかった。2nd TUR後の治療については確立されたものがない。特に、約半数に出現する可能性のあるT0に対する治療はさまざまである。可能であれば有害事象のあるBCG膀注療法を避けたいが、それを許容するエビデンスはない。今回の臨床試験はこのエビデンスを確立することであり、国内外初めての研究である。HG-T1癌の臨床上の問題点については、①初回TURにおける筋層切除の意義、②浸潤癌へ移行しやすい癌の特徴(BCG-refractory症例、切除標本でのmicropapillary variant、など)、③胱内再発のリスク因子の特定(Integrin、FGFR3、Eg-5、Cadherin)、④BCG膀注療法における維持療法の問題点(維持療法の施行回数)、など臨床に直結した結果を得た。特に、浸潤癌の診断、進展に関して①、②の結果については臨床上の意義は大きいと思われた。
結論
 HG-T1 筋層非浸潤癌の2nd TUR後の治療に関するランダム化比較臨床試験の
プロトコールを作成し、症例登録を開始した。一次登録症例は77例、二次登
録症例は30例であった。予期しない重篤な有害事象はなかった。臨床研究では、浸潤癌の診断、進展に関してあるいは膀胱再発のリスク因子の同定などに成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201221025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまでの研究から、臨床的な重要な事項として、高悪性度筋層非浸潤がんではセカンドTURが必須であることのみならず、初回の切除に際しての筋層切除の重要性も明らかになった。
臨床的観点からの成果
高悪性度筋層非浸潤がんでは、セカンドTUR後の治療に関しBCG膀胱内注入療法が前例に必要か否かは明らかにはなっていない。そのため、この治療が適応となる症例を見いだすためのランダム化比較試験を開始した。平成28年12月までの一登録症例は421例、二次登録症例は215例であった。予期しない重篤な有害事象はなかった。過去1年間の二次登録症例数は50例以上であったので、平成29年9月までには二次登録症例の目標である250例に達すると思われる。
ガイドライン等の開発
登録修了後の結果解析により本試験の意義が明らかになり、その結果によっては治療ガイドラインに追加されるべきものになる可能性がある。
その他行政的観点からの成果
BCG膀胱内注入療法の副作用を考慮すると、セカンドTUR後にBCG膀胱内注入療法を回避できる症例像は臨床的に貴重な情報となる。これまでは前向きの研究がなかったので本試験での結果が注目される所以である。
その他のインパクト
BCG膀胱内注入療法が不要な症例の存在のみならず、再発の危険因子を特定できると思われ、日常臨床への貢献が大きいと思われる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kiyoshima K, Akitake M, Shirota M, et al
Prognostic significance of preoperative urine cytology in low-grade non-muscle invasive bladder cancer
Anticancer Research , 36 (2) , 799-802  (2016)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2017-06-23

収支報告書

文献番号
201221025Z