文献情報
文献番号
201221013A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性リンパ腫に対する最適化されたモノクローナル抗体併用療法の開発による標準的治療法の確立
課題番号
H22-がん臨床-一般-014
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
木下 朝博(愛知県がんセンター中央病院 血液・細胞療法部)
研究分担者(所属機関)
- 飛内賢正(国立がん研究センター中央病院 血液内科)
- 塚崎邦弘(国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科)
- 伊藤国明(国立がん研究センター東病院 乳腺科・血液化学療法科)
- 谷脇雅史(京都府立医科大学医学部医学科 血液・腫瘍内科学)
- 鈴木孝世(滋賀県立成人病セン ター 血液・腫瘍内科)
- 石澤賢一(東北大学病院 臨床試験推進センター)
- 永井宏和(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
- 大間知謙(東海大学医学部 血液・腫瘍内科)
- 楠本茂(公立大学法人名古屋市立大学大学院医学 研究科 腫瘍・免疫内 科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
16,102,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
B細胞リンパ腫に対する抗体医薬品である抗CD20抗体リツキシマブと化学療法の併用におけるRの至適投与法を、多施設共同によるランダム化比較試験で検証し、より治癒率の高い冶療法を確立して予後を改善することにある。
ぴまん性大細胞型B細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell Lymphoma, DLBCL)に対する標準的治療はリツキシマブとCHOP療法の併用療法(R-CHOP)だが、リツキシマブとCHOP療法の最適な併用スケジュールは確定していない。本研究ではR-CHOP療法におけるRの投与スケジュールに関するランダム化比較試験をJCOGリンパ腫グループの多施設共同研究として実施する。
ぴまん性大細胞型B細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell Lymphoma, DLBCL)に対する標準的治療はリツキシマブとCHOP療法の併用療法(R-CHOP)だが、リツキシマブとCHOP療法の最適な併用スケジュールは確定していない。本研究ではR-CHOP療法におけるRの投与スケジュールに関するランダム化比較試験をJCOGリンパ腫グループの多施設共同研究として実施する。
研究方法
本研究は、JCOGリンパ腫グループにおける臨床試験、「未治療のCD20陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するR-CHOP 療法におけるリツキシマブの投与スケジュールの検討を目的としたランダム化第II/III相試験 (JCOG0601)」として実施している。
本研究はCD20 陽性DLBCL患者を対象として、8 コースのCHOP 療法の各コースにリツキシマブを計8 回投与する方法(R-CHOP 療法群)を対照に、CHOP 療法開始からリツキシマブを週1回連続8回投与する方法(RW+CHOP 療法群)の有用性をランダム化第II/III相試験により検証する。第II相部分のPrimary endpointは完全奏効割合(ORR)、Secondary endpointsは無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および、有害事象発生割合である。第III相部分のPrimary endpointはPFS、Secondary endpointsはOS および有害事象発生割合である。
予定登録例数は第II相部分のB 群で68 例、第III相部分では各群180 例 計360 例(第II 相部分を含む)、予定登録期間は5 年、追跡期間:3 年、総研究期間:8 年である。
倫理面への配慮としては、ヘルシンキ宣言などの国際的倫理原則に従い、IRBによる審査・承認を受けた説明文書を用いて説明を行い、自由意志に基づく同意を患者本人より文書で得て実施する。
本研究はCD20 陽性DLBCL患者を対象として、8 コースのCHOP 療法の各コースにリツキシマブを計8 回投与する方法(R-CHOP 療法群)を対照に、CHOP 療法開始からリツキシマブを週1回連続8回投与する方法(RW+CHOP 療法群)の有用性をランダム化第II/III相試験により検証する。第II相部分のPrimary endpointは完全奏効割合(ORR)、Secondary endpointsは無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および、有害事象発生割合である。第III相部分のPrimary endpointはPFS、Secondary endpointsはOS および有害事象発生割合である。
予定登録例数は第II相部分のB 群で68 例、第III相部分では各群180 例 計360 例(第II 相部分を含む)、予定登録期間は5 年、追跡期間:3 年、総研究期間:8 年である。
倫理面への配慮としては、ヘルシンキ宣言などの国際的倫理原則に従い、IRBによる審査・承認を受けた説明文書を用いて説明を行い、自由意志に基づく同意を患者本人より文書で得て実施する。
結果と考察
JCOG0601は2007 年 10 月18 日 にJCOG プロトコール審査委員会で承認されて発効した。本試験は当初未治療進行期低リスク群のDLBCLを対象として開始した。しかし2008年末での登録が37例と予定登録集積を下回った。このため、参加施設で取り扱った未治療DLBCL全例の実態調査を実施したが、適格例はわずか63例(7.1%)だった。この理由の一つとして「進行期かつ低リスク」に相当する患者は割合として多くないことが考えられた。本試験の臨床的仮説は病期および年齢、risk factor によって本来変わらないと考えられるため、対象に限局期および高リスク群を含めるプロトコール改正を行い、JCOG 効果・安全性評価委員会で承認され 2010 年9 月16 日に発効した。改正前には月平均で約3例だった患者登録ペースは改正後に約7例と2倍以上に増加した。2013年3月1日現在の患者登録総数は296例で、目標360例の約82%に達している。
2012年には第II相部分に登録された患者の治療が完了したためプロトコールに規定された第1回の中間解析を行った。全適格例(B群)68例が対象となり、その解析結果から帰無仮説「真の%CR が55%以下である」は片側 P 値 <0.0001で棄却された。中間解析に基づいてJCOG効果・安全性評価委員会の審査が行われ、2012年10月30日に試験の継続が認められた。
これまでに認められた重篤な有害事象はすべて既知有害事象で支持療法などによって回復・改善しており、治療関連死は認めていない。
プロトコール改正後は症例登録が大きく回復し2013年中には症例登録が完了できる見込みであり、現在登録期間を1年延長するプロトコール改訂を計画中である。
2012年には第II相部分に登録された患者の治療が完了したためプロトコールに規定された第1回の中間解析を行った。全適格例(B群)68例が対象となり、その解析結果から帰無仮説「真の%CR が55%以下である」は片側 P 値 <0.0001で棄却された。中間解析に基づいてJCOG効果・安全性評価委員会の審査が行われ、2012年10月30日に試験の継続が認められた。
これまでに認められた重篤な有害事象はすべて既知有害事象で支持療法などによって回復・改善しており、治療関連死は認めていない。
プロトコール改正後は症例登録が大きく回復し2013年中には症例登録が完了できる見込みであり、現在登録期間を1年延長するプロトコール改訂を計画中である。
結論
リツキシマブと化学療法の至適併用投与法を確立する目的でJCOG0601を実施した。当初症例登録が予定を下回ったため、対象を全病期の全IPIリスク群に拡大するプロトコール改正を行い登録ペースが大幅に改善した。現在まで本プロトコール遂行に関わる重大な有害事象は報告されていない。
RW+CHOP療法はCHOP 療法の初期にリツキシマブを集中的に併用投与することでその血中濃度を高め、高い抗腫瘍効果を得ることを企図している。本研究によってリツキシマブのより有効な投与方法が確立され、DLBCLの治療が大きく進歩することが期待される。
RW+CHOP療法はCHOP 療法の初期にリツキシマブを集中的に併用投与することでその血中濃度を高め、高い抗腫瘍効果を得ることを企図している。本研究によってリツキシマブのより有効な投与方法が確立され、DLBCLの治療が大きく進歩することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2013-08-21
更新日
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