切除不能胆道がんに対する治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201221012A
報告書区分
総括
研究課題名
切除不能胆道がんに対する治療法の確立に関する研究
課題番号
H22-がん臨床-一般-013
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
奥坂 拓志(独立行政法人国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科)
研究分担者(所属機関)
  • 宮川 宏之(札幌厚生病院 第二消化器科)
  • 菱沼 正一(栃木県立がんセンター 外科)
  • 佐田 尚宏(自治医科大学 外科)
  • 山口 研成(埼玉県立がんセンター 消化器内科)
  • 山口 武人(千葉県がんセンター 消化器内科)
  • 池田 公史(独立行政法人国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)
  • 石井 浩(がん研有明病院 消化器内科)
  • 古瀬 純司(杏林大学医学部 内科学 臨床腫瘍科)
  • 大川 伸一(神奈川県立がんセンター 消化器内科)
  • 田中 克明(横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 消化器内科)
  • 福冨 晃(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
  • 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部)
  • 中森 正二(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 統括診療部)
  • 片山 和宏(地方独立行政法人大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
  • 井口 東郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 臨床研究部)
  • 杉本 理恵(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 消化器内科)
  • 伊藤 鉄英(九州大学病院 肝臓・膵臓・胆道内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
17,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
切除不能胆道がんの予後の改善を目指し、新規抗がん剤であるS-1を用いた化学療法の有用性を切除不能胆道がんに対する標準治療とされるゲムシタビンを用いた化学療法とのランダム化比較試験にて検証する。
研究方法
本研究は以下の2段階で行う。
1)S-1単独療法とS-1とゲムシタビン併用療法とのランダム化第II相試験「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法とのランダム化第II相試験」(JCOG0805)
2)ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法と1)のランダム化第II相試験で選択される治療法とのランダム化第III相試験(JCOG1113)
結果と考察
「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法とのランダム化第II相試験」(JCOG0805)は2009年2月より登録を開始し、予定よりおよそ10ヶ月早い2010年4月に登録を完了した(101例)。主要評価項目である1年生存率において、ゲムシタビン+S-1併用療法はS-1単剤療法を上回り、有害反応も許容範囲であった。これらの結果より、ゲムシタビン+S-1併用療法は、次相試験における試験治療レジメンとすべきと考えられ、「進行胆道癌を対象としたゲムシタビン+シスプラチン併用療法(GC療法)とゲムシタビン+S-1併用療法(GS療法)の第III相比較試験(JCOG1113)」の試験計画を作成し、2012年1月に試験実施計画書をJCOGプロトコール審査委員会に提出。2013年1月1次審査承認され、3月19日に最終審査承認となり、登録開始に向け準備を進めている。

結論
「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法のランダム化第II相試験(JCOG 0805) 」の結果、ゲムシタビン+S-1併用療法が次相試験の試験レジメンとして選択され、現在、「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+シスプラチン併用療法とゲムシタビン+S-1併用療法(GS療法)の第III相比較試験(JCOG1113)」の開始準備が進められている。

公開日・更新日

公開日
2013-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201221012B
報告書区分
総合
研究課題名
切除不能胆道がんに対する治療法の確立に関する研究
課題番号
H22-がん臨床-一般-013
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
奥坂 拓志(独立行政法人国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科)
研究分担者(所属機関)
  • 宮川宏之(札幌厚生病院 第二消化器科)
  • 浜本康夫(栃木県立がんセンター 消化器内科)
  • 菱沼正一(栃木県立がんセンター 外科)
  • 長瀬通隆(自治医科大学 臨床腫瘍部)
  • 佐田尚宏(自治医科大学 外科)
  • 山口研成(埼玉県立がんセンター 消化器内科)
  • 山口武人(千葉県がんセンター 消化器内科)
  • 池田公史(独立行政法人国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)
  • 石井 浩(がん研有明病院 消化器内科)
  • 古瀬純司(杏林大学医学部 内科学 臨床腫瘍科)
  • 大川伸一(神奈川県立がんセンター 消化器内科)
  • 田中克明(横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 消化器内科)
  • 朴 成和(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
  • 福冨 晃(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
  • 山雄健次(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部)
  • 中森正二(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 統括診療部)
  • 井岡達也(地方独立行政法人大阪府立成人病センター 検診部)
  • 片山和宏(地方独立行政法人大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
  • 井口東郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 臨床研究部)
  • 杉本理恵(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 消化器内科)
  • 伊藤鉄英(九州大学病院 肝臓・膵臓・胆道内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
切除不能胆道がんの予後の改善を目指し、新規抗がん剤であるS-1を用いた化学療法の有用性を切除不能胆道がんに対する標準治療とされるゲムシタビンを用いた化学療法とのランダム化比較試験にて検証する。
研究方法
本研究は以下の2段階で行う。
1)S-1単独療法とS-1とゲムシタビン併用療法とのランダム化第II相試験「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法とのランダム化第II相試験試験」(JCOG0805)
2)ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法と1)のランダム化第II相試験で選択される治療法とのランダム化第III相試験(JCOG1113)
結果と考察
「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法のランダム化第II相試験(JCOG08805)」は2009年2月より登録を開始し、予定よりおよそ10ヵ月早い2010年4月に登録を完了した(101例)。ゲムシタビン+S-1併用療法は主要評価項目である1年生存率においてS-1単剤療法を上回り、有害反応も許容範囲であり、次相試験における試験治療レジメンとすべきと考えられた。
前述の前相試験(JCOG0805)の成績をうけて、本第III相試験の試験計画を作成し、2012年1月に試験実施計画書をJCOGプロトコール審査委員会に提出。2013年1月1次審査承認され、3月19日に最終審査承認予定であり、登録開始に向け準備を進めている。
結論
「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法のランダム化第II相試験(JCOG 0805) 」の結果、ゲムシタビン+S-1併用療法が次相試験の試験レジメンとして選択され、「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+シスプラチン併用療法とゲムシタビン+S-1併用療法(GS療法)の第III相比較試験(JCOG1113)」の開始準備が進められている。

公開日・更新日

公開日
2013-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201221012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、最初にS-1単独療法とGS療法とのランダム化第II相試験を実施し、主要評価項目である1年生存割合が良好であったGS療法が有望なレジメンとして選択され、現在の標準治療であるGC療法との第III相試験が開始となることとなった。我が国は世界一の胆道癌の高罹患率国であり、本研究によって我が国発の新しい標準治療が確立し、患者に利益をもたらす可能性が高いことが示された。
臨床的観点からの成果
切除不能胆道がんの予後はきわめて不良であるため、より有効かつ安全な非手術療法の開発が求められてきた。GS療法は、今回のランダム化第II相試験において生存期間がS-1単剤療法より良好な傾向にあり、また有害反応が現標準治療のGC療法よりも軽減する可能性があることが明らかとなり、新しい標準治療として位置づけられる可能性が十分にあることが示された。
ガイドライン等の開発
平成26年に発刊した胆道癌診療ガイドラインにおいて、GS療法が良好な成績を示したことが紹介され、文献引用された。
その他行政的観点からの成果
S-1は本邦で開発され、複数の癌腫で有効性を示している新しい抗がん剤であり、本研究では、S-1が切除不能胆道がんに対しても新たな標準治療薬として位置づけられる可能性が高いことが示された。本研究においては患者登録が予想以上の早い速度で完了しており、世界的に希少がんとされる胆道がんに対して、我が国が標準治療確立に貢献しうる質の高い臨床試験を実施しうることを示した意義は大きいと思われる。
その他のインパクト
本ランダム化第II相試験の成績が国際学会に発表されたことについて、下記の雑誌やウェブサイトに紹介された(メディカルレビュー社「膵・胆道癌FRONTIER」、日経BP社「がんナビ」、Medical News & Conference Systems Inc.「ASCO 2012速報」)。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
Takashima et al. Jpn. J. Clin. Oncol. 2010 Morizane et al. Cancer Sci. 2013
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第10回日本臨床腫瘍学会学術集会(JCOG0805 発表者 池田公史)2012年7月26日-28日
学会発表(国際学会等)
2件
ASCO-GI(JCOG0805 発表者 森実千種)2012年1月19日-21日 ASCO(JCOG0805 発表者 上野 誠)2012年6月1日-5日
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
胆道癌診療ガイドライン(平成26年発刊)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takashima A, Morizane C, Ishii H, et al.
Randomized phase II study of gemcitabine plus S-1 combination therapy vs. S-1 in advanced biliary tract cancer: Japan Clinical Oncology Group Study (JCOG0805).
Jpn J Clin Oncol. , 40 (12) , 1189-1191  (2010)
10.1093/jjco/hyq110
原著論文2
Morizane C1, Okusaka T, Mizusawa J, Takashima A, et al.
Randomized phase II study of gemcitabine plus S-1 versus S-1 in advanced biliary tract cancer: a Japan Clinical Oncology Group trial (JCOG 0805).
Cancer Sci. , 104 (9) , 1211-1216  (2013)
10.1111/cas.12218

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2017-05-25

収支報告書

文献番号
201221012Z