文献情報
文献番号
201221008A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢がん患者の治療開始および中止における意思決定能力の評価およびその支援に関する研究
課題番号
H22-がん臨床-一般-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
明智 龍男(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 内富 庸介(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 岡村 仁(広島大学 大学院保健学研究科)
- 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
- 小川 朝生(国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)
- 奥山 徹(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、超高齢化社会において、患者、家族が、がん治療に際して納得のいく意思決定を行い、質の高い療養を可能とするような支援プログラムの開発を目的とする。今年度は以下の研究を行った。
1)がん患者の意思決定能力の評価法に関する研究
治療前がん患者の治療同意能力とその低下要因を検討する。意思決定能力障害時の支援ツールを作成する。
2)高齢がん患者のリハビリテーションに関する研究
「速度フィードバック療法」の有効性を検証する。
3)高齢がん患者の支援プログラムの開発に関する研究
高齢がん患者のコミュニケーションに関する意向および身体症状についての実態を把握する。
4)高齢がん患者における心身の状態の包括的評価方法に関する研究
脆弱性スクリーニングツールVulnerable Elders Survey (VES-13)日本語版の有用性を検討する。
1)がん患者の意思決定能力の評価法に関する研究
治療前がん患者の治療同意能力とその低下要因を検討する。意思決定能力障害時の支援ツールを作成する。
2)高齢がん患者のリハビリテーションに関する研究
「速度フィードバック療法」の有効性を検証する。
3)高齢がん患者の支援プログラムの開発に関する研究
高齢がん患者のコミュニケーションに関する意向および身体症状についての実態を把握する。
4)高齢がん患者における心身の状態の包括的評価方法に関する研究
脆弱性スクリーニングツールVulnerable Elders Survey (VES-13)日本語版の有用性を検討する。
研究方法
研究毎に示した。
1)進行肺がん患者116名/血液がん患者52名に、MacArthur Competence Assessment Tool-Treatment(MacCAT-T)あるいはStructured Interview for Competency and Incompetency Assessment Testing and Ranking Inventory-Revised(SICIATRI-R)を施行した。支援ツールは、腫瘍学、緩和医学、精神医学、生命倫理学の専門家により、既存のエビデンスとガイドラインをレビューして作成した。
2)乳がん/前立腺がん患者を対象として無作為化比較試験を行った。
3)悪い知らせを伝えられる際の医師のコミュニケーション行動への意向および身体症状の特徴について若年者と比較した。
4)血液がん患者に、VES-13、身体的機能、抑うつ気分、認知機能障害の評価を行った。
1)進行肺がん患者116名/血液がん患者52名に、MacArthur Competence Assessment Tool-Treatment(MacCAT-T)あるいはStructured Interview for Competency and Incompetency Assessment Testing and Ranking Inventory-Revised(SICIATRI-R)を施行した。支援ツールは、腫瘍学、緩和医学、精神医学、生命倫理学の専門家により、既存のエビデンスとガイドラインをレビューして作成した。
2)乳がん/前立腺がん患者を対象として無作為化比較試験を行った。
3)悪い知らせを伝えられる際の医師のコミュニケーション行動への意向および身体症状の特徴について若年者と比較した。
4)血液がん患者に、VES-13、身体的機能、抑うつ気分、認知機能障害の評価を行った。
結果と考察
研究毎に示した。
1)進行肺がん患者/血液がん患者の各々24%/27%に意思決定能力障害が存在することを示した。意思決定能力が障害された高齢がん患者の意思決定を支援するための臨床ツールBest interest for Elderly incompetent patient Support Tool(BEST)を作成した。
2)速度フィードバック療法は高齢がん患者の認知機能改善に有効であることが示した。
3)高齢がん患者は、若年者同様、医師からの情緒的サポートを望んでいる一方、若年者ほど伝え方への配慮や多くの種類の情報を望んでいないこと、若年者よりも場の設定への配慮を望んでいるなどの特徴が存在することが示唆された。また、高齢者でも若年者と同等のサポートが必要であるが、特に呼吸困難、倦怠感、ADLに関する支援が重要であることが示唆された。
4)VES-13のスクリーニング性能は不十分であることが示された。
1)進行肺がん患者/血液がん患者の各々24%/27%に意思決定能力障害が存在することを示した。意思決定能力が障害された高齢がん患者の意思決定を支援するための臨床ツールBest interest for Elderly incompetent patient Support Tool(BEST)を作成した。
2)速度フィードバック療法は高齢がん患者の認知機能改善に有効であることが示した。
3)高齢がん患者は、若年者同様、医師からの情緒的サポートを望んでいる一方、若年者ほど伝え方への配慮や多くの種類の情報を望んでいないこと、若年者よりも場の設定への配慮を望んでいるなどの特徴が存在することが示唆された。また、高齢者でも若年者と同等のサポートが必要であるが、特に呼吸困難、倦怠感、ADLに関する支援が重要であることが示唆された。
4)VES-13のスクリーニング性能は不十分であることが示された。
結論
高齢がん患者では、意思決定能力に障害がみられることは稀ではないことが示された。今後、今回開発された意思決定支援ツール、リハビリシステム、コミュニケーションや身体症状に関しての知見を生かした高齢がん患者の支援プログラム開発が期待される。
公開日・更新日
公開日
2013-06-03
更新日
-