呼吸移動を伴う胸部病変に対する先進的強度変調回転照射に関する研究

文献情報

文献番号
201220076A
報告書区分
総括
研究課題名
呼吸移動を伴う胸部病変に対する先進的強度変調回転照射に関する研究
課題番号
H24-3次がん-若手-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 成世(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
研究分担者(所属機関)
  • 小口正彦(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
  • 小塚拓洋(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
  • 中島大(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
  • 伊藤康(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
  • 北村望(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
  • 五月女達子(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
  • 大友結子(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
  • 上原隆三(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,348,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は呼吸移動を伴う胸部病変において、強度変調回転照射(VMAT)の最適な治療計画から日々の投与線量の評価までの一連の手法を開発し、システムを構築することである。
研究方法
胸部動体ファントムに対して治療計画を立案し、治療中の呼吸状態の変化が投与線量に与える影響及び原因について検討を行った。過去に治療を行った非小細胞肺癌患者を対象に線量体積ヒストグラム(DVH)の解析を行い、線量処方方法や線量制約などの最適化計算に必要となる情報の検討を行った。電子照合装置の画像から腫瘍位置を検出できるソフトウェアの作成を行い、VMATにおける検出の問題点について検討を行った。呼吸移動を考慮した線量再構成法の構築を行い、胸部動体ファントムを用いて精度評価を行った。
結果と考察
自由呼吸下・呼吸停止下の照射においても、呼吸状態の変化により投与線量が10%程度変化する状況が存在した。呼吸停止下においては照射門毎の線量勾配、自由呼吸下においては多分割コリメータ(MLC)動作の複雑さ及び照射中の呼吸数が影響していると考えられた。DVH解析の結果、アイソセンタ線量と比較し、計画標的体積のD50が最も安定していることが分かった。また、肺の線量制約に関してもGr2以上の放射線肺臓炎が生じた線量の閾値を求めることができた。正規相互相関を用いて腫瘍の追跡を行うことで、単純な照射条件においては1mm以内の精度で腫瘍位置を求めることが可能であった。VMATにおいては、腫瘍と寝台や椎体が重なる場合やMLCと重なる場合において腫瘍位置を検出することが難しかったが、腹壁の動作から腫瘍の移動量を推定し、その情報を基に腫瘍を追跡することでVMAT照射時の全腫瘍位置を求めることが可能であった。線量再構成は、VMAT照射時の機器動作記録であるログデータを使用し、治療計画装置で線量分布を再計算させる方法を用いて構築を行った。胸部動体ファントムを使用し、頭尾方向のみに腫瘍を移動させた状況下においては腫瘍の中心線量は3%以内、線量分布はガンマ解析(3% / 3 mm)において90%以上のPass率で実測と一致する結果が得られた。
結論
最適な治療計画を検討する上での基礎データの取得及び、腫瘍位置検出と線量再構成の構築を行った。これらの基盤を基に最適な治療計画の検討、腫瘍位置検出と線量再構成の精度向上を目指す。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201220076Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,833,204円
人件費・謝金 303,366円
旅費 11,000円
その他 200,430円
間接経費 652,000円
合計 5,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-10-14
更新日
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