高精度放射線治療システムの実態調査と臨床評価に関する研究

文献情報

文献番号
201220048A
報告書区分
総括
研究課題名
高精度放射線治療システムの実態調査と臨床評価に関する研究
課題番号
H23-3次がん-一般-007
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中村 和正(九州大学 大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 鹿間 直人(埼玉医科大学国際医療センター )
  • 宇野 隆(千葉大学大学院)
  • 戸板 孝文(琉球大学医学部)
  • 角 美奈子(国立がん研究センター)
  • 大西 洋(山梨大学医学部)
  • 古平 毅(愛知県がんセンター中央病院 )
  • 小泉 雅彦(大阪大学大学院)
  • 小川 和彦(大阪大学医学部附属病院 )
  • 権丈 雅浩(広島大学大学院)
  • 山内 智香子(滋賀県立成人病センター)
  • 塩山 善之(九州大学大学院)
  • 佐々木 智成(九州大学病院)
  • 手島 昭樹(大阪大学大学院)
  • 熊崎 祐(埼玉医科大学国際医療センター)
  • 大谷 侑輝(大阪大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
放射線治療は近年非常な進歩をとげ、先進的な放射線治療機器の導入が進んでいる。その実現には、人員配置、機器の運用や品質管理体制等の「診療の質」の充実が不可欠であるが、実態は不明である。本研究の目的は、高精度放射線治療機器導入の実態をサーベイするとともに、ランダムに抽出した施設を訪問し、品質管理体制、治療過程等を調査し、各施設にフィードバックし、本邦の放射線治療の質の向上に大きく寄与することである。同時に放射線治療の均てん化と集約化の基礎的データを得ることも目的とする。
研究方法
平成23年度に放射線治療の質に関する指標(Quality Indicator:QI)を策定した。平成24年度に、前年に作成したQIを用いて全放射線治療施設にアンケート調査を実施すると同時に、ランダムに選択した40-50施設への訪問調査を行う。最終年度には訪問調査を継続し、施設ごとのQIの充足度等を解析し、改善のための提言を行う。
結果と考察
平成24年度は以下の項目を実施した。
1)放射線治療全施設アンケート調査
前年までに策定した放射線治療の質に関する指標(QI約100項目)をもとに、日本放射線腫瘍学会の理事会にてアンケート実施の承認をうけた後、全国の放射線治療施設(789 施設)にアンケートを実施した。QIは、放射線治療スタッフ、高精度放射線治療技術、放射線治療計画、品質管理体制に関する109の設問からなる。まず、Web入力システムを作成、Webにて回答を収集した。未回答施設にはさらにアンケートを郵送し、平成24年11月末に締め切り、最終的に490施設より回答を得た(回答率62%)。平成24年9月23日回答施設に中間解析結果を報告した。中間解析結果では、施設での治療後の外来経過観察率、医学物理士/品質管理士の配属状況、画像誘導放射線治療・強度変調放射線治療の実施状況やその方法、呼吸移動対策、品質管理体制などについて重要な知見を得た。現在、最終的なアンケート結果を集計中である。
本研究で作成したWebシステムはGUI(Graphical User Interface)で設定できるように構築しており、経年的に再利用可能である。

2)DICOM-RT取得/参照プロセスの確立
 本研究では、各施設を訪問した際、肺癌に対する体幹部定位放射線治療、前立腺癌に対する強度変調放射線治療、頭頸部癌に対する強度変調放射線治療の3疾患に対して、個人情報を削除したDICOM-RTデータを収集することを計画している。DICOM-RTデータとは、治療計画に用いたCT画像(DICOMデータ)に、ターゲット輪郭や線量分布などの放射線治療のデータを含んだ放射線治療計画データの統一規格のことで、これを匿名化、参照できることにより、各施設の治療計画の違い等を比較、検討できる。
 本研究でのDICOM-RT取得/参照プロセスの確立は、①治療計画装置からのDICOM-RTデータの取得、②DICOM-RTデータの匿名化、③DICOM-RTデータ参照の3つのプロセスからなる。まず、様々な治療計画装置( Eclipse/XiO/Pinnacle3/iPlan)からDICOM-RTデータを取得するためのマニュアルを作成し、研究班ホームページ(http://htec_pcs.umin.jp/)で公開した。DICOM-RTデータの匿名化、DICOM-RTデータ参照については、分担研究者の大阪大学にてそのソフトウェアを作成した。本研究でのDICOM-RT取得/参照プロセスの確立により、従来施設内でクローズされていた放射線治療計画データを容易に匿名化し、収集、それを解析することが可能となった。

3)訪問調査
上記プロセスを確立した後、実際に訪問調査を開始した。平成24年12月現在で、まず6施設で調査を実施、調査が順調に進むことを確認した。平成25年度も引き続き継続する予定である。

4)前立腺癌小線源療法等の普及状況と施設ごとの症例数の調査
 「がん対策推進基本計画」で記載されている治療技術の地域での集約化の可能性を探るために、新たに、前立腺癌小線源療法等の普及状況と施設ごとの症例数の推移の調査を行った。治療開始後1年以上経過した施設にて、2005年では23施設で1412名が治療されていたが、2011年には109施設で3793名が治療された。特に、年間24例以下のみしか治療しない小規模施設数が急増していた。現在、前立腺外部照射に関して、同様な調査を開始している。
結論
高精度放射線治療の質のQIに関するアンケート調査を実施し、訪問調査を開始した。最終年度には訪問調査を継続し、施設ごとのQIの充足度等を解析し、改善のための提言を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201220048Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,000,000円
(2)補助金確定額
14,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,604,160円
人件費・謝金 2,725,675円
旅費 2,511,490円
その他 1,928,675円
間接経費 3,230,000円
合計 14,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-10-14
更新日
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