がん対策推進基本計画とがん診療連携拠点病院の小児がん診療体制への 適用に関する研究

文献情報

文献番号
201220046A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策推進基本計画とがん診療連携拠点病院の小児がん診療体制への 適用に関する研究
課題番号
H23-3次がん-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 田口智章(九州大学大学院医学研究院 小児外科学)
  • 副島俊典(兵庫県立がんセンター 放射線治療科)
  • 上田孝文(国立病院機構大阪医療センター 整形外科)
  • 堀部敬三(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 柳澤隆昭(埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター 脳脊髄腫瘍科 小児脳脊髄腫瘍部門)
  • 吉峰俊樹(大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科)
  • 柴田亜希子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センターがん統計研究部・がん疫学)
  • 小田 慈(岡山大学病院 小児血液・腫瘍科/岡山大学大学院保健学研究科)
  • 瀧本哲也(国立成育医療研究センター 臨床研究センター臨床研究推進室、小児血液腫瘍学、研究所)
  • 多田羅竜平(大阪市立総合医療センター 緩和医療科兼小児内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
24年度に指定される小児がん拠点病院の備えるべき要件を検討、提言する。また、小児がん拠点病院指定後の小児がん医療の質の向上のための方策についても検討する。
研究方法
【小児がん拠点病院の要件案の作成】23年度に実施した患者とその家族を対象としたアンケート調査、および全国医療施設の小児がんの診療実態の調査を解析し、さらに英国の小児がん診療体制を参考にしつつ、がん診療連携拠点病院の指定要件を基本にしてわが国の小児がん拠点病院の要件案を作成した。
【小児がん診療施設の診療実態調査】23年度調査結果をおもに専門医の人材の配置状況について検討した。
【カナダの小児がん診療体制についての調査】カナダの小児がん診療体制についての調査
【小児がん登録のあり方の検討】地域がん登録および日本小児血液・がん学会登録の登録データを検討した。
【小児がん医療の集約化と均てん化を同時に達成するための方策の検討】主任研究者がテーマと解決案を提示し、それに対して患者家族を含む班員、研究協力者が議論を行い、コンセンサスをまとめた。
結果と考察
【小児がん拠点病院の要件案の作成】小児がん拠点病院の要件案を作成し、平成24年5月24日の小児がん拠点病院あり方検討会で提案した。診療機能として、骨軟部腫瘍、脳腫瘍を含むすべての小児がんをワンストップで診療できること、放射線治療を自施設で実施可能であることを要件とした。外部委員を含んだレジメン審査委員会の設置および適応外抗がん剤使用の審議手続きが定められていることを必須要件とした。緩和ケアについては、患者家族へのアンケートで終末期医療への満足度が低かったことから、がん診療連携拠点病院の指定要件とほぼ同じとした。医療施設の要件として、造血器腫瘍は年間11例以上の施設が44施設であったことから、診療実績については、初発例を年間30例以上診療していることを要件とした。相談支援センターの設置、セカンドオピニオン、院内がん登録、地域がん登録への協力などは、これまでのがん診療連携拠点病院指定要件とほぼ同様とした。小児がん拠点病院に特有の要件として、長期フォローアップ外来の設置、入院中の教育を担保するための院内学級の開設と退院時の復学支援、精神的ケアのために家族が24時間希望する時間に面会可能なこと、きょうだいの保育、心理士による患者とその家族の精神的ケアの実施、敷地内の家族の長期滞在施設の設置などの要件を必須または望ましいとした。必要な診療従事者を日本小児血液・がん学会暫定指導医、日本小児外科学会専門医保育士、ホスピタルプレイスペシャリスト(チャイルドライフスペシャリスト)、心理士、社会福祉士とした。
【小児がん診療施設の診療実態調査】小児がん診療に携わる小児科医は全国で690人であり、そのうち経験が10年以上のものは279人であった。年間小児がん発生数が約2000例であることを考えると、必要な医師数は確保されていることになる。結局わが国では専門医が患者同様、多くの施設に分散していることが明らかとなった。患者の集約化の状況は小児外科領域や整形外科領域、放射線治療領域ではすでにその方向に進んでいた。一方、脳神経外科領域では脳腫瘍は脳神経外科単独で診療されている施設も多く、多くの施設に分散して診療されていた。
【カナダの小児がん診療体制】今回の調査では、わが国への導入が望ましいものとして、トロント小児病院での長期フォローアップ外来の体制および家族支援のプログラムが考えられる。
【小児がん登録のあり方の検討】日本小児血液・がん学会登録と地域がん登録の比較を行った。前者では脳腫瘍の補足率が低く、後者では1歳未満患者の補足率が低かった。
【小児がん医療の集約化と均てん化を同時に達成するための方策の検討】患者要望である、5つのテーマについて解決方法の検討を行い、コンセンサスを作成した。
結論
当初の目的である小児がん拠点病院の指定要件を提言することにより、当初の目的は達成した

公開日・更新日

公開日
2013-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201220046Z