新戦略に基づく抗がん剤の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201220027A
報告書区分
総括
研究課題名
新戦略に基づく抗がん剤の開発に関する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-028
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
松村 保広(独立行政法人国立がん研究センター 東病院臨床開発センター新薬開発分野)
研究分担者(所属機関)
  • 西山 伸宏(東京工業大学)
  • 丸山 一雄(帝京大学)
  • 眞鍋 史乃(独立行政法人 理化学研究所)
  • 安永 正浩(立行政法人国立がん研究センター 東病院臨床開発センター新薬開発分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
26,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
工学系マテリアルとしてはポリマーミセルによる抗がん剤デリバリー、リポソームと超音波併用による温熱療法の開発、生物系マテリアルとしては抗体抗がん剤複合体の有用性を検討する。いずれは抗体と工学系マテリアルとのハイブリッド化を行う。がんと血液凝固といった病態生理学に立脚した新たな治療戦略を創生する。
研究方法
1) 抗不溶性フィブリン 抗体の生化学的特性の解析とDDSへの応用のための薬理評価
2)  環状RGDペプチド導入DACHPt内包ミセルの構築と薬効評価
3) バブルリポソームと超音波による温熱療法の開発
4) 抗体抗がん剤複合体作製のためのリンカーテクノロジーの研究開発
結果と考察
1)我々が樹立した抗フィブリン抗体は不溶性フィブリンにのみ結合し、エピトープはフィブリノゲンのBβ鎖上にあることが分かった。この領域はフィブリノゲンやその他の可溶性フィブリン産物ではγ鎖の特定の領域で覆われており、不溶性フィブリンに変化した時にのみ露出することをつきとめた。
2) RGD付加DACHpt内包ミセルは同所移植脳腫瘍に選択的に集積し、またDACHptに比べて、高い抗腫瘍効果をしめした。
3)バブルリポソームを利用した超音波がん温熱療法後に樹状細胞を腫瘍内投与することで、超音波がん温熱療法または樹状細胞免疫療法単独より高い抗腫瘍効果が認められた。
4)  新規Pro-Glyを設計、合成した。さらに、in vitro において、新規リンカーがこれまでに汎用されているスペーサーと同等の放出能を持つことが明らかになった。

DDS製剤は工学系のナノ粒子に抗体などのパイロット分子を搭載することにより有効なナノキャリアになることが証明された。新規不溶性フィブリン抗体の生化学的特性を明らかにし、かつ臨床的有用性を明らかにすることができた。抗体抗がん剤複合体においては抗体の特性によりリンカーを変えることが重要であるCAST治療・診断への応用が期待できる。
結論
今後抗体をキーワードとしてのDDS製剤の開発が主流となると考える。本邦におけるregulationを含む整備が重要となる。

公開日・更新日

公開日
2013-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201220027Z