文献情報
文献番号
201218010A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症の超早期診断システムの構築と発症予防のための介入プログラムの作成
課題番号
H23-認知症-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
内田 和彦(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
- 朝田 隆(国立大学法人筑波大学 医学医療系 )
- 水上 勝義(国立大学法人筑波大学 体育系 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
18,455,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では「元気な高齢化社会実現のための生涯の健康脳の維持」を目的に、3年間で「早期介入のための認知症早期診断法の確立」を目指す。2001年から今日まで継続する申請者らの利根プロジェクト(利根町コホート)「認知症予防の地域介入縦断研究」の時系列の臨床データと血清を活用し、「認知症発症と発症リスク要因・リスク抵抗要因に関わる生体分子(バイオマーカー)を明らかにする。申請者らが比較定量タンパク質メタボロミクス技術を用いて発見したアルツハイマー病・軽度認知機能障害(MCI)の血液中に特徴的に検出される神経細胞由来ならびに炎症関連のタンパク質・ペプチドに注目し、①多施設サンプルにより、これまでに申請者らが見出した血液バイオマーカーの「横断面」における診断精度の解析について、複数の医療機関から得られたサンプルを用いてその再現性を検討するとともに、利根プロジェクト(利根町コホート)由来のサンプルを用いて、②知的健常からMCI、アルツハイマー病 へと至った者における3年ごとのバイオマーカーの推移について、比較定量タンパク質メタボロミクス技術を用いた「縦断研究解析」を重点的に行った。平成24年度においては、縦断研究解析において3年ごとのバイオマーカーの推移の分析を重点的に行った。知的健常からMCI、アルツハイマー病 へと至った縦断研究症例におけるマーカーの推移を測定し、評価することで、臨床症状初発の何年も前の時点でアルツハイマー病 発症を感知できるかどうかについての検討を行うものである。これにより「認知症の超早期診断」が可能になり、高齢化社会において急増する認知症患者の数を減らすことができると考えれる。
研究方法
筑波大など5施設のサンプルを用いた横断研究と利根町コホートのサンプルを用いた縦断研究について非標識法による2D-LC-MALDI-TOF MSによるバイオマーカーの解析(比較定量タンパク質メタボロミクス)を行った。またこれらのサンプルについてiTRAQを用いたラベル法による定量を行った。さらに一部についてはその親タンパク質のイムノアッセイを行った。これらの異なる手法を用いた解析においてそれぞれ、横断研究と縦断研究の結果の比較を行った。また初年度から本年度にかけて確立したタンデム四重極質量分析装置を用いた高速MRM(同時多項目分析)LC-MS 定量法による臨床サンプルの解析、時系列の臨床データ、生活環境・介入データのデータベース化を行った。
結果と考察
本年度の成果として、新規の神経細胞由来、炎症関連タンパク質由来、アポタンパク質由来のバイオマーカーペプチドの臨床有効性が横断研究で確認できた。さらにこれらのいくつかは横断研究と縦断研究の結果が一致し、健常からMCI発症で有意に血中量が変化した。具体的には経時的に収集した2005 年→2008 年の健常→健常 と 健常→MCI の個々の症例サンプルについて解析した。解析方法を複数行うことで再現性を確認するとともに、これらのペプチドの親タンパク質(ペプチドが由来するタンパク質)についても抗体を用いた定量解析を行った。
また10種類のペプチドマーカー候補について高速MRM(同時多項目MS/MS分析)LC-MS 定量法を確立し、そのうち2種類について臨床サンプルを用いた臨床有効性の再現を得た。今後は、高速MRM-LC-MS 定量法(LC-MS アッセイ)横断研究と縦断研究によりバイオマーカーの臨床有効性を確認する予定である。これらのバイオマーカーについて認知機能障害の発症過程における病理的役割についての知見を得る。またデータベース化した臨床データ、生活環境・介入データから発症リスク要因とリスク抵抗要因に関わる生体分子の探索を統計解析手法を用いて行う予定である。また高速MRM-LC-MS 定量法については、それぞれのバイオマーカーペプチドについて最適化を行い、臨床で使用可能なアッセイとしての完成度を高めることで臨床応用へと進めたい。
また10種類のペプチドマーカー候補について高速MRM(同時多項目MS/MS分析)LC-MS 定量法を確立し、そのうち2種類について臨床サンプルを用いた臨床有効性の再現を得た。今後は、高速MRM-LC-MS 定量法(LC-MS アッセイ)横断研究と縦断研究によりバイオマーカーの臨床有効性を確認する予定である。これらのバイオマーカーについて認知機能障害の発症過程における病理的役割についての知見を得る。またデータベース化した臨床データ、生活環境・介入データから発症リスク要因とリスク抵抗要因に関わる生体分子の探索を統計解析手法を用いて行う予定である。また高速MRM-LC-MS 定量法については、それぞれのバイオマーカーペプチドについて最適化を行い、臨床で使用可能なアッセイとしての完成度を高めることで臨床応用へと進めたい。
結論
認知症の横断研究と認知症予防の地域介入の縦断研究による検証を実施し、知的健常からMCI、アルツハイマー病 へと至った縦断研究症例におけるマーカーの推移を明らかにした。今後、認知症の血中バイオマーカーの臨床における実用化の研究へと進め、認知症の超早期診断を実現し、予防・治療の研究へと進めることが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2016-09-12
更新日
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