文献情報
文献番号
201218006A
報告書区分
総括
研究課題名
J-ADNIコアスタディ:画像・バイオマーカーの解析・活用と臨床研究体制の確立
課題番号
H22-認知症-指定-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
岩坪 威(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 朝田 隆(筑波大学 精神医学)
- 荒井啓行(東北大学 加齢医学研究所)
- 高橋 智(岩手医科大学)
- 山田正仁(金沢大学 神経内科)
- 杉下守弘(脳血管研究所)
- 松田博史(国立精神神経医療研究センター)
- 伊藤健吾(国立長寿医療研究センター)
- 千田道雄(先端医療センター)
- 桑野良三(新潟大学脳研究所)
- 佐藤元(国立保健医療科学院)
- 佐藤典子(国立精神神経医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
26,630,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
J-ADNIコアスタディは、アルツハイマー病(AD)根本治療薬の創出を最終目標とし、その効果の客観的評価指標の確立を図る全国臨床研究「J-ADNI」の基盤を形成し、その成果の実用化を促進することを目的に(1)J-ADNI研究で得られたデータの解析の推進、根治薬治験や臨床研究への応用促進 (2)米国をはじめとする世界ADNI研究成果との相互解析による世界4極統一基準の確立 (3)ADNI水準の臨床研究・治験を可能とする全国基盤体制整備、を3主要目標とし、J-ADNI研究の各専門コア主任が連携して遂行する基盤形成研究である。
研究方法
臨床コアの朝田は荒井とともに臨床評価、とくにMCIから認知症(AD)へのコンバージョンを評価した。同・荒井は東北大学をモデル臨床施設とし、規範的臨床研究を実行した。高橋は18FアミロイドPETプローブの臨床応用を行った。山田はADにおいて、脳灰白質容量、脳糖代謝に対する脳アミロイドアンギオパチー(CAA)の影響を検討した。松田は健常高齢者における脳萎縮の進行にアポリポ蛋白E遺伝子 ε4アリル(以下ApoE4と略)が関与するか否かをMRIで検討した。伊藤は多施設PET研究における標準化撮像体制を推進、千田はPET画像の品質管理を行った。桑野は髄液測定を施行するとともに、脳脊髄液バイオマーカーの標準化にむけた国際共同研究に参加した。佐藤元はPiBアミロイド画像PETの部位別SUVR値を基に、これらを規定する因子の検索を行い、さらに各被験者のこれら因子得点によるApoE4の予測・判別可能性を検討した。これらの基盤活動に支えられ、岩坪が統括する形でJ-ADNI臨床研究を全国38施設で統一プロトコルに沿って施行した。
結果と考察
最終年度となる平成24年度はNEDO橋渡し研究J-ADNIグローバル研究との連携のもと、全国38臨床施設からなる臨床研究が6年間の初期予定期間を終了、平成25年2月現在3124ビジット(全目標の90.1%)を達成した。本研究の分担研究者らは、J-ADNIを推進するとともに、その基盤となる臨床・画像研究について次の成果を得た。朝田らは臨床コアPIとして荒井らとともに
臨床判定を主導し、MCI例の12ヶ月後の認知症へのコンバージョン率が29%と米国ADNIに比して一貫して高いことを指摘した。荒井らは東北大学サイトにおいてフルスペクトラムのADNI研究を先導的に行い、東日本大震災後も都健康長寿医療センターと連携してアミロイドPET追跡を完遂した。寺山、山田らはそれぞれ臨床画像研究の基盤を進展させた。松田らは健常高齢者における脳萎縮の進行にApoE4が関与するか否かを検討し、ApoE4およびアミロイド蓄積は内側側頭部よりも後部帯状回から楔前部の萎縮の進行により関与する可能性を示した。伊藤らはFDG およびアミロイドPET検査を推進し、検査実施数の増加(2012年12月14日現在FDG-PET 1301例、アミロイドPET 556例)に対応してPETデータの画像解析および関連解析などを進めた。千田らはPET検査の品質管理の実際を担当し、種々の補正を行い、ブラインド中央読影ののち、保存管理して研究利用に供する仕組みを構築した。桑野らはバイオマーカー測定を実行、脳脊髄液アミロイドβ、タウ、リン酸化タウの測定値の国際標準化研究に参加、遂行した。佐藤元らはPiBアミロイド画像PETの部位別SUVR値を基に、これらを規定する因子の検索を行い、さらに各被験者のこれら因子得点によるApoE4の予測・判別可能性を検討した。佐藤典子らは種解析に向けたデータマネージメントを検討し、日々登録されるデータのチェック、被験者状態の経時的な把握・整理の推進を行った。
臨床判定を主導し、MCI例の12ヶ月後の認知症へのコンバージョン率が29%と米国ADNIに比して一貫して高いことを指摘した。荒井らは東北大学サイトにおいてフルスペクトラムのADNI研究を先導的に行い、東日本大震災後も都健康長寿医療センターと連携してアミロイドPET追跡を完遂した。寺山、山田らはそれぞれ臨床画像研究の基盤を進展させた。松田らは健常高齢者における脳萎縮の進行にApoE4が関与するか否かを検討し、ApoE4およびアミロイド蓄積は内側側頭部よりも後部帯状回から楔前部の萎縮の進行により関与する可能性を示した。伊藤らはFDG およびアミロイドPET検査を推進し、検査実施数の増加(2012年12月14日現在FDG-PET 1301例、アミロイドPET 556例)に対応してPETデータの画像解析および関連解析などを進めた。千田らはPET検査の品質管理の実際を担当し、種々の補正を行い、ブラインド中央読影ののち、保存管理して研究利用に供する仕組みを構築した。桑野らはバイオマーカー測定を実行、脳脊髄液アミロイドβ、タウ、リン酸化タウの測定値の国際標準化研究に参加、遂行した。佐藤元らはPiBアミロイド画像PETの部位別SUVR値を基に、これらを規定する因子の検索を行い、さらに各被験者のこれら因子得点によるApoE4の予測・判別可能性を検討した。佐藤典子らは種解析に向けたデータマネージメントを検討し、日々登録されるデータのチェック、被験者状態の経時的な把握・整理の推進を行った。
結論
これらの研究によりJ-ADNI臨床研究が円滑に推進され、解析促進、国際協力、そして将来の根本治療薬治験への道筋が示された。
公開日・更新日
公開日
2013-07-08
更新日
-