東日本大震災における高齢者特有の医学的影響とその予防法に関する研究

文献情報

文献番号
201217024A
報告書区分
総括
研究課題名
東日本大震災における高齢者特有の医学的影響とその予防法に関する研究
課題番号
H24-長寿-一般(復興)-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
福本 義弘(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 下川 宏明(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 安田 聡(国立循環器病研究センター 心臓内科)
  • 篠崎 毅(国立病院機構仙台医療センター 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,417,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災の最大被災地である東北地方沿岸部では、高齢者への医学的影響として急性心筋梗塞・肺塞栓・脳梗塞に加え、人類が初めて経験する「高齢者における心不全激増」が特徴的であることが、我々の調査により明らかになりつつある。津波により広範囲に町が破壊され、未だに多くの住民が長期間にわたり避難生活・仮設住宅生活を強いられていることや塩分を多く含む保存食の摂取が原因していると考えられるが、これに、不十分な運動療法や慢性ストレスが加わり、高血圧症などの生活習慣病が悪化し、被災者の介護度が上昇している。
研究方法
我々は、平成18年より東北地方における大規模かつ詳細な生活習慣病患者データベース(CHART-2研究、1万人登録)を確立している。本研究では、最大被災地である東北地方沿岸部の病院に通院中の生活習慣病を有する高齢者で、年次毎に被災後の慢性期ストレス状況下における生活習慣病の悪化・内科的薬物療法の強化・心血管イベント発症の評価を行い、日常生活での運動量および介護度の評価、その予防方法として、生活習慣病の改善、運動療法の介入を行う。
 一部の症例ではその予防方法の効果判定として、酸化ストレス・テロメア長の評価・検討を行う。
結果と考察
データ収集率は平成24年度59.7%であった。その中間報告として、平成24年度に介護予防が必要であった症例は高齢で女性が多く、心不全が重症な傾向を認めた。
 現在、更なる解析を行っているが、患者の予後には、種々の臨床的背景因子、基礎疾患、心機能、重症度、合併症、治療内容、社会環境要因などが複雑に関与すると考えられるが、本研究では東日本大震災の影響が、高齢者の生活習慣病のコントロール、身体活動能力、介護、さらに生命予後および心血管イベントにどのように関与しているかを検討する。また生活習慣病の改善、運動療法の介入を行い、心血管イベント発症の抑制、介護度の軽減の有無を評価する。
一方で、介護予防が新規に必要となる症例は経年的に増加し、なかでも高齢、女性、心血管疾患が重症な症例は介護予防が必要となるリスクが高いことが予想される。すなわち、介護予防が必要な症例は、介護予防不要群に比較して死亡イベント、心血管疾患の増加が予想されるため、介護予防のための運動支援、日常生活活動度の改善が必要と考えられる。
結論
東日本大震災における高齢者特有の医学的影響として、日常生活活動度の低下、介護の必要性、心血管疾患の発症が予想され、なかでも高齢、女性、心血管疾患は高リスクであることが予想される。

公開日・更新日

公開日
2013-07-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201217024Z