頸部装着型機器による嚥下機能評価と食事介助支援装置の実用化

文献情報

文献番号
201217022A
報告書区分
総括
研究課題名
頸部装着型機器による嚥下機能評価と食事介助支援装置の実用化
課題番号
H24-長寿-一般-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
松村 明(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 健嗣(国立大学法人筑波大学 システム情報系)
  • 日高 紀久江(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
  • 鮎澤 聡(筑波技術大学 保健科学部保健学科)
  • 江口 清(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
  • 中井 啓(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
12,772,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 脳卒中患者や在宅高齢者においては,加齢に伴い嚥下機能の低下が見られ,日常的な食事の妨げとなっている.また嚥下障害によるする誤嚥性肺炎は頻繁に再発し,致死的になる可能性もあるため,障害の程度を早期に知り,それに応じた適切な治療・リハビリテーションを行う必要がある.これまで嚥下機能評価や診断は,触診,嚥下造影法や嚥下内視鏡により行われているが,食事・就寝等,日常生活中の嚥下活動を計測することは困難である.そこで,我々は患者の日常生活の中で嚥下機能を計測・記録でき,手軽で高齢者でも容易に利用可能な画期的な頸部装着型の嚥下計測機器を開発してきた.ここでは,これを在宅高齢者や入院患者の嚥下機能評価・記録,食事介助支援に適用し,有効性の検証と当該機器の実用化を目指す.
研究方法
 新規に開発された本機器は,頚部から取得する嚥下音に基づき,嚥下時間・嚥下音の強弱・むせや咳回数の検出・嚥下状態の発光による提示が可能である.これを用いて、頸部装着型の嚥下計測装置による嚥下活動計測と食事介助支援装置の実証実験を目指し,食事中・就寝中における入院患者の嚥下活動の記録(平成24年度),在宅高齢者(健常者・認知症・意識障害者を含む)を対象とした嚥下計測,及び嚥下機能障害者の介助者を支援する新しい食事介助支援装置の実証実験(平成25年度),及び経口摂取訓練前後の定量的嚥下活動データによる嚥下リハビリテーション支援とともに,食事毎の在宅高齢者の嚥下活動をデータベース化することで,適切な食事の選択支援もあわせて検討する(平成26年度).
 これらの臨床実験に加え,誤嚥予防への貢献を目指し,嚥下直後の異常音・湿性音・泡立ち音,さらにむせに伴う喀出音と誤嚥の関係を明らかにするため,音響処理技術を応用した嚥下音信号解析の研究を行う.また,耳鼻咽喉科の専門家の意見も踏まえながら,既存の検査である嚥下造影検査及び圧力測定検査との関係を明らかにすることも目指す.
結果と考察
(1)嚥下計測デバイスの改善・スマートフォンを利用した計測システムの構築:在宅状況から情報収集を行う通信ネットワーク網を用いたデータ収集システムの構築を行った.小型スマートフォンでの計測、及びPCでの計測システムを実現し,当初計画通り実証実験用に高機能携帯端末による記録システムの実装を完了した.
(2)開発した機器により,入院患者の嚥下活動の記録から開始している.研究倫理審査の承認を受け(H24/07月)実験を継続している.なお,本デバイスの有効性を検証するため,嚥下造影検査時の嚥下音の取得実験を行っている.また,異なる手法を用いて嚥下活動を記録することを目的とし,マノメータ(圧力計測)を導入し,提案手法との比較実験の準備を進める(H25に実施予定)とともに,耳鼻咽喉科の専門家を外部評価委員として依頼し,嚥下モニターシステムの医学的考察を行う体制を整えた.
(3)さらに,入院患者にご協力頂き,開発した機器により食事中及び就寝中の嚥下活動の記録を行っている.今年度は,嚥下音解析に関する信号処理技術を高度化させ,これまでよりさらに精度を向上させることに成功した.
(4)健常者を対象として,実際に本インタフェースを用いてどの程度嚥下の提示が行えるか調べた.被験者10名に協力してもらい,空嚥下,水嚥下,発生などを任意に行ってもらいその中での嚥下認識の適合率と再現率を調べた.嚥下区間以外での嚥下と認識した回数は3回であり,再現率は96.1%と高い再現率を得ており,提案手法の有効性を確認することが出来た.
結論
 本機器は,頚部から取得する嚥下音に基づき,嚥下時間・嚥下音の強弱・むせや咳回数の検出・嚥下状態の発光による提示が可能であった。
 患者の日常生活の中で嚥下機能を計測・記録でき,手軽で高齢者でも容易に利用可能な画期的な頸部装着型の嚥下計測機器といえる。
 従って在宅高齢者自身による簡便な計測,家族や介助者の支援に適応可能であることが見込まれる。

公開日・更新日

公開日
2013-09-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-12-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201217022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,603,000円
(2)補助金確定額
3,831,000円
差引額 [(1)-(2)]
12,772,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,894,105円
人件費・謝金 889,136円
旅費 692,490円
その他 2,296,269円
間接経費 3,831,000円
合計 16,603,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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