地域・在宅高齢者における摂食嚥下・栄養障害に関する研究―特にそれが及ぼす在宅療養の非継続性と地域における介入・システム構築に向けて

文献情報

文献番号
201217017A
報告書区分
総括
研究課題名
地域・在宅高齢者における摂食嚥下・栄養障害に関する研究―特にそれが及ぼす在宅療養の非継続性と地域における介入・システム構築に向けて
課題番号
H24-長寿-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
葛谷 雅文(名古屋大学大学院医学系研究科 健康社会医学専攻 発育・加齢医学講座 地域在宅医療学・老年科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 森本茂人(金沢医科大学医学部大学院医学研究科高齢医学専攻(高齢医学))
  • 大類孝(東北大学加齢医学研究所・高齢者薬物治療開発寄附研究部門)
  • 菊谷武(日本歯科大学大学院生命歯学研究科・臨床口腔機能学)
  • 杉山みち子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科(大学院併任))
  • 榎 裕美(愛知淑徳大学健康医療科学部・栄養学)
  • 梅垣宏行(名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻 発育・加齢医学講座(地域在宅医療学・老年科学分野))
  • 若林秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科(横浜市立大学附属市民総合医療センター))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
19,401,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究の目的は、日本における様々な地域の在宅高齢者における摂食嚥下障害・低栄養の有症率を明らかにし、前向き研究により、それらの在宅高齢者の健康障害さらには在宅療養の継続性に与える影響を明らかにする。さらに今後の地域での対処法を様々な視点(薬物療法、リハビリテーション、歯科的介入)から立案し、検証する。今年度は1) 各地域における在宅療養中のコホートを作成する、2) 種々のプログラムによる摂食嚥下・栄養障害に関する介入研究の立ち上げを行う。
研究方法
神奈川県、愛知県下で介護支援専門員を基盤とした在宅療養中の要介護高齢者のコホートを作成し、介護支援専門員らにより、基本属性、栄養評価(mini-nutritional assessment short form, MNA-SF)、摂食・嚥下障害の臨床的重度化分類(Dysphagia Severity Scale, DSS)、身体計測、日常生活動作、などのデータを聴取し、データベース化し、今年度はそれらを横断的に解析した。その他分担研究者らは、個別に介入用のコホートを作成した。
結果と考察
本年度の結果は、神奈川県(n=532)、愛知県 (n=610) において介護支援専門員をベースとした地域在宅療養中の要介護高齢者計1142名のコホートを構築し、その横断的調査を実施した。全体の低栄養有病率 (MNA-SFで評価)は16.5%、Body mass index (BMI) 18.5 kg/m2未満は21.4%存在した。これらは要介護度が悪くなるに増加した。嚥下障害の存在を疑わせる対象者 (DSSで正常範囲以外の対象者) は34.2%存在し、この割合も要介護度が悪化するにつれ増加することが明らかになった。さらに要介護度が悪くなると、臨床的嚥下機能障害の重症の割合も増加した。また、BMIが測定できない対象者は要介護度が悪くなるにつれ増加した。想像通り、地域要介護高齢者では低栄養状態、摂食嚥下状態に問題がある対象者が多く存在して、要介護度が悪くなるにつれそれらは増加した。今後、これらの存在の生命予後、入院リスクにつながるかどうかを次年度以降検討する。
結論
地域要介護高齢者では低栄養状態、摂食嚥下状態に問題がある対象者が多く存在して、要介護度が悪くなるにつれそれらは増加した。このように在宅療養中の要介護高齢者においては摂食嚥下、栄養に問題があるケースが多く存在するにも関わらず、評価、介入が適切にされていないことが大いに問題である。

公開日・更新日

公開日
2013-08-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201217017Z