日本語を母語とする聴者の日本手話の学習過程に関する研究

文献情報

文献番号
199800061A
報告書区分
総括
研究課題名
日本語を母語とする聴者の日本手話の学習過程に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
木村 晴美(国立身体障害者リハビリテーションセンター学院)
研究分担者(所属機関)
  • 市田泰弘(国立身体障害者リハビリテーションセンター学院)
  • 福田友美子(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本手話は視覚言語であり,単語や文法などの体系が異なるばかりでなく,聴覚言語である日本語とは,表現の面でも大きく異なっていて,日本語を母語として成長した聴者が,日本手話を学習するのは大変難しい.本研究は,日本手話を効率的に学習できるようなカリキュラムを作成するために,現在,日本手話を学習している聴者の学習によるその習得の過程を明らかにすることを目的としている.
研究方法
日本手話をはじめて学習する3ヶ月目・6ヶ月目・1年目・2年目・3年目の学習者を対象にして,日本語を母語として成長した聴者が,日本手話の単語や文法の体系をどのように習得していくかを研究するが,その評価方法には,外国語学習で多用されている次のような方法(シャドウイング)という方法を用いた.具体的には次のようであった.
まず,一連の日本手話で話されている評価用の題材を用意した.聾者にそれらを発話してもらい,ビデオ録画した.様々な段階にある手話学習者に,そのビデオ録画された日本手話の表現を,できるだけまねしてもらった.それを記録して,日本手話のどの側面が同じように再生(模倣)できていて,どの側面が再生(模倣)できていないかによって,評価を行った.その際,同じ実験を聾者にしてもらった結果を,コントロール用のデータとして使用した.
結果と考察
① 日本手話を第2言語として学習した聴者と,それを第1言語とする聾者の誤りには,質的に大きな違いがあった.
② 単語を表現する手指動作では,音韻の誤りが主であった.
③ 単語を表現するための使われる顔の表情の習得には,1年位必要であった.
④ 文法を表現する頭等の動きの習得はかなり困難で,習得していない学習者がおおく見られた.
結論
現在日本手話を学習している聴者を対象に,シャドウイングの手法を用いて,日本語を母語とする聴者の日本手話の学習過程を明らかにした.その結果から,学習の過程を予測出来るようになり,また,必要とされる学習項目もわかった.今後は本研究の結果を活用して,日本手話教育のカリキュラムを作成していく.

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研究報告書(紙媒体)

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