未受診・未回収対策を含めた介護予防標準化に向けたテーラーメード型介護予防法の開発

文献情報

文献番号
201217015A
報告書区分
総括
研究課題名
未受診・未回収対策を含めた介護予防標準化に向けたテーラーメード型介護予防法の開発
課題番号
H24-長寿-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 秀典(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 青山 朋樹(京都大学 医学研究科)
  • 大倉 美佳(京都大学 医学研究科)
  • 山田 実(京都大学 医学研究科)
  • 荻田 美穂子(京都光華女子大学 健康科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
22,538,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、運動による介護予防事業の効果検証を行うとともに、介護予防に最適な運動教室の事業内容を検証する。また、介護給付費および医療費の両側面から介護予防事業の費用対効果を検討し、要支援高齢者における重度化予防のための有用な介護サービス利用の在り方を検討する。さらに、全国自治体における介護予防事業の実態調査を実施し、基本チェックリスト未回収者に対して、健康状態および生活実態を把握することを目的として訪問による聞き取り調査を行う。
研究方法
J-MACC studyのコホートデータを利用し、介護予防事業への参加者とコントロール群における新規要介護認定発生を比較した。また、介護予防事業に参加した942名を分析対象とし、どのような事業が最も介護予防に効果的であるのかを検証した。次に、全国自治体における介護予防事業の実態調査を行うとともにA町における基本チェックリスト未回収者に対して、健康と生活の実態に関する聞き取り調査を行った。
結果と考察
1)介護予防事業参加群で2年間に要介護認定を受けた者は80名(8.5%)、マッチングしたコントロール群で要介護認定を受けた者は207名(22.0%)であった。多変量解析の結果、事業内容としては開催回数が12回以上であることのみ有意な関連要因として抽出された。また、12ヶ月間の解析で運動器機能向上サービスを実施している施設は介護度を抑制していた。これらの結果は、介護予防を目的とした場合には、開催頻度やセラピストの有無、それに参加者定員などには依存せずに、量を担保する必要があることを示している。なお、筋力トレーニングやバランストレーニングなど運動内容の詳細な検証も必要ではあるが、本研究では未検証である。
2)自治体の実態調査では、要介護認定者割合や二次介護予防事業対象高齢者比は高齢者割合の高い自治体で高く、基本チェックリストによる二次介護予防対象者の把握はほとんどの自治体が実施しているが、未回収者への対応はほとんどされていないことが明らかとなった。高齢者は加齢に伴うさまざまな機能の低下と精神および社会的問題を伴うため、多職種での包括的な支援が求められるが、現状は保健師および看護師以外の専門職員の常勤配置は1~2割に留まっていた。理学療法士をはじめとしたさまざまな職種が介在する高齢者への効果を検討していく必要がある。また、基本チェックリスト回収率は約7割と高いが、未回収者への対応を行っている自治体は2割弱に留まっていることが明らかとなった。未回収者への介入の意義と効果的方法について検討していく必要がある。介護予防事業の実施状況については、二次介護予防事業の通所型はほとんどの自治体で実施しているが、訪問型は約半数に留まっていた。また、その割合は高齢者割合と反比例していた。訪問型は通所型に比べて、時間や労力がかかる。よって、今後は費用対効果も含めて適応対象やその効果の検討が必要であると考える。
3)未回収者への調査においては基本チェックリスト20項目のうち10項目以上に該当する二次予防事業対象者は、回収群、未回収群でほぼ同程度であり、二次予防事業対象者の該当項目については、運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上、閉じこもり予防・支援、認知機能の低下予防、うつ予防・支援の各項目における割合について回収群、未回収群で差を認めなかった。従って、基本チェックリストの未回収者に対して実態を把握する重要性が示唆された。しかし、本調査のような訪問聞き取り調査を実施するためには、時間、人材(調査員の確保)、費用、労力を膨大に要する。そのため、より効率的かつ効果的なハイリスク者の把握方法と体制づくりが早急に必要であると考えられる。
結論
介護予防事業に参加することによって要介護リスクを1/3程度に抑制すること、様々な介護予防教室の中でも特に新規要介護認定者数を抑制するためには、少なくとも12回以上の教室開催が必要であることが示唆された。また、運動器機能向上サービスを実施しているデイサービスに通所することで、12ヶ月間の介護度悪化への有意な抑制効果を認めた。全国の自治体に介護予防事業に関する実態調査を実施した結果、要介護認定者割合や二次介護予防事業対象高齢者比は高齢者割合の高い自治体で高く、未回収者への対応はほとんどされていないことが明らかとなった。基本チェックリスト未回収者における二次予防事業対象者は、回収者に占める割合とほぼ同等数存在することが明らかになった。今後、未回収者に対するアプローチおよび体制づくりを強化する必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2013-07-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201217015Z