切除可能膵癌の術前化学療法の有効性・安全性に関する臨床試験

文献情報

文献番号
201216009A
報告書区分
総括
研究課題名
切除可能膵癌の術前化学療法の有効性・安全性に関する臨床試験
課題番号
H24-被災地域-一般(復興)-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
海野 倫明(東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 消化器外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 元井 冬彦(東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 消化器外科学分野)
  • 片寄 友(東北大学 統合癌治療外科学)
  • 小菅 智男(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵外科)
  • 山上 裕機(和歌山県立医科大学 第二外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(被災地域の復興に向けた医薬品・医療機器の実用化支援研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的:膵癌は代表的な難治性癌で、5年生存率は約5%であり本邦癌死の第5位である。早期診断は困難で、多くの患者が切除不能進行癌として診断され、また治癒切除後も早期再発するためと治療成績は極めて不良である。治療成績向上には、放射線療法や化学療法と外科療法の有機的連携が必須であるが、治療戦略は確立していない。近年、治癒切除術後にS-1による補助化学療法を施行することで、2年生存率約70%という、良好な成績が報告された(ASCO-GI 2013)。本研究は、外科的切除+S-1による術後補助化学療法(標準治療群)に対して、試験群として術前化学療法(NAC)としてのGS(Gemcitabine+S-1)療法(NAC-GS)を行い、その上乗せ効果を検証するために本試験を実施する。
術前化学療法(NAC)によりダウンステージができれば、切除率を上げ、癌の遺残・撒布を減少させ得る。また、治療中の遠隔転移出現や無効例で手術を回避できる可能性もある。欧州で複数の前向き試験があるものの、いずれも少数例である。現在、多施設共同無作為比較試験(GemOX regimen)が開始されているが、GemOXの奏効率は26.8%で、GS療法(29.0%)と同等である。単アーム第II相試験(NAC-GS)では、R0切除率74%、切除例の2年生存率56%と良好であったことから、NAC-GSは比較試験で検証S
術前化学療法(NAC):NACによりダウンステージできれば、切除率を上げ、癌の遺残・撒布を減少させ得る。また、治療中の遠隔転移出現や無効例で手術を回避できる可能性もある。欧州で複数の前向き試験があるものの、いずれも少数例である。現在、多施設共同無作為比較試験(GemOX regimen)が開始されているが、GemOXの奏効率は26.8%で、GS療法(29.0%)と同等である。単アーム第II相試験(NAC-GS)では、R0切除率74%、切除例の2年生存率56%と良好であったことから、NAC-GSは比較試験で検証する価値があると考えられた。
研究方法
研究体制としては、研究代表者である東北大学消化器外科海野倫明(研究総括)を中心に、研究分担者:元井冬彦、片寄友、に加えて、国立がん研究センター中央病院副院長の小菅智男(JSAP代表)、和歌山県立医科大学の山上裕機(日本肝胆膵外科プロジェクト研究代表)を加えた、計5名が中心で研究を遂行する。また研究協力者として、膵癌術前治療研究会(代表世話人:海野倫明)の参加メンバーである、帝京大学 和田慶太先生、横浜市立大学 遠藤格先生、鹿児島大学 新地先生、奈良医科大学庄先生、関西医科大学 :里井先生、都立駒込病院 本田五郎先生、神戸大学 松本逸平先生、東邦大学大森病院 大塚先生、藤田保健衛生大学 堀口先生、東京医科大学 土田先生、また、JSAP-04試験を行なってきた、国立がん研究センター中央病院、同・東病院、がん研有明病院、神奈川県立がんセンター、愛知県がんセンター中央病院、千葉県がんセンター、四国がんセンター、埼玉県立がんセンター、栃木県立がんセンター、九州がんセンター、また被災地の病院である石巻赤十字病院、仙台オープン病院、東北厚生年金病院、仙台医療センター、仙台厚生病院、気仙沼市立病院等、被災地の病院も参加する。全国70施設による、PREP02/JSAP05と名付けたインターグループを形成し、平成24年11月18日に仙台においてキックオフ・ミーティングを行い、平成25年1月1日より症例の登録を開始した。

結果と考察
本試験は、UMIN000009634として登録され、これまで(平成25年5月20日現在)32例の症例が集積している。
平成25年度においても症例の集積を継続するが、80例が登録された次点で第2相の解析を行い、切除率が有意に劣っていなければ第III相に移行する予定で、第III相は合計360例である。第III相試験の主要評価項目は全生存率、副次評価項目は、有害事象、切除率、癌遺残度、リンパ節転移、組織学的効果、無再発生存期間、腫瘍マーカー、治療薬容量強度、である。これまでのところ急送報告に当てはまる重篤な有害事象などの報告はなく、安全に遂行されている。
結論
膵癌術前治療の有効性と安全性に関した臨床研究を遂行中で、これまでのところでは大きな問題点はなく、症例集席は順調に進んでいる。今後、できるだけ速やかに目標症例数まで到達させたい。

公開日・更新日

公開日
2013-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201216009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
46,800,000円
(2)補助金確定額
46,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,000,000円
人件費・謝金 13,000,000円
旅費 11,000,000円
その他 11,000,000円
間接経費 10,800,000円
合計 46,800,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
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