文献情報
文献番号
201215033A
報告書区分
総括
研究課題名
進展型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射の実施の有無を比較するランダム化比較第III相試験
課題番号
H24-臨研推-一般-013
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山本 信之(和歌山県立医科大学)
研究分担者(所属機関)
- 瀬戸 貴司(九州がんセンター 腫瘍内科)
- 西尾 誠人(がん研究会有明病院 呼吸器内科)
- 後藤 功一(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)
- 岡本 勇(九州大学病院 呼吸器科・ARO次世代医療センター)
- 山中 竹春(国立がん研究センター東病院 先端医療開発支援室)
- 高橋 利明(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)
- 坂 英雄(名古屋医療センター)
- 高山 浩一(九州大学大学院 医学研究院)
- 軒原 浩(国立がん研究センター中央病院)
- 原田 英幸(静岡県立静岡がんセンター 放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
プラチナ併用初回化学療法に奏効した脳転移のない進展型SCLC症例に対するPCI療法が,非PCI療法に対して優れていることをランダム化比較にて検証すること.
進展型SCLCに対するPCIの有用性については,欧州から2007年にNew Engl J Med (357:664-672) に報告されたが,脳画像検査の追跡方法や治療方法が我が国の日常診療と大きく異なり、このエビデンスを我が国の日常診療にそのまま導入することは危険である.そこで,わが国の日常臨床に則して,進展型SCLCに対するPCIの有効性を検討する第III相試験を計画した.海外での臨床試験の結果を盲目的に導入することを避け,日本国内での日常臨床の指針を確立すること,そして参加施設が全国に広がることから全国的に質の高いがん医療水準の均てん化を推進することも目的としている.
進展型SCLCに対するPCIの有用性については,欧州から2007年にNew Engl J Med (357:664-672) に報告されたが,脳画像検査の追跡方法や治療方法が我が国の日常診療と大きく異なり、このエビデンスを我が国の日常診療にそのまま導入することは危険である.そこで,わが国の日常臨床に則して,進展型SCLCに対するPCIの有効性を検討する第III相試験を計画した.海外での臨床試験の結果を盲目的に導入することを避け,日本国内での日常臨床の指針を確立すること,そして参加施設が全国に広がることから全国的に質の高いがん医療水準の均てん化を推進することも目的としている.
研究方法
本試験の主要エンドポイントは「全生存期間」,
副次エンドポイントは「脳転移発生率」「無増悪生存期間」「有害事象」とする.
下記条件を満たす症例を対象とする.
1 小細胞肺癌に矛盾しない病理所見が得られている
2 進展型小細胞肺癌と診断されている
3 2コース以上のプラチナ併用初回化学療法に対して腫瘍縮小がみられた症例
4 登録前4週以内の脳MRI検査で脳転移が認められない.
5 登録前4週以内の胸腹部CT検査で腫瘍に増大傾向が認められない.
6 登録時年齢が20歳以上.
7 登録時PS(ECOG)が0-2.
8 初回化学療法最終コース開始日から登録までが6週以内.
9 PCIの照射野と重なる部位への放射線治療の既往がない
10 試験参加について患者本人から文書で同意が得られている
治療(PCI療法)は初回化学療法最終コース開始日から3~8週以内に以下の方法でPCIを行う:1回2.5Gy,1日1回,週5日,計10回,総線量25Gy,総治療期間12日間,許容総治療期間28日間
予定症例数は各群165例,両群計330例とする.
副次エンドポイントは「脳転移発生率」「無増悪生存期間」「有害事象」とする.
下記条件を満たす症例を対象とする.
1 小細胞肺癌に矛盾しない病理所見が得られている
2 進展型小細胞肺癌と診断されている
3 2コース以上のプラチナ併用初回化学療法に対して腫瘍縮小がみられた症例
4 登録前4週以内の脳MRI検査で脳転移が認められない.
5 登録前4週以内の胸腹部CT検査で腫瘍に増大傾向が認められない.
6 登録時年齢が20歳以上.
7 登録時PS(ECOG)が0-2.
8 初回化学療法最終コース開始日から登録までが6週以内.
9 PCIの照射野と重なる部位への放射線治療の既往がない
10 試験参加について患者本人から文書で同意が得られている
治療(PCI療法)は初回化学療法最終コース開始日から3~8週以内に以下の方法でPCIを行う:1回2.5Gy,1日1回,週5日,計10回,総線量25Gy,総治療期間12日間,許容総治療期間28日間
予定症例数は各群165例,両群計330例とする.
結果と考察
本試験についてはJCOG肺がん内科グループ及び西日本がん研究機構(WJOG)の主要施設を網羅する研究体制を確立し、 2009(平成21)年4月から症例登録を開始していた。プロトコール上の登録期間は2015(平成 27)年2月までと規定しており、平成24年度から26年度までの3年間の医療技術実用化総合研究事業の助成期間と重なる。平成25年3月現在で208例が登録され、予定症例数まで120例程度となっている。
本試験の結果は,ただちに国内の多くの医療施設で日常臨床に導入可能なものと考えられる.すなわち,ED-SCLCに対するシスプラチン+イリノテカン療法の優越性を示す報告(Noda K et al, N Engl J Med 346:85-91, 2002)のように,難治がんに対する標準的治療法に関する我が国発のエビデンスの確立が可能である.
また今回の試験参加施設は全国に広がっており,各地域の肺がん診療の基幹病院である.本試験により得られたエビデンスは試験参加施設での医療のみならず,試験参加施設が存在する各地域全体での医療へ活かされるものと思われる.また,本試験以外でも試験参加施設のネットワークが活用される場面は多く,全国的に質の高いがん医療水準の均てん化を強力に推進することにつながると考えられる.さらには、脳転移検出能に優れるMRIの普及が海外と比較し抜きんでていることに加えて、定位放射線治療も浸透しているという本邦の優れた医療環境を世界へ発信することが可能となる。
本試験の結果は,ただちに国内の多くの医療施設で日常臨床に導入可能なものと考えられる.すなわち,ED-SCLCに対するシスプラチン+イリノテカン療法の優越性を示す報告(Noda K et al, N Engl J Med 346:85-91, 2002)のように,難治がんに対する標準的治療法に関する我が国発のエビデンスの確立が可能である.
また今回の試験参加施設は全国に広がっており,各地域の肺がん診療の基幹病院である.本試験により得られたエビデンスは試験参加施設での医療のみならず,試験参加施設が存在する各地域全体での医療へ活かされるものと思われる.また,本試験以外でも試験参加施設のネットワークが活用される場面は多く,全国的に質の高いがん医療水準の均てん化を強力に推進することにつながると考えられる.さらには、脳転移検出能に優れるMRIの普及が海外と比較し抜きんでていることに加えて、定位放射線治療も浸透しているという本邦の優れた医療環境を世界へ発信することが可能となる。
結論
試験期間(助成期間)内の症例集積終了を目標に試験を継続する。
公開日・更新日
公開日
2013-08-27
更新日
-