網膜色素変性に対する視細胞保護遺伝子治療臨床研究-GCPに準拠した遺伝子治療臨床研究-

文献情報

文献番号
201215031A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜色素変性に対する視細胞保護遺伝子治療臨床研究-GCPに準拠した遺伝子治療臨床研究-
課題番号
H24-臨研推-一般-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 達朗(九州大学大学院医学研究院 眼科学)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 康博(九州大学病院 眼科)
  • 中西 洋一(九州大学病院 ARO次世代医療センター)
  • 米満 吉和(九州大学大学院薬学研究院 革新的バイオ医薬創成学)
  • 吉田 茂生(九州大学病院 眼科)
  • 戸高 浩司(九州大学病院 ARO次世代医療センター)
  • 江内田 寛(九州大学大学院医学研究院 眼科学 )
  • 村上 祐介(九州大学病院 眼科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、難治性疾患である網膜色素変性(retinitis pigmentosa: RP)に対する新しい治療法として、国産新規遺伝子治療用ベクターである第3世代アフリカミドリザル由来サル免疫不全ウイルス(simian immunodeficiency virus: SIV)ベクターを用いた視細胞保護遺伝子治療臨床研究(安全性試験)のGCPに準拠した実施と臨床研究データの集積を目的として、1.臨床研究薬(SIV-hPEDF)の網膜下投与の安全性確認(臨床研究の実施)、2.臨床研究薬(SIV-hPEDF)の網膜下投与の治療効果の評価と原因遺伝子との因果関係の検討、3.GCPに準拠した臨床研究データ収集・評価、4.臨床研究実施から製剤化へ向けた準備、という4つのテーマで研究を行う。
研究方法
1.本臨床研究は、オープンラベル、2段階用量漸増式で、安全性の確認を主眼とした臨床研究(第I相に相当)であり、臨床研究実施計画書の記載に基づいて実施される。被験者に本臨床研究参加への同意取得を行った後、所定の問診・スクリーニング検査で適格基準の確認を行い、臨床研究薬の投与を行う。投与後24ヶ月までを観察期間とし、有害事象の発生、疾患に対する検査、一般検査、臨床症状などから安全性を評価する。厚生科学審議会での実施承認に引き続き、速やかに臨床研究を開始する。
2.ヒトゲノム・遺伝子解析研究計画に関する学内倫理委員会における承認を取得する。また、被験者から採取されたサンプルからのDNA抽出法、保存法の手順作成、既知の原因遺伝子を検出するためのプライマーやプローブを設計する。
3.九州大学病院ARO次世代医療センター(旧、九州大学病院高度先端医療センター)が支援し、GCPに準拠した書類の作成整備や報告書作成、モニタリング、データマネジメント、安全性情報管理、遺伝子治療臨床研究指針で求められる有害事象報告等の規制当局対応を担当する。
4.臨床研究実施のための準備として、ベクターの受け入れ試験ならびに、臨床研究実施期間中の生体材料(血液、尿、前房水、他)を用いた各種検査法(ベクターゲノム検出、抗体レベル測定、ベクター活性測定、各種サイトカイン測定など)のvalidationを行う。また、本臨床研究薬(SIV-hPEDF)の製剤化へ向けた準備として、大量生産に対応可能な施設でのベクター製造の準備を実施する。
結果と考察
1.平成24年8月に厚生労働大臣より臨床研究実施計画の了承を取得し、平成25年3月より遺伝子治療臨床研究を開始した。来年度は、低濃度群を完了する予定である。
2.平成25年1月にヒトゲノム・遺伝子解析研究計画に関する学内倫理委員会における承認を取得した。さらに、被験者から採取されたサンプルからのDNA抽出法、保存法の手順を作成し、既知の原因遺伝子を検出するためのプライマーやプローブの設計を開始した。
3.GCPに準拠したデータ収集を実施するために、ARO次世代医療センターを中心に、データマネージャーやCRCを配備し、各種手順書を作成した。また、臨床研究薬の保管、希釈等は、cGMPに準拠した細胞調製室(CPC)を使用するため、各種手順書を作成し、担当者のトレーニングを実施した。
4.臨床研究薬の受け入れ試験を実施した。具体的には、無菌試験、マイコプラズマ否定試験、力価測定を実施した。また、血液、尿、涙液中のベクターゲノムを検出する方法を確立した。さらに、血液内炎症サイトカイン、前房内ヒト色素上皮由来因子を測定するための手順書を作成した。また、本臨床研究薬(SIV-hPEDF)の製剤化へ向けた準備として、大量生産に対応可能な施設でのベクター製造の準備を開始した。
結論
厚生労働大臣から臨床研究実施計画の了承取得後、速やかに遺伝子治療臨床研究が開始された。引き続き、症例を追加しながら、臨床研究を進めていく予定である。また、大量生産に対応な施設での生産準備も順調に進んでおり、来年度以降に本臨床研究薬(SIV-hPEDF)の製剤化への対応も完了する予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201215031Z