生体内吸収性高分子担体と細胞増殖因子を用いた難治性虚血性疾患に対する新しい再生医療の開発:オーダーメイド医療の実現に向けた検討

文献情報

文献番号
201215015A
報告書区分
総括
研究課題名
生体内吸収性高分子担体と細胞増殖因子を用いた難治性虚血性疾患に対する新しい再生医療の開発:オーダーメイド医療の実現に向けた検討
課題番号
H23-臨研推-一般-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
坂田 隆造(京都大学大学院医学研究科 心臓血管外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 田畑 泰彦(京都大学再生医科学研究所 生体材料学)
  • 清水 章(京都大学医学部附属病院探索医療センター 分子生物学)
  • 横出 正之(京都大学医学部附属病院探索医療センター 先端医療構築学・老年医学・動脈硬化学)
  • 川上 浩司(京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学)
  • 手良向 聡(京都大学医学部附属病院探索医療センター 臨床統計学)
  • 松原 和夫(京都大学医学部附属病院 臨床薬学)
  • 丸井 晃(京都大学医学部附属病院探索医療センター 心臓血管外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、従来の方法では治療困難な重症下肢虚血や虚血性心疾患の患者が増加しており、遺伝子治療や細胞移植治療などの「血管新生療法」が試みられているが遺伝材料の安全性・複雑な手技・高コスト等の課題が指摘されている。我々は遺伝子や細胞の代わりに、細胞増殖因子を安全に必要十分に作用できる「ゼラチンハイドロゲル」を開発し、その臨床応用を目的としている。
研究方法
我々は塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)徐放化ゼラチンハイドロゲルの有効性を多くの基礎研究で検証し、臨床治験に向けた治験薬GMP基準での製剤施設を立ち上げ、平成22年6月には「生体内吸収性高分子担体とbFGFによる血管新生療法」が「先進医療B」の承認を受け、重症下肢虚血に対する臨床試験を開始した。それと平行し当技術を重症虚血性心筋症に応用し、昨今のドナー不足が深刻である心移植や補助人工心臓などの「置換型医療」の代替の可能性を探るべく臨床試験の準備を行っている。またこの技術を発展させ「カクテル治療」、「ハイブリッド治療」等の基礎研究を行い、最終的には各患者に応じて最適な有効性と同時に副作用を回避する「オーダーメイド治療」の基礎的検討を行い、将来的な臨床応用の足がかりとする。
結果と考察
重症下肢虚血に対する先進医療Bは平成24年8月15日で全10例の経過観察が終了した。結果として明らかな有害事象は無く、有効性評価のエンドポイントも改善を認めている。「虚血性心疾患への応用」については、前臨床試験データとして大動物を用いたゼラチンハイドロゲルシートの毒性実験および投与形態の差異による有効性の検証を行なっている。また同時に虚血性心疾患の臨床試験のプロトコルを作成中である。基礎研究としては、ハイブリッド治療の準備段階としてヒトiPS細胞心筋シートの有効性の検証を行い、今後ゼラチンハイドロゲルDDSとの協調作用を検証する予定である。
結論
この技術が薬事承認・保険診療化されれば、臨床応用された世界初の血管新生療法となり、重症下肢虚血患者の救済のみならず、世界初の血管新生製剤販売による医療産業の育成、少ない医療費で患者予後が改善する医療経済効果、また心臓における応用により、ドナー不足が深刻な重症末期心不全患者に対する置換型医療の代替医療としての可能性が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2013-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201215015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
65,000,000円
(2)補助金確定額
65,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 28,174,320円
人件費・謝金 2,994,894円
旅費 2,119,670円
その他 16,711,116円
間接経費 15,000,000円
合計 65,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
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更新日
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