文献情報
文献番号
201214010A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究・治験における大規模災害時の対応指針の作成に関する研究
課題番号
H24-臨研基-指定-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
武田 和憲(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 楠岡 英雄(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
- 山本 学(日本医師会治験センター)
- 石橋 寿子(聖路加国際病院研究管理部)
- 田代 志門(昭和大学研究推進室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
東日本大震災の教訓を生かし、臨床研究・治験における大規模災害時の対応指針の素案を作成する。
研究方法
東日本大震災が臨床研究・治験に及ぼした影響を検証し、これに基づいて被験者の安全性確保とデータの信頼性の確保を中心にコンセンサスメソッドにより指針素案を作成する。研究班は医師、薬剤師のほか、薬業界、医療機器関連業界、治験支援業務関連業界、医療倫理専門家等で構成する。
結果と考察
臨床研究・治験においては被災地では巨大津波により診療機能を喪失した施設以外でも多くの施設が大震災の影響を受けた。計画停電地域では74%が影響を受け、それ以外の地域でも交通遮断や物流の寸断による治験資材の供給困難、通信障害等により25%〜42%において影響がみられた。被験者の安否確認は被災地でも80%で実施されていたが、安否確認には1週間から1ヶ月を要している。依頼者側との連絡・情報共有も遮断され、治験の継続に支障がみられている。大規模停電により資材の温度管理が困難となり、治験薬の処方や検査関連に支障がみられた。また、交通遮断によるモニタリングへの影響やIRBの開催困難がみられている。その他、沿岸地域では津波により原資料、必須文書の滅失がみられている。治験業務等における大規模災害時対応マニュアルを準備していた施設は全体で20%程度に過ぎなかった。
検証に基づいて作成された指針素案では、中心課題を「被験者の安全性確保」と「データの信頼性確保」とし、①臨床研究・治験における医療機関側の大規模災害時対応マニュアルひな形(平常時、急性期、亜急性期・慢性期での対応)、②希少疾患または医師主導型治験における大規模災害時対応指針、③臨床研究・治験における計画停電・大規模停電対応指針、④治験依頼者として大規模災害への対応マニュアルの作成にあたって考慮すべき事項、⑤大規模災害時のデータの信頼性確保のための方策の5項目を作成した。大規模災害時のデータの信頼性確保のための方策においては、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業・医師主導治験等の運用に関する研究班の協力を得て、「治験管理文書における電磁的記録の活用」を指針の中に盛り込んだ。
研究班では東日本大震災が治験等に及ぼした影響の調査研究(平成24年)をもとに様々な角度から問題点、課題を抽出した。急性期は依頼者側との連絡も困難で混乱した時期を医療機関側が自律的に行動し、乗り切る必要がある。また、急性期を過ぎた後も被験者の安否確認や治験の継続、IRBの開催等の問題があり、事前の備えとして大規模災害に対するマニュアルの整備が必須である。一方、依頼者側においても、被験者の安全性確保の観点からは治験資材の安定供給がもっとも重要で、緊急時の連絡ルートの確保、検査の代替手段など大規模災害への対策マニュアルの整備が必要であり、医療機関・治験依頼者双方が事前に協議を行い、行動基準を相互に理解しておく必要がある。大規模災害時にデータの信頼性を確保するにはデータのバックアップが問題となるが、現在、紙カルテから電子カルテへ、さらに治験関連文書の電磁的保存等電磁化に向けて整備が進められている状況にあり、これを推進する必要がある。次年度は素案の検討を進め、試案を作成し、パブリックコメントにより多方面からの意見を聴取する予定である。
検証に基づいて作成された指針素案では、中心課題を「被験者の安全性確保」と「データの信頼性確保」とし、①臨床研究・治験における医療機関側の大規模災害時対応マニュアルひな形(平常時、急性期、亜急性期・慢性期での対応)、②希少疾患または医師主導型治験における大規模災害時対応指針、③臨床研究・治験における計画停電・大規模停電対応指針、④治験依頼者として大規模災害への対応マニュアルの作成にあたって考慮すべき事項、⑤大規模災害時のデータの信頼性確保のための方策の5項目を作成した。大規模災害時のデータの信頼性確保のための方策においては、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業・医師主導治験等の運用に関する研究班の協力を得て、「治験管理文書における電磁的記録の活用」を指針の中に盛り込んだ。
研究班では東日本大震災が治験等に及ぼした影響の調査研究(平成24年)をもとに様々な角度から問題点、課題を抽出した。急性期は依頼者側との連絡も困難で混乱した時期を医療機関側が自律的に行動し、乗り切る必要がある。また、急性期を過ぎた後も被験者の安否確認や治験の継続、IRBの開催等の問題があり、事前の備えとして大規模災害に対するマニュアルの整備が必須である。一方、依頼者側においても、被験者の安全性確保の観点からは治験資材の安定供給がもっとも重要で、緊急時の連絡ルートの確保、検査の代替手段など大規模災害への対策マニュアルの整備が必要であり、医療機関・治験依頼者双方が事前に協議を行い、行動基準を相互に理解しておく必要がある。大規模災害時にデータの信頼性を確保するにはデータのバックアップが問題となるが、現在、紙カルテから電子カルテへ、さらに治験関連文書の電磁的保存等電磁化に向けて整備が進められている状況にあり、これを推進する必要がある。次年度は素案の検討を進め、試案を作成し、パブリックコメントにより多方面からの意見を聴取する予定である。
結論
東日本大震災が臨床研究・治験に及ぼした影響を検証し、これに基づいて被験者の安全性確保とデータの信頼性の確保を中心に大規模災害時の対応指針素案を作成した。
公開日・更新日
公開日
2013-08-30
更新日
-