国民・患者への臨床研究・治験の普及啓発に関する研究

文献情報

文献番号
201214009A
報告書区分
総括
研究課題名
国民・患者への臨床研究・治験の普及啓発に関する研究
課題番号
H24-臨研基-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 元(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 邦彦(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部 )
  • 山本 学(社団法人日本医師会治験促進センター 研究事業部)
  • 木内 貴弘(大学病院医療情報ネットワーク/東京大学大学院医学系研究科)
  • 伊藤 俊之(独立行政法人国立国際医療研究センター 臨床研究センター臨床研究支援部)
  • 渡邊 清高(独立行政法人国立がん研究センター がん情報提供研究部)
  • 伊藤 澄信(独立行政法人国立病院機構本部総合研究センター)
  • 武井 貞治(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 篠崎 大(東京大学医科学研究所附属病院)
  • 西川 正子(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター )
  • 荻野 大助(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部 )
  • 野口 都美(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部 )
  • 中尾 裕之(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における臨床研究(試験)の情報検索を目的として国立保健医療科学院の検索ポータルサイトが稼動しておりWHO primary registerとして認められデータ集積・管理・表示機能も備え運営されている。最近文部科学省・厚生労働省における「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」の中で、国民・患者が求めている情報を調査・検討し、わが国のイノベーション発信の観点も踏まえて、より利用しやすいものとすることが短期的目標としてあげられている。本研究では5カ年計画での議論を踏まえ、臨床研究・治験に関して国民・患者が求めている情報について調査を実施し、国民・患者目線に立った情報提供の在り方について明らかにすることを目的とする。
研究方法
(1)調査利用者視点からの課題抽出を目的として、①患者、患者団体・家族会、②一般診療従事者、治験実施医師・医療機関、③医薬品開発者・企業、研究機関、研究者、④国民、地域住民など具体的に想定される利用者集団を対象としたスモールグループディスカッション等を実施、臨床試験・治験情報の利用実態と課題・要望に関する項目の洗い出しと構造化を行った。さらにこれを基に、アンケート調査、解析を開始した。協力の得られた在京国立先進医療研究センターおよび国立病院機構における通院患者・医療関係者を対象にアンケート調査を実施したのに加え、特に希少疾患・難治性疾患にかかる治験情報の提供については医薬基盤研究所が、治験依頼者(大阪医薬品協会)と日本難病・疾病団体協議会と意見交換会ならびにアンケート調査を実施した他、国立保健医療科学院と日本製薬工業協会患者連携推進委員会が各患者会代表と意見交換を行った。次に、(2)コミュニケーション活動・情報提供の(現状)調査として、①臨床研究に関する情報サイトに関する現状調査・評価、②国内臨床研究関連機関の情報サイトの運営や体制に関する調査:運営方針・体制の調査・検討(想定ユーザー、目的・メディア選択、アクセス状況や利用者からのニーズに対応するための体制づくり、機能の見直しサイクル等)を調査・評価、さらに、(3)海外臨床研究関連機関のコミュニケーション活動の実態、情報サイトの運営や体制調査を行って、国際的な標準化を視野に入れつつ情報提供システム構築の方策について検討した。
さらに、(3)医薬品医療機器総合機構(PMDA)を中心として、情報基盤を支える法令のあり方、行政・制度面から国際比較を実施、今後の課題について検討した。
結果と考察
調査結果は解析段階にあるが、一般的医療情報と治験情報との連携、治験情報を提示する場合に望ましい項目・情報の内容・範囲、検索エンジン、また相互リンクのあり方について有益な調査結果が得られつつある。潜在的な臨床試験被験者である患者・一般国民は、一元的な情報の検索・提供サイトの利用、具体的に自らが参加可能な治験(治験参加の可能性)の情報、進行中の治験の進捗・中間結果の開示、さらに治験対象となっている薬剤・医療機器の有用さ・リスクについての既存薬・機器との比較情報、治験にかかる倫理審査や医療機関の実績に関する情報、さらに疾患や治療・医療機関に関する総合的情報の提供が望まれていることが明らかになりつつある。また複数機関の有する情報をウェブ上で一元的に検索し得るエンジンの試作に着手した。さらに研究分担各機関は運営する治験情報の提供サイトの見直しに着手している。JPRN構成機関のみならず、国立先進医療研究センター・国立病院機構、医薬基盤研究所などの医療機関・研究機関との(情報)連携、日本製薬工業協会・各種患者団体等と役割分担をしつつ協力すること、情報の提供・公開に関する法令整備も重要な課題として明らかとなった。
結論
本年度の成果をもとに、次年度においてプロトタイプの構築を行い、患者・国民の要望に応えた情報システム・ポータルサイトの構築に向けた検討することにより、国民・患者が臨床試験について知りたいと考える情報が明らかになり、国内の臨床研究(試験)情報を提供する体制(メディアの選択、運営、評価)と利便性という視点が明確になる。

公開日・更新日

公開日
2013-08-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201214009Z