臨床研究の国際化に向けて研究組織のハブ機能の拡充と人材育成に関する研究

文献情報

文献番号
201214004A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究の国際化に向けて研究組織のハブ機能の拡充と人材育成に関する研究
課題番号
H22-臨研(機関)-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
花岡 英紀(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 康(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 小室 一成(東京大学大学院医学系研究科)
  • 柴田 大朗(国立がん研究センターがん対策情報センター)
  • 北田 光一(日本病院薬剤師会)
  • 金澤 薫(国立大学法人 千葉大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
94,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、国内外の臨床研究コーディネーティングセンターとの連携と、国際基準の試験の実施体制のための人材育成と組織構築を行い、臨床試験を展開する
研究方法
1.国際共同試験に向けた基盤整備に関する研究
治験および臨床研究の国際化に向けた臨床研究基盤整備を実施するため、PIとPMの連携による癌や難病、循環器、代謝分野などをモデルとし実施する。
2.臨床研究のハブ機能に関する研究
Duke大AROと連携し国際標準のハブとしての機能を整備する。人材を派遣し大規模臨床試験の準備を開始する。
3.固定・流動型人材育成に関する研究
医師等の教育、大学院の講義として年間14回(1回90分)のセミナー(webでも視聴可)を実施する。さらにレギュラトリーサイエンスについてPMDAとの連携大学院を構築する。
4.モニタリング・監査に関する研究
モニタリングSOPを整備し、臨床研究の質の向上を行う。EDC、PRS/CDM支援も継続的に実施する。代謝内科領域における自主臨床試験を対象にモニタリングを実施する。
5.トランスレーショナルリサーチ(TR)との融合
NKT細胞を用いた臨床研究(先進医療)等のTRにつき支援を行う。
6.被験者に対する保護体制の確立
被験者保護部門を病院長のもとに配置し倫理委員教育を行う。小・中学生への臨床研究啓発も継続的に実施する。
7.治験の国際化
治験活性化5か年計画中間見直しマイルストーンの通り計画に沿って実施する。
8.シーズ開発の実態調査研究
我が国としての公的創薬支援機関の必要性について創薬分野の専門家と連携し検討する。
結果と考察
1.院内の臨床研究基盤整備推進委員会を2回開催した。POEMS症候群に対する医師主導治験及び川崎病に対する医師主導治験の準備を継続して行っている。糖尿病に対する自主臨床試験は終了し評価を行った。先進医療の支援も行った。
2.欧州のARO(Cambridge大学、Oxford大学、Uppsala大学)の施設、組織、資金及び人員・人材についてインタビューを行った。
3.医師の教育、大学院(年間14回)の講義を開催した。CRC研修では、看護部セミナー継続、薬学部5年生40名に1週間、薬剤部研修生2名に2週間の実習を行った。
4.モニターを増員しサンプリングSDVを実施した。EDC、CDM/PRSを利用した。システムの利用にあたり、SOPの整備、コンピュータ・システム・バリデーション(CSV)実施のためのベンダー監査を行った。
5.院内経費の募集にあたり応募6件中2件を条件付きで採択可能と先端医療評価委員会に答申した。
6.倫理委員、IRB委員への教育を実施した。若い世代への教育として①県立中学校三年生を対象とした連続講義②小・中学生を対象とした実験教室を開催した。
7.本年度は契約課題数112件(新規36件、継続76件)、契約症例数489件(新規152例、継続337例)であった。
8.本邦において研究機関のシーズが実用化に結びつかない理由として資金面、人材、設備、研究者と企業との戦略の相違があり、この問題に対し創薬支援ネットワークに期待が寄せられている。
医師主導治験等運営を通しプロジェクトマネジメント機能も有することが可能となった。PI及びPMの育成はますます重要となるといえる。DM部門ではCDISCによる標準化を進めていくとともに研究の質を確保するための内部監査の体制を確立することが重要である。国際共同臨床研究実施のためDCRIに医師1名を派遣し共同研究実施に向け組織構築を継続している。ベンチャー企業と共同研究契約を締結し早期臨床試験の計画立案中である。また若い世代である中学生に対する授業も実施した。ARO活動は臨床研究基盤整備推進委員会と第三者評価専門部会により適正に推進されている。国内外のAROやPMDAとの連携をすすめ、臨床研究の国際化に向けた組織の整備を継続していくことが重要である。
結論
臨床研究のハブ機能と人材育成を目的として具体的に8項目を掲げその活動とそれらに関連して国内外のAROやEMAを対象とした調査研究を行った。これらの結果に基づいた臨床研究実施体制の支援が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2013-08-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-12-18
更新日
-

文献情報

文献番号
201214004B
報告書区分
総合
研究課題名
臨床研究の国際化に向けて研究組織のハブ機能の拡充と人材育成に関する研究
課題番号
H22-臨研(機関)-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
花岡 英紀(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 康(国立大学法人千葉大学)
  • 小室 一成(東京大学医学系研究科)
  • 柴田 大朗(独立行政法人国立がん研究センター)
  • 北田 光一(日本病院薬剤師会)
  • 金澤 薫(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、国内外の臨床研究コーディネーティングセンターとの連携と、国際基準の試験の実施体制のための人材育成と組織構築を行い、臨床試験を展開する
研究方法
1.国際共同試験に向けた基盤整備に関する研究
治験および臨床研究の国際化に向けた臨床研究基盤整備を実施するため、PIとPMの連携による癌や難病、循環器、代謝分野などをモデルとし実施する。
2.臨床研究のハブ機能に関する研究
Duke大AROと連携し国際標準のハブとしての機能を整備する。人材を派遣し大規模臨床試験の準備を開始する。
3.固定・流動型人材育成に関する研究
医師等の教育、大学院の講義として年間14回(1回90分)のセミナー(webでも視聴可)を実施する。さらにレギュラトリーサイエンスについてPMDAとの連携大学院を構築する。
4.モニタリング・監査に関する研究
モニタリングSOPを整備し、臨床研究の質の向上を行う。EDC、PRS/CDM支援も継続的に実施する。代謝内科領域における自主臨床試験を対象にモニタリングを実施する。
5.トランスレーショナルリサーチ(TR)との融合
NKT細胞を用いた臨床研究(先進医療)等のTRにつき支援を行う。
6.被験者に対する保護体制の確立
被験者保護部門を病院長のもとに配置し倫理委員教育を行う。小・中学生への臨床研究啓発も継続的に実施する。
7.治験の国際化
治験活性化5か年計画中間見直しマイルストーンの通り計画に沿って実施する。
8.シーズ開発の実態調査研究
我が国としての公的創薬支援機関の必要性について創薬分野の専門家と連携し検討する。
結果と考察
1.院内の臨床研究基盤整備推進委員会を年数回開催した。POEMS症候群に対する医師主導治験及び川崎病に対する医師主導治験、糖尿病に対する自主臨床試験、先進医療の支援を行った。
2.Duke大学へ医師を派遣し相互交流を図るともに、各国AROとの国際会議にて協議を重ねた。
3.医師の教育、大学院(年間14回)の講義を開催した。CRC研修では、看護部セミナー継続、薬学部5年生40名に1週間、薬剤部研修生に2週間の実習を行った。
4.モニターを増員しサンプリングSDVを実施した。EDC、CDM/PRSを利用した臨床研究を経験し、システムの利用にあたってはSOPの整備、コンピュータ・システム・バリデーション(CSV)実施のためのベンダー監査を行った。
5.従来のTRに関する計画書評価のみならず院内経費を利用したTRの評価を開始し6件採択した。
6.倫理委員、IRB委員への教育を実施した。若い世代への教育として①県立中学校三年生を対象とした連続講義②小・中学生を対象とした実験教室を開催した。
7.3年間を通し、契約課題数は100件以上、契約症例数400~500を維持し治験中核病院として求められるマイルストーンを満たした。
8.本邦において研究機関のシーズが実用化に結びつかない理由として資金面、人材、設備、研究者と企業との戦略の相違があり、この問題に対し創薬支援ネットワークに期待が寄せられている。
AROの必須となる固定的人材であるPM、モニター、DM、生物統計学専門家等の人材育成が進み、医師主導治験等のプロジェクトを通して各機能も有することが可能となった。今後の課題としてICH-GCP準拠の臨床研究を進めるためのSOP整備、CDISC対応、監査機能の充実が考えられる。ARO活動は臨床研究基盤整備推進委員会と第三者評価専門部会により適正に推進されている。国内外のAROやPMDAとの連携をすすめ、臨床研究の国際化に向けた組織の整備を継続していくことが重要である。
結論
臨床研究のハブ機能と人材育成を目的として具体的に8項目を掲げその活動を実施した。これらの結果に基づいた臨床研究実施体制の支援が可能となった

公開日・更新日

公開日
2013-08-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201214004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
新しい治療法を世界に向け発信し本邦の臨床研究センターのリーダーとなるべく研究者・プロジェクトリーダー等人材育成を行いアカデミック臨床研究機関部門の設置、IRB委員教育、ICH-GCP又はJ-GCP下における治験・臨床研究の実施体制を整備した。またアジアにおけるAROの臨床研究ネットワーク構築に向け、情報交換を行っている。上記の組織を生かしがん・難病・小児領域において医師主導治験及び先進医療を実施した。
臨床的観点からの成果
臨床研究の国際化に向けた研究組織の拡充と人材育成を実施し、医療機関として幅広い専門的人材が継続的に供給されている。その組織と人材を生かし、がん、難病、小児領域において基礎研究の成果から国際標準の臨床研究へと発展させることで新しい治療方法の実用化が可能となった。希少疾病領域における医薬品の適応拡大、新規医療技術の提供等新しい治療方法を社会に対し、健康への寄与を果たす環境を整備した。この環境を利用して医師主導治験の実施をさらに進め、毎年新たな治験を開始している。
ガイドライン等の開発
神経内科領域において医師主導治験を実施しコクランレビュー次改訂内容へ反映するための結果を作成している。また規制当局と協働して、臨床開発の評価方法についてのガイドライン作成を目指している。その他、神経内科領域、代謝に関わる遺伝性疾患などの希少疾患でのレジストリ構築を開始した。
その他行政的観点からの成果
治験中核病院・拠点医療機関連絡協議会において本研究内容を報告した(H24.2)。また、毎年5月には治験・臨床研究基盤整備状況調査を提出している。本事業の成果を受け、臨床研究の拠点病院として新規事業に取組んでいる。この事業では、厚生労働省、文部科学省などの外部からの評価と指導を受けながら、大学全体で研究の成果を社会に還元すべく、体制整備を継続している。特に平成25年度に設置した国際水準の臨床研究のデータセンターは、先進的な取組みで、平成27年度施行の臨床研究の新指針に対応している。
その他のインパクト
一般向け臨床研究啓発ポスター、若い世代向けの教育映像、海外向けパンフレットを作成しWEB上に公開している。学生(大学院博士課程、PMDA連携大学院、薬学部5年生)、スタッフ(医師・研究者、看護師、院外スタッフ、CRC、PM、CRA)、IRB委員を対象とした各種研修、地元の小中学生を対象とした実験教室等幅広い世代に対し臨床研究教育を実施している。なお公開シンポジウムを開催した(H24.3)。またアジアにおけるAROの臨床研究ネットワーク構築推進のため、国際フォーラムを主催した(H27.11)。

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
6件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
加藤啓、山崎正志、花岡英樹、他
脊髄障害性疼痛に対する顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)の治療効果
千葉医学 ,  (88) , 1-9  (2012)

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
2017-07-10

収支報告書

文献番号
201214004Z