レーザー消化管内視鏡治療装置の開発

文献情報

文献番号
201212023A
報告書区分
総括
研究課題名
レーザー消化管内視鏡治療装置の開発
課題番号
H24-医療機器-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
東 健(神戸大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 豊永 高史(神戸大学 医学部附属病院)
  • 森田 圭紀(神戸大学 医学部附属病院)
  • 粟津 邦男(大阪大学 大学院工学研究科)
  • 間 久直(大阪大学 大学院工学研究科)
  • 石井 克典(大阪大学 大学院工学研究科)
  • 岡上 吉秀(株式会社モリタ製作所)
  • 本郷 晃史(株式会社モリタ製作所)
  • 日吉 勝海(株式会社モリタ製作所)
  • 村上 晴彦(株式会社モリタ製作所)
  • 川上 浩司(京都大学 医学研究科)
  • 樋之津 史郎(京都大学 医学研究科)
  • 斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院)
  • 貝瀬 満(虎の門病院)
  • 上堂 文也(大阪府立成人病センター)
  • 井口 秀人(兵庫県立がんセンター)
  • 横井 英人(香川大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、早期消化管粘膜がんに対して内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD) が高周波電気メスを用いて実施されている。本研究では、電気メスで生じる出血・穿孔等の合併症を改善した、より安全な消化器内視鏡治療のためのレーザー消化器内視鏡治療装置を開発することを目的とした。
研究方法
1)レーザー装置開発:モリタ製作所が歯科用や耳鼻咽喉科用として製造・販売している炭酸ガスレーザー装置をベースとしてESDに適した装置を開発する。試作品を用いてin vitro及びin vivoで検討し、改良を行う。2)導光ファイバー開発:中赤外波長のレーザーを導光できる光ファイバーは限られており、本研究では中空光ファイバーを使用したファイバー導光路を用いる。従来のガラス製中空ファイバーよりも内視鏡先端部で高い柔軟性(曲率半径2 cm以下)を持ち、高い伝送効率(約70%)、および耐久性を備えたファイバー導光路を開発する。素材の材料特性(材料分析、強度等)の把握と超微細加工技術を用いて必要な部品の開発・製作を行う。中空ファイバー内径を530μmに細径化し、さらに水冷機構を備えた伝送系外装に挿入する方法を考案し、㈱モリタ製作所が試作品を作製し、in vitro及びin vivoで評価した。3)ガイド光反射強度モニタ装置の開発:大阪大学が中心となり、摘出したブタ胃切片の粘膜下層にヒアルロン酸ナトリウム溶液を注入し、切片の表面、または表面から深さ2 mmの位置に血液を満たした動脈を設置した。ハロゲンランプから発生した白色光を分光器で単色光にしてブタ胃切片に照射し、反射光をCCDカメラで撮影した。照射光の波長を400-1000 nmの範囲で10 nm間隔で変化させ、各波長での反射光画像を撮影した。4)ブタの摘出胃によるin vitroでの安全性・有効性の評価:ESDで用いられている電気メスと試作炭酸ガスレーザーでの切削による熱損傷領域の違いを組織学的に評価した。5)生体ブタによる前臨床試験:生体ブタを用いた前臨床試験を神戸医療機器開発センター(MEDDEC)において行う。
結果と考察
レーザー装置における伝送系の取出し構造については、施術者による操作性を考慮し、伝送路取り出しの方向と高さを決定し、既存の炭酸ガスレーザー装置の改造を行なった。また伝送系については、中空ファイバーを挿入する外装チューブ(マルチルーメンチューブ)の長さを最適化するとともに、レーザー装置と伝送系との着脱を容易にする構造とした。マルチルーメンチューブはチャネル内を冷却水が還流しレーザー光伝送中における機械的強度の向上を確認した。中空ファイバー自体の検討では、先端部のみ高屈曲樹脂製材料による中空ファイバーを試作したが、内面粗さおよび耐熱性に関し不十分であった。これに対し、冷却機構を備えた内径530μmの細径中空ファイバーによるレーザー光伝送の方が、機械的強度、光学特性の点で有利であると判断した。本レーザーシステムでESDを実施した生体ブタの胃組織を病理学的に検討したところ、筋層の熱変性無く、安全に切除されていることを確認した。
結論
レーザーのパワーは既存の機器での15wと本体の大きな改良は必要無く、射出口の位置を変更することと、中空ファイバーを冷却する装置を付加するに留まり、中空ファイバーも530μmの細径のもので治療操作が可能であり、製品のスペックが決定され、臨床試験への準備が出来た。

公開日・更新日

公開日
2013-09-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201212023Z