文献情報
文献番号
201212011A
報告書区分
総括
研究課題名
心臓カテーテル検査の低侵襲性代替診断法の開発-被曝量低減化に向けた革新的体外診断薬の開発-
課題番号
H23-医療機器-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 亨(東京大学大学院医学系研究科 ユビキタス予防医学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では心臓カテーテル検査に代替する低侵襲性診断法の開発を目指す。心臓カテーテル検査の被曝は医療被曝の中で最大のものの一つであり、その低減化が求められている。冠動脈疾患の主な治療法であるカテーテル治療では約1割~3割程度の症例で再狭窄(約半年後に病変が再度進行ないし治療に対する反応として狭窄する現象)が発症する問題ないし限界がある。再狭窄を予知する方法がないため、治療半年後に再度心臓カテーテル検査を実施し再狭窄の有無を評価する必要があるが、X線照射を必要とする検査であり、安全性また医療費の面からも血液検査等の代替法の開発は急務であった。心臓カテーテル検査に代替する方法としてこのバイオマーカーを用いることで被曝量の低減化を図る。代替検査法の開発により被曝量軽減(患者、術者ともに)また医療費削減も可能となる。
研究方法
我々は心臓カテーテル治療後の再狭窄を反映する世界で初めての心臓カテーテル検査の代替法となるバイオマーカーを最近開発した(特許も申請済み)。本バイオマーカーは、心血管病態時に特異的に発現する蛋白質であるナトリウム利尿ペプチド(BNP)から、慢性虚血時に生じる特異なプロセシング産物を質量分析計で測定することを測定原理とする。本法は、心血管病態時に特異的に発現する蛋白質のナトリウム利尿ペプチド(BNP)から慢性心筋虚血時に生じる特異なプロセシング産物を質量分析計で測定する方法である。本研究中に検査法の有用性の確立を目指す。
結果と考察
研究二年目(平成24年度)は初年度に得られた再狭窄の除外診断法としての性能(検出能ならびに予測能)を検証した。平成24年度末までに計画通り、合計727例の分析が完了した。再狭窄の検出において非狭窄群と狭窄群の統計的有意差(p値)は前年度の0.0001未満を維持した。また、再狭窄を予知する診断においても、p値は0.0218と統計的有意水準を維持した。
結論
研究終了後には先進医療の申請、薬事承認申請を目指す。被曝量の低減化、低侵襲の革新的診断機器を開発する研究、低侵襲かつ患者の視点から苦痛の少ない革新的治療機器を開発する研究となるものと期待している。
公開日・更新日
公開日
2013-08-13
更新日
-