文献情報
文献番号
201209015A
報告書区分
総括
研究課題名
人工スーパー癌細胞を用いた生体内“脱癌化”誘導療法の開発
課題番号
H23-政策探索-若手-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
幸谷 愛(東海大学 創造科学技術研究機構)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
再発癌、初発時に大規模な転移を認める癌については、有効な治療が極めて少ない。このようながんに対しては革新的な治療法の開発が急務である。がん細胞がクローン間で生存競争する現象に着目し, 人工的に悪性度の高い“スーパー白血病細胞”(bcr-abl BaF3) を樹立し、白血病細胞(Stat5-BaF3)と生存競争させることによって後者の増殖を抑制させる試みを行い、その分子メカニズムを明らかにし、新規治療法開発を目指した。K-Rasを過剰発現した細胞と, Schribbをノックアウトした細胞、二つのクローンが協力して癌化を引き起こすモデルがショウジョウバエで報告された(Nature. 2010;463(7280):545-8)。この報告は、それぞれ単独細胞では癌化しない細胞が、両方のクローンが同一生体内に存在する場合には、癌化がおこるというものである。癌における全く性質の異なるクローンの相互作用が癌化をひきおこすことを初めて示した画期的な報告である。癌化を促進するクローンの組み合わせがあるのであるから、”腫瘍抑制”を引き起こす組み合わせもあると考える。そこで、2つの腫瘍クローン間の腫瘍増殖を抑制するメカニズムを明らかにすることを本研究の目的とする。局所的に肺がんの異なるクローンをマウスに接種した実験では、ひとつのクローンが優位となった(EurJ Cancer, 1999 Vol. 31A, No. 2, pp. 222-229)。古いこの研究から本研究のヒントを得たが異なる腫瘍クローンを全身的に投与する試みは全く新しいものである。
研究方法
2011年に得た結果の再現性を確認すると共に、腫瘍を分離するための新しいシステムを構築する。スーパー癌細胞としては白血病遺伝子“bcr-abl”をマウスB細胞株BaF3細胞に導入した安定株,
“普通癌細胞”としては、bcr-ablの下流に存在し、bcr-ablほどは形質転換能の強くない遺伝子
Stat5に蛍光蛋白mCherryを普通癌細胞に導入した細胞を作成し、マウスにこれらの細胞を接種し
腫瘍増殖を観察すると共に、セルソーターを用いてそれらを分離回収する。それらからRNAを回収して遺伝子発現の差を解析する。
“普通癌細胞”としては、bcr-ablの下流に存在し、bcr-ablほどは形質転換能の強くない遺伝子
Stat5に蛍光蛋白mCherryを普通癌細胞に導入した細胞を作成し、マウスにこれらの細胞を接種し
腫瘍増殖を観察すると共に、セルソーターを用いてそれらを分離回収する。それらからRNAを回収して遺伝子発現の差を解析する。
結果と考察
、単独を接種した場合よりもMixを接種した場合の方が、
Stat5-BaF3細胞の増殖が抑制されるという結果を再現できた。更にこの現象の分子メカニズムを明らかにするために、普通癌細胞を正常細胞から分離する必要性が生じたため。新たに蛍光蛋白mCherryを普通癌細胞に導入した。このシステムがこれまでの実験の結果を再現するか否かを試験管内からマウス生体内実験まで検討し、再現性を得た。
Stat5-BaF3細胞の増殖が抑制されるという結果を再現できた。更にこの現象の分子メカニズムを明らかにするために、普通癌細胞を正常細胞から分離する必要性が生じたため。新たに蛍光蛋白mCherryを普通癌細胞に導入した。このシステムがこれまでの実験の結果を再現するか否かを試験管内からマウス生体内実験まで検討し、再現性を得た。
結論
現在、スーパー癌細胞に導入されているGFPと普通癌細胞に導入されているmCherryをマーカーに
マウス生体内に生じた腫瘍からスーパー癌細胞と普通癌細胞の分離回収を行っている。
これらの細胞に対してcDNAアレイを行い、遺伝子発現の差異から、癌が一人勝ちを好むメカニズムを明らかにしていく予定である。
マウス生体内に生じた腫瘍からスーパー癌細胞と普通癌細胞の分離回収を行っている。
これらの細胞に対してcDNAアレイを行い、遺伝子発現の差異から、癌が一人勝ちを好むメカニズムを明らかにしていく予定である。
公開日・更新日
公開日
2013-09-01
更新日
-