疾患研究のための生物資源の所在情報データベース等の構築と維持と関連する政策・倫理課題の研究

文献情報

文献番号
201208016A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患研究のための生物資源の所在情報データベース等の構築と維持と関連する政策・倫理課題の研究
課題番号
H22-創薬総合-指定-016
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
増井 徹(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター 予防健診部)
  • 加藤 規弘(国立国際医療研究センター研究所 遺伝子診断治療開発研究部)
  • 後藤 雄一(国立精神 神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)
  • 山崎 由紀子(国立遺伝学研究所 系統生物研究センター 系統情報研究室)
  • 山田 靖子(国立感染症研究所 動物管理室)
  • 松田 潤一郎(医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 疾患モデル小動物研究室)
  • 金井 弥栄(国立がん研究センター研究所 分子病理分野長)
  • 恒松 由記子(こども教育宝仙大学 こども教育学部)
  • 山田 弘(医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト)
  • 水口 賢司(医薬基盤研究所 バイオインフォマティクスプロジェクト)
  • 坂手 龍一(医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 難病資源研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
17,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト生物資源と創薬モデル動物の円滑な利用を促進することを目的とし、国内外での共同研究が促進され、ヒト疾患研究が発展することで国民生活の安全・安心の推進と福祉の向上に貢献し、国際貢献も期待される。
研究方法
・生物資源を継続的に供給できる体制等に関する運用方針の確立
・生物資源の所在情報をはじめとする各種情報に関するデータベースの整備
・生物資源の流通に関する倫理問題とリスクマネージメントに関する調査研究
結果と考察
(1)・国立国際医療研究センターと連携し、バイオバンクを11月に開設した。さらに、東北メディカル・メガバンク機構、バイオバンクジャパンと情報共有、連携を図っている。
・国立がん研究センター等と共同で「ヒト生物資源研究会」(代表:増井徹)を設立し、MBRDB(http://mbrdb.nibio.go.jp/)から、設立記念シンポジウムの講演や討議の情報を提供した。
(2)・医薬基盤研究所データベース横断検索システムの構築・拡張をし、厚生労働省の統合データベースのモデルとしてパイロット調査を行った。
・医薬基盤研究所開発のSagaceの構築に協力した。
・Open TG-GATEsについて、高解像度病理画像閲覧システムと本体のデータとの連携システムを構築し、厚生労働省の公募要領でも活用が推奨され、本年度のアクセス数は10万件を越えた。
(3)米国国立がん研究所の「生物資源保管施設の実務要領2011」を翻訳することにより、2007年から2011年の米国におけるこの分野の進展を知ることができた。本報告書は日本の国内研究にとっても、また国際的な共同研究においても重要である。
(4)人間の肉体に由来する試料・情報や、その所有・管理・処分などにまつわる課題について、米国の事例であるムーア事件とカタロナ事件を中心に調査研究した。米国と日本の状況に大きな違いがあるが、日本における施策の検討のために本調査研究を行うことは意義深い。
結論
 疾患研究のための生物資源の所在情報等をOne Stopで入手可能な統合化データベースの構築と同時に、情報が活かされ、必要なヒト由来試料等の流通に関する政策・倫理面での研究は重要である。
 米国における議論の変化を見ても、ヒト生物資源をめぐる利益をどのように分配するか、利益相反を如何にマネージメントするかは大きな課題である。この問題の複雑さと日本との状況の違いについては、さらなる検討が必要である。日本知財学会のライフサイエンス部会の協力を得て議論をさらに進めたい。

公開日・更新日

公開日
2013-07-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201208016B
報告書区分
総合
研究課題名
疾患研究のための生物資源の所在情報データベース等の構築と維持と関連する政策・倫理課題の研究
課題番号
H22-創薬総合-指定-016
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
増井 徹(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター 予防健診部)
  • 加藤 規弘(国立国際医療研究センター研究所 遺伝子診断治療開発研究部)
  • 後藤 雄一(国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)
  • 山崎 由紀子(国立遺伝学研究所 系統生物研究センター 系統情報研究室)
  • 山田 靖子(国立感染症研究所 動物管理室)
  • 松田 潤一郎(医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 疾患モデル小動物研究室)
  • 金井 弥栄(国立がん研究センター研究所 分子病理分野)
  • 恒松 由記子(こども教育宝仙大学 こども教育学部)
  • 山田 弘(医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト)
  • 水口 賢司(医薬基盤研究所 バイオインフォマティクスプロジェクト)
  • 坂手 龍一(医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 難病資源研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト生物資源と創薬モデル動物の円滑な利用を促進することにより、厚生労働省の使命へ貢献することを目的とし、医薬基盤研究所の保有するデータベースの統合化、国内外のヒト由来疾患研究資源の調査研究、それらをもとにした政策・倫理研究を行うことにより円滑な疾患研究を推進する。
研究方法
・医薬基盤研究所内の多様なデータベースの調査・統合
・海外の基盤報告書の翻訳と公開
・これらの調査研究をもとにした政策・倫理研究
結果と考察
・Open TG-GATEsについて、高解像度病理画像閲覧システムと本体のデータとの連携システムを構築し、厚生労働省の公募要領でも活用が推奨され、本年度のアクセス数は10万件を越えた。
・医薬基盤研究所データベース横断検索システムの構築・拡張をし、厚生労働省の統合データベースのモデルとしてパイロット調査を行った。

・英国国立がん研究所「研究のための試料と情報:利用方針作成のための雛形」の電子版をMBRDBのホームページに掲載し、閲覧件数が増加した。
・NCI「ヒト生物資源保管施設のための実務要領2007」「2011年改訂版」を翻訳し公表した。2つの版を比較し、米国での検討の推移を知ることができた。

・国内外のバイオバンク等ヒト由来生物資源の利活用に関する事業・計画等を研究し検討したところ、海外の動きの結論部分だけが輸入され、その基盤となる情報・議論に対する知識や配慮が欠けていることが危惧される。特に急速に発展しようとする日本の状況の中で、地に足のついた姿勢を持つことが重要であると考えている。
・ヒト由来生物資源の研究利用における知的所有権の問題について、日本知財学会バイオサイエンス部会と連携して平成22、23年度にワークショップを開催した。平成25年度は、連携研究を計画している。
・「米国における医学研究推進に関する調査」、「ヒト由来試料を使った研究におけるデータ共有と特許権に関する米国における議論の調査」を作成した。米国の所有権、知的財産権、MTAなどの実情に対する調査である。

このように、海外と国内の動きを並行して調査研究を行うことにより、日本における厚生労働行政の遂行に重要な課題を立体的に研究対象とすることができる。
結論
東北メディカル・メガバンク事業、バイオバンクジャパン、内閣府のゲノムコホート事業などの大規模な疾患、公衆保健の研究における統合の動きは、「ヒトを研究するために人を使う」という姿勢が明確化されてきたことを示す。厚生労働行政の見地からも「ヒト」「疾患」に関連した生物資源の利用枠組みの整備を行うことが重要であり、本研究事業においては、関係機関と連携して、ヒト由来を含む生物資源の情報を統合化し、生物資源の流通の阻害要因の影響を低減する施策について調査研究を行った。これらを通じて、ヒトの疾患研究を促進するための提言へと継げていく。

公開日・更新日

公開日
2013-07-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201208016C

収支報告書

文献番号
201208016Z