プロテオミクスを活用した次世代コンパニオン診断薬の創出に向けた基盤技術研究

文献情報

文献番号
201207017A
報告書区分
総括
研究課題名
プロテオミクスを活用した次世代コンパニオン診断薬の創出に向けた基盤技術研究
課題番号
H24-バイオ-指定-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山西 弘一(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 朝長 毅(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 仲 哲治(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 角田 慎一(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 平野 久(横浜市立大学大学院国際総合科学研究科)
  • 山田 哲司(独立行政法人国立がん研究センター研究所)
  • 中山 敬一(九州大学生体防御医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
43,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最適な個別化医療の実現のためには、治療薬(主に分子標的薬)の効果や副作用を予測し、投薬が適切な患者を選定するためのコンパニオン診断薬の開発が急務である。現在は、標的分子の遺伝子変異の有無で薬効予測をしているが、薬が効くと診断されても実際は効かない例が多い。その理由として、遺伝子レベルだけではなく、生体内のタンパク質レベルでの変動が薬効を左右するからである。その中でも特に、生体内のシグナル伝達を担っているタンパク質リン酸化が鍵となる。本研究では、最新のプロテオミクス技術を活用して、リン酸化タンパク質によるシグナルの異常を網羅的に捉え、次世代コンパニオン診断薬を創出することを目的とする。
研究方法
1.iTRAQ法などの安定同位体標識を用いた大規模リン酸化タンパク質比較定量法
2.抗チロシンリン酸化抗体ビーズと、iTRAQ法を組み合わせたチロシンリン酸化ペプチドの網羅的定量法
3.SRM/MRM法を用いたリン酸化タンパク質絶対定量法
4.タンパク質マイクロアレイを用いた網羅的なリン酸化タンパク質プロファイリング法
5.ノンターゲット定量アプローチであるSWATH法を利用したPhospho-SWATH法
結果と考察
1.SRM/MRM法を用いたリン酸化タンパク質定量法の開発を行った。特に活性型リコンビナントキナーゼを用いて、細胞内主要シグナルを担う400種類弱のキナーゼ活性化レベルのSRM/MRM測定のための検討を行った。また、大腸癌培養細胞株の抗EGFR抗体薬感受性株と耐性株で種々のキナーゼの活性化レベルを測定した。その結果、耐性株ではこれまで耐性の原因と考えられていたMekとAktの活性化以外の原因が耐性化に関与していることが示唆された。
2.チロシンリン酸化ペプチドの濃縮とiTRAQ法により、チロシンリン酸化ペプチドの網羅的定量法を確立した。本手法により、GISTにおけるimatinib獲得耐性のバイパス経路としてFynとFAKの活性化の関与を明らかにした。GISTのimatinib獲得耐性にFyn、および、FAKが創薬標的分子、および、コンパニオン診断薬となり得る可能性が示唆された。
3.コンパニオン診断薬開発に適うバイオマーカー蛋白質を探索する対象として、がん細胞から分泌されるexosome上の膜蛋白質に着目して解析した。その結果、現在、臨床試験中の抗体医薬の標的であるEph receptor A2を同定することができ、コンパニオン診断薬に応用しうるバイオマーカーとしての有用性が示唆された。
4.今年度の研究で、GIST 細胞株から、4,596 種類のリン酸化ペプチド、1,386 種類のリン酸化タンパク質を同定した。GIST細胞株にイマチニブを投与すると、KITをはじめとする多種類のタンパク質のリン酸化に変動が見られた。イマチニブの継続投与によってそれらの一部にはリン酸化の回復が見られた。また、イマチニブ耐性株では、細胞増殖に係わる受容体型チロシンキナーゼの活性の増大が見られた。これを抑えると耐性株はイマチニブ感受性を示した。このことから、このタンパク質は、薬剤効果を予測するバイオマーカーとして利用できる可能性があると考えられた。
5.ガラス基板上に細胞や組織のタンパク抽出液をアレイ化し、蛍光色素と独自の増感技術を用いて抗体との反応を検出する逆相マイクロアレイ法をリン酸化タンパク質の発現解析に応用し、ウエスタン法に必要とされる1/10,000以下の微量な試料でリン酸化タンパク質を網羅的かつハイスループットに解析できる基盤を確立した。
6.新規リン酸化定量プロテオーム解析法であるPhospho-SWATH法を開発した。さらに、実際にPhospho-SWATH法を用いて、EGF刺激に伴う大規模なリン酸化の定量情報取得に成功した。
結論
コンパニオン診断薬開発のための種々のプロテオーム基盤技術を開発した。それらの手法を用いてGISTにおけるイマチニブの薬効予測マーカーの探索を行い、新規コンパニオンマーカーリン酸化タンパク質の同定に成功した。

公開日・更新日

公開日
2013-08-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201207017Z