医薬品開発時の有効性評価に有用なサロゲートバイオマーカーの開発-虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの実現-

文献情報

文献番号
201207016A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品開発時の有効性評価に有用なサロゲートバイオマーカーの開発-虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの実現-
課題番号
H24-バイオ-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 亨(東京大学大学院医学系研究科 ユビキタス予防医学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの開発を目指す。循環器疾患の臨床試験は近年の大規模臨床試験の時代を先導してきたが、代表的なイベントである虚血性心疾患は発症率が低いため、有意な結果を得るために必要な症例数並びに追跡期間が大規模化していることが問題となっている。このため、長期間に及ぶイベント発症の追跡調査に代わり短期間に容易に病態変化を反映するバイオマーカー、すなわちサロゲートマーカーの開発が喫緊の課題である。
研究方法
我々は最近、心血管病態時に特異的に発現する蛋白質であるナトリウム利尿ペプチド(BNP)から、慢性虚血時に生じる特異なプロセシング産物を質量分析計で測定することを測定原理とする新しいバイオマーカーを開発した。このバイオマーカーを研究期間3年間に東京大学医学部附属病院で実施中の次の3つの冠動脈疾患に対する大規模臨床試験([1]動脈硬化生理検査としての血流依存性血管拡張反応検査(FMD法)の有用性検討、[2]薬物介入としての脂質異常治療薬の有効性検討、[3]糖尿病治療薬の有効性検討)で解析する。
結果と考察
研究初年度(平成24年度)は、質量分析計を用いて、検体の収集が先行している[1]動脈硬化生理検査の有用性検討の臨床試験において644例の分析を行い、検体の臨床情報と分析結果との相関を調べた。本バイオマーカーとイベントの有無をイベント有りの群とイベント無しの群の2群において検討した結果、統計的に有意ではないが、イベント有りの群において、本バイオマーカー値が低い傾向を認めた。カットオフ値を決めることにより、このマーカーが「除外診断マーカー」として有用である可能性を示唆するデータを得た。また[2]脂質異常治療薬の有効性検討の臨床試験においては100例、[3]糖尿病治療薬の有効性検討の臨床試験においては9例、それぞれ計画通りの分析を行った。一方、今後、測定の自動化が可能となる期待のある液体クロマトグラフ質量分析計を用いて、本バイオマーカー検出の感度向上のための条件検討を行った。その結果、標品を用いた分析においては1 fmolという微量を検出することが可能となった。
結論
本研究により得られた成果は医薬品開発時の治験、臨床研究における有効性評価のためのサロゲートマーカー、薬剤内服時の効果判定として活用可能なコンパニオンバイオマーカー開発につながるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2013-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201207016Z