次世代型IL-6受容体抗体使用時の炎症マーカーとしてのLRG定量キットの開発と臨床応用

文献情報

文献番号
201207014A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代型IL-6受容体抗体使用時の炎症マーカーとしてのLRG定量キットの開発と臨床応用
課題番号
H24-バイオ-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
仲 哲治(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内勤(慶應義塾大学 医学部)
  • 南木敏宏(国立大学法人 東京医科歯科大学 薬害監視学講座)
  • 緒方篤(国立大学法人 大阪大学大学院 医学系研究科 )
  • 角田慎一(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部)
  • 服部有宏(中外製薬株式会社 富士御殿場研究所 研究本部 探索研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、今後治験が予定されている次世代型IL-6受容体抗体による治療を受ける関節リウマチ(RA)患者に対し、血清leucine-rich alpha-2 glycoprotein (LRG)レベルがRAの治療効果を正確に反映し、生物学的製剤使用時に感染症を検出できるバイオマーカーであることを証明し、最終的には臨床検査として血清LRG測定を実用化することである。
IL-6受容体抗体やTNF-alpha阻害抗体などの生物学的製剤はRAに対して劇的な治療効果を挙げているが、その多くはIL-6の作用を抑制することで抗炎症効果を示している。そのため、IL-6阻害の間はIL-6依存性のCRPが陰性化となるため、CRPにより治療効果が判定できない。さらに、IL-6阻害の副作用として最大の問題である結核等の感染症の併発について、CRPはIL-6阻害により陰性化するため、生物学的製剤使用時に感染症を早期に検出出来るマーカーがないというのが現状である。従って治療効果の判定や併発感染症の発見を可能とする新たなマーカーの開発が急務である。申請者が既に報告した新規炎症マーカーである血清LRG(Serada S, Naka T. et al, ARD. 2010)はIL-6阻害時にも上昇するため(Serada S, Naka T. et al, IBD. 2012)、IL-6受容体抗体投与時にLRGがCRPに代わる新たな炎症マーカーとしてその役割を果たせば、治療効果の正確な判定、それによる予後の改善、無効な治療による医療費の無駄の削減、感染症合併の早期発見による安全性への寄与や副作用に対する医療費の削減などに貢献すると期待される。
研究方法
(1)血清LRG定量システムの開発
血液中のLRG濃度を定量するELISAシステムを開発するため、LRGに対するモノクローナル抗体を樹立し、ヒト、及び、サルのLRGを高感度に検出できるサンドイッチELISAシステムを独自に確立する。
(2)次世代型IL-6受容体抗体投与時のサルコラーゲン関節炎モデルにおける血清LRGの測定
 既に、中外製薬ではサルコラーゲン関節炎モデルを用いたIL-6受容体抗体の非臨床試験を実施済みである。非臨床試験時のサル血清を用いて、新規に開発したELISAキットを用いてサル血清LRG濃度を測定し、関節炎スコア、CRPとの相関を評価する。
(3)次世代型IL-6受容体抗体による治療を受けるRA血清と臨床情報の収集
慶應義塾大学、東京医科歯科大学、大阪大学医学部において、次世代型IL-6受容体抗体投与前後のRA患者の血清を50例を目標に収集するシステムの構築と、血清の収集を行う。血清は薬剤開始前と投与ごとに採取する。それと同時にさまざまな臨床情報(疾患活動性スコア、CRP、WBC、MMP-3など)も記載する。
結果と考察
ヒトLRGに対するマウスモノクローナル抗体を独自に作成し、ヒトLRGを定量できるELISAシステムの構築に成功した。また、ヒトLRGに対するELISAシステムがカニクイザル血液中LRGを定量出来ることも明らかにした。そして、次世代型IL-6受容体抗体投与時のカニクイザルコラーゲン誘発関節炎モデルにおいて血中LRG濃度がCRPよりも疾患活動性スコアと強く相関し、CRPでは検出出来ないIL-6抑制下での炎症をLRGが検出出来ることを明らかにした。
本研究では患者血清が必要となるが、すでに慶應義塾大学、東京医科歯科大学、大阪大学医学部、医薬基盤研究所の倫理委員会にて承認済みである。将来、次世代型IL-6受容体抗体の治験により治療を受けるRA患者の血清が必要となるが、次世代型IL-6受容体抗体を使用するRA検体の収集には時間がかかることが考えられる。そこで、まず従来型のIL-6受容体抗体により治療を受けるRA患者より血清サンプルを平成24年11月時点で43例を収集し、それに対応する詳細な臨床情報についても収集を継続している段階である。
結論
本研究成果より、LRGがCRPでは検出出来ないIL-6抑制下での炎症を検出出来ることを明らかとなった。このことは、IL-6受容体抗体投与時における疾患活動性を評価するマーカーとしてLRGがCRPよりも疾患活動性を正確に把握できるマーカーとしての有用性を示すこと意味している。今後、開発したLRGのELISAシステムの検量線となる標準抗原、及び抗体の大量調製を進めている。大量調製後、次世代型IL-6受容体抗体投与時に結核などの感染症マーカーとしての有用性を検証する。

公開日・更新日

公開日
2013-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-11-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201207014Z