糖尿病の新規バイオマーカーに基づく診断法と蛋白質構造解析に立脚した新規治療法の開発

文献情報

文献番号
201207011A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病の新規バイオマーカーに基づく診断法と蛋白質構造解析に立脚した新規治療法の開発
課題番号
H23-バイオ-一般-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
門脇 孝(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 原 一雄(東京大学医学部附属病院統合的分子代謝疾患科学講座)
  • 窪田 直人(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 )
  • 脇 裕典(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 )
  • 高本 偉碩(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 )
  • 横山 茂之(独立行政法人理化学研究所 生命分子システム基盤研究領域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本人2型糖尿病感受性遺伝子としてTCF7L2, KCNQ1などが同定されたが、これら2型糖尿病感受性遺伝子の発現や機能の低下・亢進のいずれが糖尿病発症の原因となるのかほとんど解明されていない.本研究では,①テーラーメード医療の実用化に向けた2型糖尿病感受性遺伝子の発現・機能異常の解明と新規バイオマーカーに基づく診断法の開発,②2型糖尿病感受性遺伝子がコードする蛋白質の構造解析に立脚した創薬シーズの探索と新規治療法の開発を目指す.
研究方法
2型糖尿病感受性遺伝子に着目し,(A)ヒト組織を活用したトランスクリプトーム解析・エピゲノム解析,(B)遺伝子操作動物を用いた機能解析,(C)蛋白質の結晶構造解析を実施した.
結果と考察
(A)ヒトの皮下脂肪と内臓脂肪をトランスクリプトーム解析で比較すると,主成分分析にて両者は明確に分離され,2型糖尿病全ゲノム解析の結果と照らしあわせると,皮下脂肪と内臓脂肪で発現に差がある疾患感受性遺伝子を見出した.また,FAIRE-seq技術を用いたエピゲノム解析を行い脂肪細胞に特異的な転写制御領域をゲノムワイドに同定し,新たな脂肪細胞分化制御因子としてNFIファミリーを同定して機能解析を進めるとともに,脂肪組織全体を用いてオープンクロマチン領域を同定する手法を確立した.
(B) 2型糖尿病感受性遺伝子操作動物の作製・解析により,膵β細胞において,KCNQ1は機能を亢進させた場合に,耐糖能異常をきたすことを見出した.
(C)大腸菌無細胞蛋白質合成系を利用してKCNQ1/KCNE蛋白質を大量に共発現させ,穏和な界面活性剤での可溶化・精製作業を進めた.KCNQ1のC端細胞内ドメイン欠損コンストラクトの活用や,添加する脂質種の検討から,良好な蛋白質発現・精製条件を見出し,精製標品を用いて結晶化スクリーニングを進めた.
結論
今後とも多面的な研究アプローチを有機的に推進することで,糖尿病の新規バイオマーカーに基づく診断法と蛋白質構造解析に立脚した新規治療法の開発を目指す.

公開日・更新日

公開日
2013-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201207011Z