ゲノム網羅的関連解析の大規模メタ解析を基盤としたcommon diseaseのテーラーメード医療実用化に関する研究

文献情報

文献番号
201207010A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム網羅的関連解析の大規模メタ解析を基盤としたcommon diseaseのテーラーメード医療実用化に関する研究
課題番号
H23-バイオ-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
桃原 茂樹(東京女子医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山中 寿(東京女子医科大学 医学部)
  • 山本 一彦(理化学研究所 ゲノム医科学研究センター)
  • 三森 経世(京都大学大学院 医学研究科)
  • 松田 文彦(京都大学大学院 医学研究科)
  • 山田 亮(京都大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)は国内患者数が最多の自己免疫疾患であり、社会的逸失利益の大きい疾患である。病因として喫煙などの環境因子に加え、ゲノム網羅的相関解析(GWAS)により数多くの遺伝因子が明らかになっている。また病状や薬物反応性には大きな個人差が認められるが、遺伝因子の違いが背景にあると考えられている。本研究課題の目的はRAをモデルケースとしてcommon diseaseのテーラーメード医療を実現化させることである。平成24年度はGWASメタ解析の結果を基盤とした各種サブ解析に加え、rare alleleの同定を進め、さらにrare alleleを含めた診断・予後予測モデルの作成ならびに最適化についての検討も行った。
研究方法
rare allele解析の対象は濃厚な家系例を示す一家系8名(患者を含めた同胞の8名のうち4名罹患)および、関節破壊の進行の早いRA患者69名の合計77名とした。アジレント社のsure selectを用いてエクソーム濃縮を行い、イルミナ社のHi-seqを用いて全エクソームシーケンスを行い、RA患者の各塩基配列を決定した。それらデータを元に健常対照群の各塩基配列を決定した。対照群のデータおよび理化学研究所の他疾患のデータ、公開データベース(DBSNP, 1000人ゲノム, EDP)のデータを基に、de novo mutation(新規遺伝子変異)の確定を行った。家族例については疾患群4例と非疾患群4例の比較を行い、分布の不均衡を示すde novo mutationおよび遺伝子、染色体領域の解析を行った。非家系例についてはde novo mutationの蓄積の検定のほか、稀な変異の分布における検定を行い、分布の偏りについて遺伝子領域ごとに評価した。rare allele解析の結果を受けた診断・予後予測モデルの作成ならびに最適化に向け、本体研究で得られたrare alleleデータに加え、既報の生物学的知見・既発表のrare alleleデータを参考にコンピュータシミュレーションにてデータを作成した。rare allele探索に関する研究ならびにrare alleleに関するケース・コントロール解析手法に関する研究について、それぞれモデルを設定し、それらのパフォーマンスをモンテカルロ法によって評価した。その他に、GWASメタ解析により同定した疾患感受性遺伝子の機能解析としてのNFKBIEおよびRTKN2の解析、GWASメタ解析により同定された疾患感受性遺伝子をターゲットとした疾患重症化関連遺伝子の同定、抗CCP抗体陰性RAにおける疾患感受性遺伝子を同定を進めた。
結果と考察
rare allele解析の基盤としてrare allele探索に関する研究結果を使用した。10回以上読まれた変異のみを解析に採用した。全遺伝子変異は86941個であり、疾患群の変異平均Call成功率は91.4%、対照群は69.6%であった。家系例については8名共に塩基配列が決定された遺伝子多型は75395個であり、内19455個が少なくとも一つの変異を家系内で認めた。1000個の変異が患者群にのみ変異を認めた。113個が罹患患者4名のみに変異を認めた。罹患患者4名にのみ変異を認めるde novo mutationを3つのみであり、その全てが3番染色体上にあり、アミノ酸変異をもたらすものであった。また、他のvariantの分布の評価から、染色体3番の多くの領域が罹患患者4名で共有されている可能性が示された。非家系例についてde novo mutationに着目した解析を行い、12552のde novo mutationを同定した。4名に変異を認めるものを4つ、3名に変異を認めるものを17同定した。複数人に認めるde novo mutationを複数持つ遺伝子は8つであった。次に、de novo mutationに限らず、稀なexon上の変異の分布の偏りを遺伝子ごとに評価を行った(C-alphaテスト)。対照群でアレル頻度2.5%以下の変異でCall成功率90%以上の多型を対象に解析を行った結果、3203遺伝子が少なくとも一つの変異を含んでおり、p値0.0005以下を示す領域を12同定した。
結論
今回、計画初年度に行った大規模なGWASメタ解析による比較的頻度の高い遺伝子型の同定に加え、疾患と関連する遺伝子多型には頻度が低いrare alleleを包括的なアプローチにより網羅的に同定したことで、オーダーメイド医療の実現に一歩近づいたと考えている。さらに疾患重症化遺伝子の同定、特異的自己抗体陰性患者における疾患感受性遺伝子の同定、疾患感受性遺伝子の機能解析を進め、RAのオーダーメイド医療の基盤となる病態解明につながる研究を進めることが出来た。

公開日・更新日

公開日
2013-08-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201207010Z