臨床心不全エピゲノム診断における組織可塑性指標となる新規サロゲートマーカーの開発と治療への応用に関する研究

文献情報

文献番号
201207009A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床心不全エピゲノム診断における組織可塑性指標となる新規サロゲートマーカーの開発と治療への応用に関する研究
課題番号
H23-バイオ-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
小室 一成(国立大学法人大阪大学大学院 医学系研究科循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 北風 政史(独立行政法人国立循環器病研究センター 臨床研究部)
  • 堤  修一(国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター )
  • 植田 初江(独立行政法人国立循環器病研究センター  病理部)
  • 山崎  悟(独立行政法人国立循環器病研究センター 細胞生物学部)
  • 南野 哲男(国立大学法人大阪大学大学院 医学系研究科循環器内科学)
  • 朝野 仁裕(国立大学法人大阪大学大学院 医学系研究科循環器内科学)
  • 坂田 泰史(国立大学法人大阪大学大学院 医学系研究科循環器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内数十万人が罹患する心不全臨床の最終診療手段である、補助人工心臓や心臓移植の適用有無判断の為には、病態進展と治療抵抗性を決める組織可塑性を表す新規サロゲートマーカーが必要である。不全心筋細胞に特徴的な細胞核形態変化または心不全特異的遺伝子のエピゲノム解析を行い、未だ実用化されないヒト心不全可塑性の分子指標を探索し臨床応用する。H23年度には病理微細構造解析、エピゲノムとも各専門的解析の作業環境整い基礎解析を終え、H24年度に次世代超高速DNAシーケンサーを用いた特異的エピゲノム修飾の新規同定を動物モデルおよびヒト検体を用いて行った。高齢化社会の進行と生活習慣病の進行に伴い増加した心不全患者の治療は保険医療上の重要課題である。21世紀に入り充実したゲノム情報をもとに次世代のエピゲノム基盤研究を行うことにより、テーラーメード医療の発展に貢献できる研究を目指す。
研究方法
「可塑性診断の指標となるエピゲノムプロファイル作成と新規サロゲートマーカーの開発」を目指して基礎的研究背景の検証を行った。エピゲノムプロファイル作成、心不全遺伝子発現プロファイル作成、そして情報解析、の3つの重要な解析を終了させた。ヒト移植心の組織検体が蓄積されたため、これまでの動物モデルからのエピゲノムプロファイル作成を発展させ、新たにヒト心臓のエピゲノムプロファイルを作成する予定である。この疾患プロファイルはわが国でしか入手できない、長期疾患に罹患した重症慢性心不全症例の摘出心を活用したものであり、創薬標的など含めたデータの元となる、非常に貴重なプロファイルとなると予想されるため、検討を開始した。
「治療抵抗性心不全の診断および治療への応用」について、臨床サロゲートマーカーの早期臨床応用を目指した検討も行った。 病理学的検査(クロマチン超微細構造のデジタル密度;クロマチンスコア)による心不全可塑性の診断指標を開発した。これまで明確に診断することが難病態を知る上で、非常に強い有意差を以て診断することができる。
本研究における知見を活かしたさらに新規バイオマーカー探索とその臨床応用をするため、「心不全特異的な新規エピゲノム関連因子の探索と基礎橋渡し研究」を行った。動物モデルでの検出法を確立し、新規に心不全病態重症度に相関する蛋白の解析に着手した。
結果と考察
次世代超高速DNAシーケンサーによるゲノムワイド解析:ヒト心不全DNAメチル化、マウス心不全in vivoクロマチン免疫沈降(ChIP)の各解析を行い、エピゲノムプロファイルが作成できた。本プロファイルにより転写因子複合体やエピゲノム修飾における心不全病態可塑性を示す蛋白指標を入手する上で有用であった。心不全遺伝子発現プロファイル作成については、マウス心不全RNA-seq解析結果を統合し、ゲノムビューワー参照可能なデータプロファイルが作成できた。次世代シーケンサーのデータ解析パイプラインを構築し、オープンソースを中心とした、データQC、リファレンスマッピング、アプリケーション毎の解析技術が確立した。心不全病態エンハンサー非侵襲的ライブイメージング実験系を立ち上げ、心不全関連エンハンサー機能解析が可能な動物モデルを作成した。
細胞核クロマチン超微細構造のデジタル密度解析と臨床指標比較:マウス、ヒト重症心不全組織検体を用い、独自クロマチン密度解析法、軽度心不全と重症心不全を見分ける核クロマチン新規パラメータおよびCut off値の算出に成功した。超高圧電顕にて超微細構造の観察にも成功し、上記指標の妥当性を証明した。
結論
昨年度に引き続き重症心不全臨床検体を用いて生体試料の基礎スクリーニングすることで、臨床心不全エピゲノム診断における組織可塑性指標となる新規サロゲートマーカーの開発研究を発展させることができた。本研究はその目標が診断サロゲートマーカー開発であるため、既にH24年度の初期後ろ向き観察研究で得られた指標と臨床病態との相関を示せたことで、既に一定の臨床実用化への道筋は開けた。
重症化した心不全可塑性の判断を必要とする、高度先進医療を行う施設での限定的使用だけでなく、圧倒的に罹患症例数の多い中等症心不全において広く慢性心不全診療での利用を可能とするためには、さらに数値を一般化して慢性心不全の診療ガイドラインに組み込む必要がある。そのためには、大規模な観察研究または本指標を利用した将来の治療介入試験の実施による診断精度の評価が必要となる。
今回の結果より、ヒト重症心不全症例や心臓移植症例を対象にした、前向き観察研究へ進めることができることとなった。医師主導型自主臨床研究として行っていく。さらに有用性の確認が取れれば、将来心不全治療への介入指標にも用いることができる。

公開日・更新日

公開日
2013-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201207009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
39,000,000円
(2)補助金確定額
39,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 26,426,650円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 3,573,350円
間接経費 9,000,000円
合計 39,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-05-21
更新日
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