特異体質性薬物性肝障害における免疫学的因子の作用機序解明と予測試験系の開発研究

文献情報

文献番号
201207006A
報告書区分
総括
研究課題名
特異体質性薬物性肝障害における免疫学的因子の作用機序解明と予測試験系の開発研究
課題番号
H23-バイオ-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
横井 毅(国立大学法人金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 美紀(国立大学法人金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
  • 深見 達基(国立大学法人金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の開発において、初めてヒトに投与する試験で予期せぬ肝障害の発現によって開発中止になる場合が、現在でも少なくない。さらに、上市後に多くのヒトに投与されて初めて重篤な肝障害が発現する例もある。こうした特異体質性薬物性肝障害の原因は殆ど解明されておらず、予測試験系も無く、医薬品開発の大きな障害となっており、特に前臨床試験の早い段階で適用可能な、簡便で高い予測性を有する試験系の開発が待たれている。本研究では、臨床で実際に使用されており、肝障害が報告されている薬について、薬物性肝障害のモデル動物を作成・確立し、免疫学的因子の関与を評価し、予測試験系の構築を目的とする。
研究方法
臨床で肝障害が報告されており、重要性の高い薬について、マウスに対して投与法を工夫することによって、単回投与による急性肝毒性および、連投による亜急性肝毒性の系を構築する。投与量および時間経緯依存的な様々な因子の変動について、代謝的活性化反応や免疫・炎症関連因子に注目し、初期の発症と後期の増悪の機構を解析した。
結果と考察
 我々が確立した多くの薬物性肝障害の動物モデルを活用し、共通して発現変動する因子の同定を行った。特に毒性発現に関係しない薬効によって発現が影響される因子を同時に同定し、バイオマーカーの絞り込みを行い、5つの因子を確定し、その評価試験を行った。さらに、in vivoの結果をin vitroの細胞系に適用するための様々な研究項目を実施した。特に、ヒト単球由来THP-1細胞およびヒト末梢血単球などは、免疫や炎症反応に関わるが、薬物の代謝的活性化は行えない。この問題を解決すべくin vitroの細胞系の実験条件を検討中である。アシルグルクロニド代謝物の評価についても、ヒト末梢血単球細胞を用いることでin vitroの評価は可能であることを示したが、実際にin vivoに外挿できるかが今後の課題である。
結論
 臨床で肝障害が報告されている薬について、正常マウスを用いてモデルを確立するとともに、免疫・炎症因子の寄与を明らかにし、初期の肝障害発症および、後期の増悪因子の同定ができた。今後、バイオマーカーの確立をin vitroの系で目指す。また、前臨床の早い段階で使用できるin vovo実験動物評価系の確立にも着手した。

公開日・更新日

公開日
2013-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201207006Z