文献情報
文献番号
201206015A
報告書区分
総括
研究課題名
多施設ヒト幹細胞臨床研究による3次元再生皮下軟骨の有効性確認
課題番号
H24-再生-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
高戸 毅(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 大友 邦(東京大学 医学部附属病院 )
- 星 和人(東京大学 医学部附属病院 )
- 荒川 義弘(東京大学 医学部附属病院 )
- 小室 美子(東京大学 医学部附属病院 )
- 岡崎 睦(東京医科歯科大学 大学院)
- 飯野 光喜(山形大学 医学部)
- 新田 尚隆(独)産業技術総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
39,960,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
われわれは世界に先駆けて力学強度と3次元形態を有する3次元皮下再生軟骨を開発した。現在、東京大学医学部附属病院において、口唇口蓋裂の鼻変形患者に3次元皮下再生軟骨を移植するヒト幹細胞臨床研究を実施している。しかし今回の臨床研究を通じて、治験実施に向けての3つ課題、有効性エビデンスを補強すること、多施設研究が未実施であること、製造プロセスと品質管理法が煩雑であることが明らかとなった。本研究ではこれらの課題を解決し、治験実施に資する臨床データを作成し、速やかに治験に移行することを目的とし、現在実施中の臨床研究に対して、有効性の評価項目を追加し、研究機関に同一スーパー特区内の東京医科歯科大学と、関東から距離のある山形大学を加える改訂版ヒト幹細胞臨床研究実施する。
研究方法
1. 有効性評価法の確立
1-1) 3次元皮下再生軟骨の非侵襲的評価
有効性評価法を確立するため、現在の製造法に則り、実験的にヒト3次元皮下再生軟骨を作製した。線維芽細胞や細胞生存性が低下した軟骨細胞の混入を想定し、ヒト耳介軟骨細胞、線維芽細胞、55℃処理ヒト耳介軟骨細胞を用いて検討を行った。ヌードラット背部皮下へ移植後、2週と8週で産総研に搬送し、超音波、CT、MRI、血流測定などを用いて、再生軟骨組織の力学的、生化学的特性を非侵襲的に評価した。その後、ヌードラットから再生軟骨組織を摘出し、トルイジンブルー染色やHE染色などによる組織学的評価、ならびにGAGやCOL2 ELISAなどによる生化学的評価を行った。
1-2) 対照群(従来法)のデータ作成
臨床上の有効性評価には、従来の治療法との比較が不可欠である。そこで、自家腸骨移植法を施行した患者に対し、現行のヒト幹細胞臨床研究での評価項目を実施し、プロスペクティブに経過を追跡した。
2. 多施設臨床研究の実施
2-1) 採取した軟骨組織および製造した再生軟骨の搬出入技術の確立と実証
現行のヒト幹細胞臨床研究に則って再生軟骨組織を作製し、富士ソフト社と東京大学が共同開発した保存方法を用いて、東京医科歯科大学および山形大学にヒト再生軟骨組織を輸送し、各施設でヌードラットの背部皮下へ移植した。移植後8週に再生軟骨組織を摘出し、組織学的、生化学的に評価した。
2-2) 多施設間でのトレーサビリティー構築
現行のヒト幹細胞臨床研究では、東京大学医学部附属病院内で採取から移植まで、使用するすべての容器にICタグをつけたトレーサビリティーを実現している。多施設臨床研究に向けて、ソフトのバージョンアップとシステム開発を行った。
3. 改定版ヒト幹細胞臨床研究の申請書作成
多施設臨床研究に向けて、ヒト幹細胞臨床研究申請書の変更箇所を検討した。
1-1) 3次元皮下再生軟骨の非侵襲的評価
有効性評価法を確立するため、現在の製造法に則り、実験的にヒト3次元皮下再生軟骨を作製した。線維芽細胞や細胞生存性が低下した軟骨細胞の混入を想定し、ヒト耳介軟骨細胞、線維芽細胞、55℃処理ヒト耳介軟骨細胞を用いて検討を行った。ヌードラット背部皮下へ移植後、2週と8週で産総研に搬送し、超音波、CT、MRI、血流測定などを用いて、再生軟骨組織の力学的、生化学的特性を非侵襲的に評価した。その後、ヌードラットから再生軟骨組織を摘出し、トルイジンブルー染色やHE染色などによる組織学的評価、ならびにGAGやCOL2 ELISAなどによる生化学的評価を行った。
1-2) 対照群(従来法)のデータ作成
臨床上の有効性評価には、従来の治療法との比較が不可欠である。そこで、自家腸骨移植法を施行した患者に対し、現行のヒト幹細胞臨床研究での評価項目を実施し、プロスペクティブに経過を追跡した。
2. 多施設臨床研究の実施
2-1) 採取した軟骨組織および製造した再生軟骨の搬出入技術の確立と実証
現行のヒト幹細胞臨床研究に則って再生軟骨組織を作製し、富士ソフト社と東京大学が共同開発した保存方法を用いて、東京医科歯科大学および山形大学にヒト再生軟骨組織を輸送し、各施設でヌードラットの背部皮下へ移植した。移植後8週に再生軟骨組織を摘出し、組織学的、生化学的に評価した。
2-2) 多施設間でのトレーサビリティー構築
現行のヒト幹細胞臨床研究では、東京大学医学部附属病院内で採取から移植まで、使用するすべての容器にICタグをつけたトレーサビリティーを実現している。多施設臨床研究に向けて、ソフトのバージョンアップとシステム開発を行った。
3. 改定版ヒト幹細胞臨床研究の申請書作成
多施設臨床研究に向けて、ヒト幹細胞臨床研究申請書の変更箇所を検討した。
結果と考察
1. 有効性評価法の確立
1-1) 3次元皮下再生軟骨の非侵襲的評価
100%ヒト耳介軟骨細胞を使用した移植組織では、移植後2週から8週にかけて成熟が進行し、良好な軟骨成熟が観察された。一方、線維芽細胞が混入している再生軟骨では、ほとんど軟骨再生が認められなかった。熱処理を行って細胞生存性を低下させた細胞を用いた再生軟骨組織では、軟骨基質の蓄積は認められたものの、その程度は低かった。一方、産総研で行った測定結果から、平均音速、D値、X線吸収係数が、組織学的検討やELISAやGAGなどの生化学的評価などの軟骨特性を反映していることが示唆された。
1-2) 対照群(従来法)のデータ作成
自家腸骨移植法を施行した患者に対し、現行のヒト幹細胞臨床研究での評価項目(有害事象の有無、血液検査、疾患関連QOL評価、生活活動度評価、顔面形態評価)を実施した。
2. 多施設臨床研究の実施
2-1) 採取した軟骨組織および製造した再生軟骨の搬出入技術の確立と実証
東京医科歯科大学および山形大学において移植した再生軟骨組織は、組織学的、生化学的に良好な軟骨成熟を示した。組織の搬出入に伴う影響は殆どないこと、開発した長期保存法や搬送法が有効であることが示唆された。
2-2) 多施設間でのトレーサビリティー構築
東京大学医学部附属病院内で運用されているトレーサビリティーを、他施設でも使用できるようソフトのバージョンアップとシステム開発を行った。
3. 改定版ヒト幹細胞臨床研究の申請書作成
多施設臨床研究に向けて、組織の搬出入が加わった条件においても、安全かつ有効に再生軟骨が移植できることを示すデータについて、検討を行った。
1-1) 3次元皮下再生軟骨の非侵襲的評価
100%ヒト耳介軟骨細胞を使用した移植組織では、移植後2週から8週にかけて成熟が進行し、良好な軟骨成熟が観察された。一方、線維芽細胞が混入している再生軟骨では、ほとんど軟骨再生が認められなかった。熱処理を行って細胞生存性を低下させた細胞を用いた再生軟骨組織では、軟骨基質の蓄積は認められたものの、その程度は低かった。一方、産総研で行った測定結果から、平均音速、D値、X線吸収係数が、組織学的検討やELISAやGAGなどの生化学的評価などの軟骨特性を反映していることが示唆された。
1-2) 対照群(従来法)のデータ作成
自家腸骨移植法を施行した患者に対し、現行のヒト幹細胞臨床研究での評価項目(有害事象の有無、血液検査、疾患関連QOL評価、生活活動度評価、顔面形態評価)を実施した。
2. 多施設臨床研究の実施
2-1) 採取した軟骨組織および製造した再生軟骨の搬出入技術の確立と実証
東京医科歯科大学および山形大学において移植した再生軟骨組織は、組織学的、生化学的に良好な軟骨成熟を示した。組織の搬出入に伴う影響は殆どないこと、開発した長期保存法や搬送法が有効であることが示唆された。
2-2) 多施設間でのトレーサビリティー構築
東京大学医学部附属病院内で運用されているトレーサビリティーを、他施設でも使用できるようソフトのバージョンアップとシステム開発を行った。
3. 改定版ヒト幹細胞臨床研究の申請書作成
多施設臨床研究に向けて、組織の搬出入が加わった条件においても、安全かつ有効に再生軟骨が移植できることを示すデータについて、検討を行った。
結論
インプラント型再生軟骨の非侵襲的評価法としては、平均音速、D値、X線吸収係数が有用であることが示唆された。また、開発した長期保存法と搬送法により、製造場所から離れた施設においても、安定した再生軟骨移植が可能となることが示された。
公開日・更新日
公開日
2013-09-01
更新日
-