表皮水疱症に対する間葉系幹細胞移植再生医療の実用化研究

文献情報

文献番号
201206011A
報告書区分
総括
研究課題名
表皮水疱症に対する間葉系幹細胞移植再生医療の実用化研究
課題番号
H24-再生-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
玉井 克人(大阪大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 片山 一朗(大阪大学 医学系研究科)
  • 金田 眞理(大阪大学 医学系研究科)
  • 金倉 譲(大阪大学 医学系研究科)
  • 金田 安史(大阪大学 医学系研究科)
  • 出沢 真理(東北大学 医学系研究科)
  • 早川 堯夫(近畿大学 薬学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は、表皮水疱症モデルマウス(VII型コラーゲン欠損マウス)を用いて骨髄内間葉系幹細胞が剥離表皮部に集積して皮膚再生に寄与していることを明らかにすることにより、骨髄間葉系幹細胞移植が表皮水疱症治療に有効である可能性を見出した。これらの研究成果を基に「表皮水疱症患者を対象とした骨髄間葉系幹細胞移植臨床研究」を立案し、その実施承認を得た。平成24年度は、臨床研究開始に向けて実施計画書内容の最終確認作業を進めると共に、表皮水疱症に対する骨髄間葉系細胞全身投与臨床研究の妥当性に関して検証を進めた。
研究方法
1. 表皮水疱症間葉系幹細胞移植治療工程管理システムの作製:間葉系幹細胞培養操作手順をコンピューター画面上で確認し、各操作終了後にコンピューター内にその内容、時間、コメントが記録される管理システムの開発を国内企業と共同で進めた(玉井、金倉、金田(眞)、片山)。

2. ドライ・ラン実施:作製した工程管理システムにしたがって、コンピューター画面上ですべての手順を確認し、不明瞭な手順内容について工程管理システム上でより詳細に記述するよう改訂作業を進めた(玉井、金倉、金田(眞))。

3. コールド・ラン実施:倫理委員会により承認を得て、文章で同意を得た整形外科手術患者から骨髄血を採取し、工程管理システムに従って骨髄間葉系幹細胞培養、規格試験、製品出荷までの一連の作業を実施して各ステップの手順を確認した(玉井、金倉、金田(眞))。

4. 実施計画書、製品標準書、手順書の改訂および改訂版の承認取得:ドライ・ラン、コールド・ランの結果を踏まえて、実施計画書、製品標準書、手順書の改訂作業を進め、大阪大学医学部ヒト幹細胞移植倫理委員会および厚生労働省に提出した(玉井、金倉、金田(眞)片山、早川)。

5.骨髄間葉系幹細胞とMuse細胞の関係検討:骨髄内に存在する多能性幹細胞Muse細胞と間葉系幹細胞の関係性を、Muse細胞マーカーであるSSEA3を指標に検討した(玉井、出澤)。

6.骨髄間葉系幹細胞の表皮水疱症皮膚集積メカニズム検討:緑色蛍光蛋白(green fluorescent protein:GFP)トランスジェニックマウス骨髄移植(GFP-bone marrow transplantation: GFP-BMT)を行った野生型マウス背部皮膚に栄養障害型表皮水疱症モデルマウス(VII型コラーゲンノックアウトマウス)皮膚を移植し、表皮水疱症皮膚に対する骨髄間葉系幹細胞の集積メカニズム解明研究を進めた(玉井、金田)。
結果と考察
結果:工程管理システムを作成し、その手順に従ってドライ・ラン1回、コールド・ラン4回実施した。その結果、実施計画書に記載した最低必要継代数(2継代)よりも少ない継代数(1継代)で必細胞数(1×107個)が得られる場合があることが判明したため、1継代でも必要細胞数が得られ次第移植実施可能とするようプロトコールを改訂した。また、CPI操作における無菌性を確認した結果、4回いずれのコールドランにおいても無菌性が保証された。
 一方、骨髄間葉系幹細胞の特異的表面マーカーである血小板増殖因子受容体α(platelet-derived growth factor α, PDGFRα)発現細胞と骨髄内多能性幹細胞Muse細胞の特異的表面マーカーであるSSEA3との関係を比較した結果、マウス培養PDGFRα陽性細胞からSSEA3陽性細胞が出現することが明らかとなった。
 さらに、骨髄内間葉系幹細胞は血中を介して表皮水疱症皮膚に集積する際に、CXCR4/SDF-1α系を介していることが明らかとなった。

考察:作成した工程管理システムに従ってコールド・ランを実施した結果、基本的には20ccの骨髄血を培養後1継代で必要細胞数(1×107個)が得られることが明らかとなったため、最低2継代の培養を実施することとしていた臨床研究実施計画書などのプロトコール改訂の必要性が議論された。プロトコール改訂には再度大阪大学ヒト幹細胞倫理委員会および厚生労働省の審査承認取得作業が必要であり、臨床研究開始時期が遅延することになるが、継代数増加に伴い培養間葉系幹細胞の多分化能、自己複製能が低下することは良く知られており、より少ない継代数で得た細胞を治療に用いることは、有効性・安全性を保証する上で重要であると判断し、プロトコール改訂作業を進め、当該機関による実施承認を年度内に再取得した。平成25年度には表皮水疱症に対する骨髄間葉系幹細胞全身移植治療実施に必要な基礎研究を進展させて、プロトコール作成を開始する予定である。
結論
表皮水疱症患者を対象とした骨髄間葉系幹細胞移植実施のために必要な準備が整った。平成25年度に臨床研究を実施する。

公開日・更新日

公開日
2013-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201206011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
52,000,000円
(2)補助金確定額
51,924,000円
差引額 [(1)-(2)]
76,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 31,552,228円
人件費・謝金 0円
旅費 1,360,250円
その他 7,011,777円
間接経費 12,000,000円
合計 51,924,255円

備考

備考
こちらで予定していた予算と実際の請求金額に差異があったため。

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-