ヒトES/iPS細胞の実用化における幹細胞バンクの基盤整備についての研究

文献情報

文献番号
201206008A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトES/iPS細胞の実用化における幹細胞バンクの基盤整備についての研究
課題番号
H23-再生-指定-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
古江 美保(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 ヒト幹細胞応用開発室)
研究分担者(所属機関)
  • 水口 賢司(独立行政法人医薬基盤研究所 基盤研究部 バイオインフォマティスクプロジェクト)
  • 大沼 清(国立大学法人長岡技術科学大学 産学融合トップランナー養成センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
実用に資するヒト幹細胞バンクに必要なデータベースの基盤設計、品質管理に必要な基盤技術の策定を行い、実用ヒト幹細胞バンクの基盤システムを設計することを目的とする。
ヒトES/iPS細胞などヒト幹細胞を再生医療のソース、ワクチン作製や生物製剤原料、創薬研究ツールとして実用化するために、プレマスターバンク、統合的に管理するマスターバンク、実用のためのワーキングセルバンクの設置が望まれ、共用の基盤システムを構築しておく必要がある。一般細胞バンクの運営システムは生物資源研究として策定されており、臨床用細胞プロセッシングの作業工程もすでにほぼ策定されている。しかし、ヒト幹細胞は従来の細胞とは異なる品質管理が必要となる。また、ヒト幹細胞はゲノムが不安定であり、短期間で資源化を行う必要がある。海外では、国際幹細胞バンキングイニシャティブ(ISCBI)が臨床用ヒト幹細胞バンクのためのガイドラインを作成中である。国内事情を鑑みたヒト幹細胞バンクの基盤設計が急務である。
研究方法
①品質管理に関連する作業について他研究施設とも共用できる手順(SOP)を作成し、作業記録表を作成する。これらの情報を統括・活用できる基礎設計案を作成する。
②SOPに基づいて培養・解析し、半年ごとの検査結果を解析し、品質管理の工程を検証する。さらに、未分化・分化マーカーに関する遺伝子解析結果から重要な遺伝子を選抜し、カスタムでPCRアレイを行い、少量で評価できる方法を策定する。
③ 臨床応用などに資するヒト幹細胞の品質維持技術の策定を行う。
結果と考察
① 品質管理に関連する作業について、平成23年度に引き続き、24年度におい品質管理に必要な技術の策定を行い、ヒト幹細胞バンク運営の基盤システムを設計することを目的とする。まずは、作業手順(SOP)・作業記録表を作成中である。平成25年度はこれらの情報を統括・活用できる基礎設計案を作成する。また、② 効率的な品質管理を行うための基盤技術の策定を行っている。幹細胞特性検査として、未分化・分化マーカーに関する遺伝子解析を、異なる継代時から複数回サンプリングを行い、その解析結果のバイオインフォマティクス解析を行い、品質評価として検証を行った。さらに、③ 臨床応用などに資するヒト幹細胞の品質維持技術の策定を行うために、無血清培地を用いて培養を行って品質検査を行う項目、タイミングを検討した。ヒト幹細胞における各種品質管理に関連する作業について研究施設とも共用できる標準作業手順書(SOP)、ならびに作業記録表を平成23年度に続き、平成24年度も順次作成中である。ヒト幹細胞は培養が難しく、繊細な作業が要求される。培養技術の基本を習得した上での作業が、必要であるが、基本技術なども含め解凍、継代、培地交換、凍結などの作業手順書を作成した。研究室内ではこれにより技術が安定した。また、効率的な品質管理を行うための基盤技術の策定を検討した。未分化状態を把握するためにstem cell PCRアレイを用いて遺伝子発現の解析を行いその結果をバイオインフォマティクス解析によりスクリーニングを行った。その結果、株間で共通して発現している遺伝子とともに株間により遺伝子発現レベルが異なるものなども確認された。これらの情報を蓄積していくことにより品質だけでなく株の特徴も確認できることが示唆された。臨床応用などに資するヒト幹細胞の品質維持技術の策定を行うために、市販されている無血清培地を購入し、ヒト多能性幹細胞の培養を行って、培養工程における品質管理方法を検討した。多くの細胞が培養できることが確認されている条件であっても、実際には未分化性維持が難しく、品質評価、品質管理が従来の培養法とは異なる設定が必要であった。一方で、フィーダー細胞の管理が不要となり、作業量は削減された。25年度はどのような条件にも対応できるような品質管理と培養技術管理法を作成する予定である。
結論
日本はヒトiPS細胞作製技術や分化誘導技術開発では国際的に一歩リードしているものの、ヒトES細胞研究における基盤技術やノウハウの蓄積が乏しいために英米に比べてヒトES/iPS細胞などのヒト幹細胞を用いた再生医療を実施するための環境整備が遅れている。複数の拠点での成果を有効に日本国内で利用するためには、培養記録を相互交換できるデータとして共有し、さらに、各施設でのヒト幹細胞、の保存ストック整備などの作業における工程についても保存、共有する必要がある。厚生労働省幹細胞情報化推進事業ならびに革新的医薬品・医療機器・再生医療品実用化促進事業にての研究事業においてヒトiPS細胞の作成拠点などと連携を行い、本研究で行った実用に資するヒト幹細胞バンクの基盤設計を下地として実用化に向けた基盤の整備に活用されるよう努力していきたい。

公開日・更新日

公開日
2013-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201206008Z