自己骨髄間質細胞を用いた歯槽骨再生医療の臨床研究

文献情報

文献番号
201206004A
報告書区分
総括
研究課題名
自己骨髄間質細胞を用いた歯槽骨再生医療の臨床研究
課題番号
H23-再生-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
各務 秀明(東京大学  医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 長村登紀子(東京大学  医科学研究所)
  • 東條有伸(東京大学  医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自己骨髄間質細胞を用いた新たな歯槽骨再生治療法の安全性と有効性のエビデンス創出し、薬事法下での実用化を目指した第Ⅰ相/第Ⅱa相臨床研究を実施する。特に先行する臨床研究によって得られた課題について検討し、実用化に向けて改良された細胞調製法による歯槽骨再生の効果を先行する臨床試験の結果と比較する。
近年歯科用インプラントは長期的に安定した予後が得られるようになり、普及しつつある。しかしながら、実際にはインプラントを必要とする患者では、骨量が不足する患者が大半である。2010年に歯槽骨の再生が必要となる患者は、国内だけでも年間103,000人と推定されている。
歯科領域での骨欠損は大きさが小さく形態が複雑であるために、複雑な形態の骨欠損に適合する顆粒状などの担体を用いる必要がある。しかしながら、顆粒状の担体と細胞の組み合わせによる骨再生の条件については十分に最適化されておらず、また先行臨床研究で問題となった細胞の個体差差の影響を解決する方法についても知られていない。
研究方法
歯槽骨萎縮症患者を対象として、顆粒状の担体に対して最適化された自家骨髄間質細胞の培養、分化誘導条件を用いて、この移植材料(以下「培養骨」)の安全性と歯槽骨再生能を評価する。従来自家骨移植が必要とされた患者に対して、インプラントの埋入に必要な歯槽骨を再生し、最終的にはインプラント義歯による治療を可能にする。第Ⅰ相臨床研究における主要エンドポイントは安全性、副次エンドポイントは骨生検における骨形態計測量、第Ⅱa相臨床研究における主要エンドポイントは骨生検における骨形態計測量、副次エンドポイントは、安全性、頭部CT撮影画像から得られた骨形成量、インプラントのオッセオインテグレーション、インプラントの脱落とする
細胞調製法:第Ⅰ相/第Ⅱa相臨床研究
移植前5週前に培養用血清のための末消血採血及び骨髄血採取し、最適化された条件にて骨髄間質細胞の培養をする。継代の後、beta-TCP顆粒上に細胞を播種し、翌日よりデキサメタゾン、betaグリセロリン酸、アスコルビン酸による分化誘導を開始する。2週間分化誘導を行った後、骨欠損部に移植する。
安全性評価:本培養法による細胞の安全性については、ボランティア由来の細胞を用いた核型試験により染色体異常を起こさないこと、免疫不全動物への移植により造腫瘍性を持たないことが示されている。また、連続した3回のプロセスバリデーション試験により作業全体の無菌性を確認済みである。
対象:上顎あるいは下顎歯列に連続した2歯以上の欠損を認め、ブリッジによる補綴処置によって機能回復が望めないもの。可撤式義歯(いわゆる入れ歯)ではなくデンタルインプラントを用いた補綴処置を希望するもの。さらにデンタルインプラント埋入のための充分な骨量が存在せず、歯槽頂の幅径が5mm未満、あるいは歯槽骨高径が5mm未満で骨移植を必要とするものとする。
研究期間:登録期間は承認より3年間、追跡期間は細胞移植より2年間とする。
目標症例数:第Ⅰ相(15例)、第Ⅱa相として10例を含む25例で評価。
評価方法:
1)安全性評価
   全身状態:バイタルサイン・血液検査
   局所状態:患部の腫脹・発赤・熱感・疼痛
2)効果評価 
臨床評価(インプラント成績)
画像評価:パノラマX線撮影、頭部CT(骨量解析)
骨生検(移植後16週後)
結果と考察
これまでに第I相臨床研究として33名のスクリーニングを行い、口腔状態、歯槽骨の残存骨量、および全身状態など選択基準と除外基準に鑑み、12名が候補として選択された。これまでの症例検討会にて8名が承認され、うち7名への細胞移植を行った。また、7名中5例では骨生検とインプラント埋入を終了している。1例については培養初期に細胞増殖が不良であったが、最終的に必要細胞数を得ることが可能であった。その他の症例では安定した細胞培養が可能であった。細胞移植まで行った7例について、細胞のコンタミネーションや骨分化について、品質管理上の問題は生じていない。骨生検とインプラント埋入を行った5名全例で骨再生が認められ、2例についてはこれまでにインプラント2次手術まで終了している。1例において細胞移植後に炎症症状が見られたが、抗菌薬の投与によって消炎し、骨再生は得られていた。
結論
現在まで細胞移植が行われた7症例においては、細胞数不足や感染など品質管理上の問題は生じていない。これまでのところ細胞移植後に炎症が1例で見られたが、移植物の無菌性が確認されたため、術後に生じた感染の可能性が考えられた。その他、安全性に関する問題は生じていない。細胞移植の効果については、現在までに骨生検とインプラント埋入を行った5例全例で骨再生が得られており、安定して結果が得られている。

公開日・更新日

公開日
2013-09-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201206004Z