文献情報
文献番号
201205036A
報告書区分
総括
研究課題名
原爆体験者の健康不安への対策に関する研究
課題番号
H24-特別・指定-030
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 康人(医療法人日高会 日高病院腫瘍センター)
研究分担者(所属機関)
- 川上 憲人(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会報告書(平成24年7月18日)において「黒い雨体験者群の精神的健康状態が悪い傾向にある。これは放射線被ばくへの不安や心配によるものと説明される可能性があり、不安軽減のため相談などの取り組みが有用である可能性がある。」と付記された。これを受け、国と広島県・市は今後、原爆投下時に黒い雨を経験して健康状態に不安を抱いている方々に対しての精神・心理学的なケアに向けた取り組みを推進することとしている。
本研究は、黒い雨を体験するなど、広島原爆による放射線被ばくへの不安を抱き心身の健康に障害を来していると感じている方々(以下「対象者」という)の不安解消に向けた取り組み(相談などのケア)を実施するに当たり、相談等を担当すると想定されている保健師、臨床心理士その他の医療関係者が適切に対応できるように方策を検討し、相談とケアの実践を支援するマニュアルと説明資料を作成すると共に事業の実施に資する提言をまとめることを目的とする。
本研究は、黒い雨を体験するなど、広島原爆による放射線被ばくへの不安を抱き心身の健康に障害を来していると感じている方々(以下「対象者」という)の不安解消に向けた取り組み(相談などのケア)を実施するに当たり、相談等を担当すると想定されている保健師、臨床心理士その他の医療関係者が適切に対応できるように方策を検討し、相談とケアの実践を支援するマニュアルと説明資料を作成すると共に事業の実施に資する提言をまとめることを目的とする。
研究方法
1.放射線医学と放射線防護・管理を専門とする研究代表者と精神・保健を専門とする研究分担者の もとに、関連分野の研究協力者8人とオブザーバ1人を選任して研究班を組織した。
2.研究班員全員で協議して、目的とする事業実施に有用なマニュアルと説明資料作成計画を立案し た。
3.計画に基づき、各班員が専門とする分野の項目を執筆した。
4.作成された文書と図表を班員間で検討して、最適なマニュアルと説明資料を完成して印刷物とし た。
5.上記作業を行うために班会議を3回開催すると共に適宜電子メールを交換して班員間で情報交換 を行った。
6.主として班会議の席上で、事業の適切な実施を可能とするための条件や注意事項を協議して「提 言」をまとめた。
2.研究班員全員で協議して、目的とする事業実施に有用なマニュアルと説明資料作成計画を立案し た。
3.計画に基づき、各班員が専門とする分野の項目を執筆した。
4.作成された文書と図表を班員間で検討して、最適なマニュアルと説明資料を完成して印刷物とし た。
5.上記作業を行うために班会議を3回開催すると共に適宜電子メールを交換して班員間で情報交換 を行った。
6.主として班会議の席上で、事業の適切な実施を可能とするための条件や注意事項を協議して「提 言」をまとめた。
結果と考察
1.“「広島原爆体験者に対する不安軽減事業」相談担当者へのマニュアル”を作成した。マニュアルは1)「黒い雨体験者との相談」2)「不安への対応基礎知識」3)「放射線の基礎知識」の3部で構成されている。2.上記マニュアルに準じて対象者に説明するに当たり、対象者が理解し易いように、また、相談者等が説明し易いように、色刷の図表からなる「説明資料」を作成した。3.国と広島県・市が相談とケア事業を適切かつ有効に実施するための「提言」をまとめた。
本研究の成果物であるマニュアルと参考資料は相談とケアの担当者(保健師、臨床心理士など)が事業を実施するに当たり必要な知識と手引きをわかり易く記述したもので、事業の遂行に寄与するものである。特に放射線の健康影響と精神・心理的不安への対応の両側面を、両分野の専門家が協力、協調してまとめた点がこれまでにない特徴である。事業開始前に担当者が十分理解できるように説明する機会をもつことが重要である。また相談とケアの模擬実験などを行って相談者の理解を深めると共に、担当者の意見を加味して、より優れた実践的なマニュアルと説明資料に進化させることが期待される。事業の目的と意義が十分理解されていないと、負の効果をもたらす可能性を否定できない。それを避けるために、事業主体、相談担当者、対象者は勿論、広島県民、市民の十分な理解を得るための準備活動が大切である、このことを「提言」で強調した。
本研究の成果物であるマニュアルと参考資料は相談とケアの担当者(保健師、臨床心理士など)が事業を実施するに当たり必要な知識と手引きをわかり易く記述したもので、事業の遂行に寄与するものである。特に放射線の健康影響と精神・心理的不安への対応の両側面を、両分野の専門家が協力、協調してまとめた点がこれまでにない特徴である。事業開始前に担当者が十分理解できるように説明する機会をもつことが重要である。また相談とケアの模擬実験などを行って相談者の理解を深めると共に、担当者の意見を加味して、より優れた実践的なマニュアルと説明資料に進化させることが期待される。事業の目的と意義が十分理解されていないと、負の効果をもたらす可能性を否定できない。それを避けるために、事業主体、相談担当者、対象者は勿論、広島県民、市民の十分な理解を得るための準備活動が大切である、このことを「提言」で強調した。
結論
本研究の成果物である「マニュアル」「説明資料」「提言」は、国と広島県・市が計画している「広島原爆体験者に対する不安軽減事業」の適切な実施に重要な貢献をすると期待される。また、一般の人々に放射線・放射能の影響と防護、不安軽減対策について正しい知識を普及するのに役立つ。
公開日・更新日
公開日
2015-04-21
更新日
-