化粧品の自主的配合原料の安全性確認に必要とされるリスク評価情報の収集に関する研究

文献情報

文献番号
201205019A
報告書区分
総括
研究課題名
化粧品の自主的配合原料の安全性確認に必要とされるリスク評価情報の収集に関する研究
課題番号
H24-特別-指定-028
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 総合評価研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 総合評価研究室 )
  • 杉林 堅次(城西大学薬学部 薬粧品動態制御学教室)
  • 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成13年の規制緩和により、化粧品については、化粧品基準に示された一部の配合禁止成分や配合制限成分を除く成分については、原則として自由に配合が可能となった。その結果、欧米では使用禁止もしくは制限されている成分を含む製品も既に市場に流通している。本研究では、我が国では化粧品成分として使用されているが、欧米では化粧品への使用が禁止もしくは制限されているハイドロキノン(HQ)について我が国における使用実態で推定されるリスクの定量的評価を行うとともに、得られた成果を基に企業における化粧品の自主的安全性確保に必要な評価の考え方を整理し提案することを目的として研究を行った。
研究方法
化粧原料の毒性情報収集および解析に関する研究;IARCによる発がん性評価書(1999年)及び米国Cosmetic Ingredient Review評価書(2009年)をもとに、以降の最新データをMedline等により検索し、体内動態や反復投与による毒性情報の収集と解析を行い、得られた結果よりリスク評価値の算出を行った。
化粧品原料の体内動態に関する情報収集と解析手法に関する研究;In vitro放出試験や皮膚透過性試験より得られた値を用いて、拡散モデルやconvolution法などの数学的アプローチより皮膚に適用した市販HQ含有製品からのHQ体内吸収量について検討を行った。
化粧品原料の皮膚吸収性の評価手法に関する研究;ハイドロキノン水溶液や配合製剤を動物(ラット)に投与後の血中濃度推移の測定のため、市販製品中及びラット血漿中HQ濃度の分析系を構築して検討を行った。
化粧品原料の遺伝毒性評価手法に関する研究;HQのin vivo遺伝毒性、特に閾値に有無に係わる遺伝子突然変異誘発性について、OECDガイドライン(TG488)に従い評価した。
全体総括および化粧品原料のリスク評価手法に関する研究;各研究により得られた結果より市販HQ製品の使用に伴う健康リスクの定量的評価を行うとともに、本研究におけるリスク評価過程を通して得られたリスク評価に必要な事項を整理することで、製造・販売企業における安全性確保に必要な有害性および暴露評価情報の収集および評価に関する考え方をとりまとめた。
結果と考察
市販のHQ含有4製品についての定量的リスク評価を行った結果、HQは市販含有製品の皮膚への塗布により明らかに経皮吸収され、その吸収率は製品により大きく異なることが明らかとなった。HQの反復投与毒性に関しては、発がん性がもっとも感受性の高い指標であった。一方、発がんメカニズムにおいて懸念されたin vivo遺伝子突然変異誘発性については陰性であることが示された。慢性暴露による安全性情報の解析により算出された評価値と経皮吸収による血中濃度の比較から、本研究で評価を行った市販HQ製品については経皮からの吸収による健康障害について十分な暴露マージンがあり、直ちに使用禁止等の措置を取るべきリスクは無いと判断された。さらに、HQ製品のリスク評価過程を通して得られた化粧品のリスク評価に必要な事項を整理することで、製造・販売企業における安全性評価に関する考え方をとりまとめた。
結論
評価を行った市販HQ含有4製品については、添付文書に示された使用法に従って使用する限りにおいては、HQの体内への取り込みによる健康リスクに関して十分な暴露マージンを確保できると判断された。しかし、製品によっては水溶液塗布よりも血中濃度が高くなる可能性が示されたことから、特に高濃度製品については、製品ごとに放出性や皮膚透過性の評価を行うべきであると結論された。欧米等で安全性上懸念が問題となった物質、もしくは化粧品として使用経験の無い(新規)物質を配合する製品や、既存の成分であっても著しく配合量や成分の物理学的性質を変更した結果、吸収性に影響を与える可能性のある製品については、本研究で示した考え方を参考に安全性を検討することが推奨される。

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201205019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ハイドロキノンは、欧米では化粧品に使用禁止もしくは制限されており、我が国では平成13年の規制緩和以降化粧品への配合が可能となった成分である。国内市場には10%を超える製品も出回っており、国際的にみて特異な状態である。欧米ではこれまで遺伝毒性の疑いから閾値無しの評価が行われてきているものの、本研究によりin vivo遺伝子突然変異誘発性を否定する結果が初めて得られたことは、学術的・国際的にも意義がある。
臨床的観点からの成果
本研究成果により、国内で販売されているハイドロキノン含有製剤については、現時点では添付文書に示された使用法に従って使用する限りにおいては、皮膚からの体内取り込みに関して十分な暴露マージンが確保できることが明らかとなった。
ガイドライン等の開発
本研究では、市販ハイドロキノン含有製品のリスク評価過程を通して、化粧品リスク評価に必要な事項を整理し、企業による自主管理における化粧品の安全性評価における考え方をとりまとめ報告した。
その他行政的観点からの成果
化粧品企業においては、本研究で提案する考え方を参考として安全性評価を行うことにより、規制緩和の意義を損なうことなく、消費者の健康被害の未然防止に寄与する。
その他のインパクト
特に無し

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
2017-06-01

収支報告書

文献番号
201205019Z