文献情報
文献番号
201205017A
報告書区分
総括
研究課題名
災害に強い次世代型電子医療情報(クラウド型電子カルテ)システムの構築に係る倫理・安全上の問題点を解消するための基本設計
課題番号
H24-特別-指定-025
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
桐野 高明(独立行政法人国立病院機構 本部)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 澄信(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター)
- 吉住 秀之(国立病院機構九州医療センター 医療情報研究センター)
- 木村 博典(国立病院機構長崎医療センター 内分泌代謝内科)
- 堀口 裕正(東京大学医学系研究科 医療政策学・医療システム学)
- 武田 和憲(国立病院機構仙台医療センター 臨床研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
次世代型電子医療情報(クラウド型電子カルテ)システムの構築は、災害時にも盤石な診療情報を提供するだけでなく、災害発生時にとりわけ問題になる感染症の合併や新型インフルエンザなどの新興感染症発現時のわが国全体の診療情報のモニタリングも可能とするだけでなく、平時においても自治体が行う健康診査情報などとのリンクも視野に入れると、患者さん個人が自分の医療情報を管理するというPersonal Health Recordへの道を開くものである。大規模データの伝送環境、ストレージ環境が整ったため、クラウド型医療情報システムの構築が実現可能となった。本研究はクラウド型電子カルテ構築に係る問題点を整理することを目的とする。
研究方法
本研究では共通電子カルテ化のモデルとして、米国Veterans Affairs病院群が用いており、オープンソースとして公開しているVistA (Veterans Health Information System and Technology Architecture)を国内のサーバーにインストールし、試験運用を行うとともに、NHOから米国VA病院に短期留学生に米国でのVistAの経験の意見聴取を行った。さらに、画像伝送実験結果や、DBMS、医療安全向けバーコード認証システムなどの情報収集とともに、各地の地域医療連携システムの情報収集、アクセス権、共通コード化に関する諸問題について検討した。
結果と考察
1)米国Veterans Affairs病院群で用いられているVistA (Veterans Health Information System and Technology Architecture)の見学印象、2)米国VistAがパブリックドメインとして公開しているOpenVistAをわが国のサーバーに導入し、施設からアクセスした使用経験、3)クラウド型電子カルテの基礎になるDBMS(DetaBase Management system)選択についての考察、4)クラウド(セントラル)データとローカルデータの整合性および同期時間の考察、5)テンプレートサーバーの基本概念、6)診療実施確認のためのRFID(Radio Frequency Identification、RFタグ)およびバーコードについての考察、7)交換規約と標準コードマスターなどの利用、8)地域医療連携ITネットワークの現状調査、9)電子カルテの使用者認証(医師の電子認証)、10)電子カルテ情報の利用者毎のアクセス権に関する考察、11)電子カルテ情報の研究利用に関する諸問題、12)名寄せと医療情報一元化に関する問題、13)匿名化する手段とデータフォーマットの標準化についての試案について情報収集した上で問題点について検討し、ローカルとセントラルで同期する形式で、XMLで規定したテンプレートをセントラルに装着することで、研究用データの排出の容易なクラウド型電子カルテの基本仕様についてのアウトラインを構築した。
結論
次世代型電子医療情報(クラウド型電子カルテ)システム構築にかかわる、技術的、地域医療連携ITネットワークへの対応、電子カルテの使用者認証、利用者毎のアクセス権、匿名化手段と研究利用に関する問題点が明らかになった。検討結果に基づいてローカルとセントラルで同期する形式で、XMLで規定したテンプレートをセントラルに装着することで、研究用データの排出の容易なクラウド型電子カルテの基本仕様についてのアウトラインを構築した。
公開日・更新日
公開日
2015-05-28
更新日
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